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【スイレン・キッチン】②サツマイモシチュー

軽く紹介

※※おうち時間をちょっとでも楽しんでもらえればいいなと
完全に思い付きで書いたのでだいぶ緩い内容です。
パロ・メタ・スラングありありのあり。あらかじめご了承ください。※※

プロローグ


>ガチャッ

蓮 「ただいまー。買い出し行ってきたぜ」

彗花「おかえり! ちょっと今手が離せないから、冷蔵庫入れといて~!」

彗花「あっ、いえ、すみません……それで、火災報知器点検の日なんですけど、はい……はい、その日の15時からなら……」

蓮 (電話中か……ま、ササっと入れておきますかね)

蓮 (えーっと、ヨーグルトと、白身魚の切り身をINして……おいおいブロッコリー入るスペースねぇじゃん、どーすんよ)

蓮 (……ブロッコリーって外出しといても平気か? えーっと、野菜置き場は空いてっかな……)ゴソゴソ

蓮 「……ん?」

>パタパタ

彗花「蓮、お待たせ~! ごめんね、半年に一回設備の点検で業者の人が来るんだけどなかなか日取りが……」

彗花「……はうあっ?! そ、その、手にしてるのは……!」

蓮 「あ? ああ、これ……いつ買ったっけ、このサツマイモ?」

蓮 「なんかもう、だいぶ前だよなぁ……ふたりでスーパー行ったときにお前が『きんぴら作る!』ってテンション上がって買ったヤツの残りだろ? もう、半分くらい化石って感じだけど、」

彗花「ご、ご、ごめんなさい!」

蓮 「?!」

彗花「わかってた……わかってたんです! 本当はサツマイモさんが残ってるって! だから早く使わなきゃいけないって……わかってたけど……! なんか、きんぴら作ったら……満足しちゃって……つい、そのままに……!」

蓮 「……」

蓮 「『ひどい……! 私が待っているのをわかっていて、あなたはわざと放置したと言うのね……!』」

彗花「ううっ、返す言葉もごぜぇーません……!」

蓮 「『もうほとほと愛想が尽きたわっ! こうなったら子どもたちを連れて、実家に帰らせて頂きます!』」

彗花「待ってくれ! ダメなボクに最後の……最後のチャンスをくれないか!!」

蓮 「じゃー今日のメシにちゃちゃっと使っちまおうぜ」シレッ

彗花「そだね。最近寒いし、シチューにしよっか」ケロッ

蓮 「おー、丁度いいじゃん。ブロッコリー冷蔵庫に入らなかったんだよ」

彗花「よーし、じゃあこの勢いで作っちゃおう! 蓮ももちろん手伝ってくれるよね♪」ニッコー

蓮 「は?! ……まぁ、……わーったよ」

蓮 (しまった……帰ったらすぐネーム切るつもりだったのに……)


1.)材料

シチュー 市販のルー6皿分

・サツマイモ 1本
・にんじん 2本
・タマネギ 1個
・ブロッコリー 5房前後
・鶏肉 300gくらい
・水 500ml(※)
・牛乳 100ml(※)
・市販のホワイトシチューのルー 1/2パック
・塩
・コショウ
・肉を蒸し焼きにする用の料理酒(なければ水でも) 大さじ1くらい

(※)水分はルーのパッケージに記載されている指定に合わせて変更する

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彗花「ちょうどいいや、サツマイモ以外にも余ってたルーとかお野菜とかあるから、入れられそうなものは入れてこっと」

蓮 「これまたてっきとーだな、おい」ニヤニヤ

彗花「そうそう、てっきとーだよ」エッヘン

彗花「ちなみに、シチューの作り方はだいたいカレーと一緒だから、覚えておくと便利だよ!」

蓮 「アタシは基本、食べるオンリーがいいんだけどな……」

彗花「あー楽しみだなー! 蓮が一人で作ったカレーが食べられるのもそう遠くないんだろうなー!」

蓮 「……へーへー、せーぜー精進しますよ、っと」

蓮 「それより今はシチューだろ、あんま横道逸れるとまたサツマイモが実家に帰ろうとするぜ?」

彗花「ハッ!! いけないいけない……それじゃあ、下準備始めてこっか」

2.)下準備


彗花「野菜は軽く洗って、ニンジンとタマネギは皮をむいてね」

蓮 「うぇーい。あれ、肝心のサツマイモは?」

彗花「頭とおしりと、あとはひげとか、見るからに悪くなってるところだけ取り除いて、皮はつけたまんま! 剥いてもいいんだけど、ついてたほうが、こう……『サツマイモ食べてるゥ!』感が出るから」

蓮 「そーいうもんかね……よし、皮剥いたぞ。どうやって切る?」

彗花「じゃあ、ニンジンとサツマイモは乱切りに、タマネギは縦半分に切ってから水平にも切って、クシ切りでお願い。わたしはその間にブロッコリーやっとくから」

蓮 「りょっかい。えーっと、乱切りとクシ切りっつーのは、確か……」トントン……


ハウスcookingチャンネルより (ハウス食品サイトにも!)

蓮 「……っと。ま、こんなもんだろ」

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蓮 「おい彗花、これでいいか?」

彗花「うん、ありがと! そしたら、ブロッコリー解体しておいたから、房を一口サイズに分けてくれるかな。分けていくと余分な茎が出てくるから、それは切っちゃっていいよ」

蓮 「はいよー」

蓮 「あれ? そのぶっとい茎の部分は捨てないん?」

彗花「ふっふっふ! 実はココがブロッコリーの一番おいしいところなんだよ! こういう風に皮を削いで、中のやわらかいところは乱切りに……」

参考:『「ブロッコリーの茎」捨てないで。
     美味しい食べ方・切り方に注目!』 ニチレイ様サイト

彗花「ゆがくとホクホクっとして、ほんのり甘いんだよね! 房の部分ももちろんおいしいけど、茎を食べるためにブロッコリー買うトコあるよ……」

蓮 「ふ、ふーん……?」ゴクッ

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彗花「よし、これでいっかな? じゃあ蓮、引き続き房分けといてね。その間に、私は鶏肉の下拵え済ませちゃうから」

彗花「お肉は、一口大よりちょっとおっきめに切っておくと、食べるときにしあわせなんだよね……えへへ。皮もつけたままでいいや。それで、仕上げに塩コショウをパラパラっと……」

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彗花「これでよし!」

蓮 「こっちも分け終わったぜ」

彗花「順調順調~♪ じゃあパパっと次行こ!」


3.)炒める!


彗花「下準備が終わったら、まず油を引いたフライパンで【タマネギ ⇒ ニンジン ⇒ サツマイモ】の順番で炒めていくよ。基本的に、全体がうっすら透明になってきたら次の野菜を入れる感じかな」

蓮 「うーっす」

<ジュー……

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蓮 「なー、2つ疑問なんだけど……ひとつめは、これ後で煮るから焼かなくてよくねってのと、ふたつめはなんでその順番なんってのと。どうなん?」

彗花「んーっと、ひとつめについては、先に炒めといたほうが火の通りが早いからかな。炒めずに水と一緒に最初から煮ちゃう手ももちろんあるんだけど、時間がかかるんだよね。あと、炒めて香ばしさを出すっていうのもあるかも」

彗花「ふたつめについては、火の通り方にそれぞれ差があるから、長く時間をかけたいものほど先に炒めるってことなんだけど」

蓮 「それなら、硬いニンジンとかサツマイモとかのほうが先じゃねーの? 今ニンジン入れたけどよ」

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彗花「ふっふー……蓮チャマ、この前ハンバーグ作ったときのことをよーく思い出すザマス?」

蓮 「(なんだその突然のザマスは……)……………………………………あ」

蓮 「そっか、タマネギはよく炒めると甘くコクが出るんだっけか」

彗花「その通りザマス! ……っていっても、今回は具の一部だから、あんなになるまで炒める必要はないんだけど、それでも一番火が通ってほしいのはこの中ではタマネギなんだよね。そーいうこと! ……ザマス!」

蓮 「なるほど……素材の特性活かした手順が大事ってことか。漫画だって、ベタ乾いてからじゃねーとトーン貼れねぇしな。んじゃ、サツマイモINっと」

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彗花「あ、あのう……その節は本当に、ご迷惑をお掛けしまして……」

蓮 「マジそれな。彗花チャマは乾いてないベタの上にトーンを貼ってズルってやって何枚原稿をおシャカにしたか覚えているでザマス?」

彗花「う、うえ~ん! ごめんなさぁ~い!!」

蓮 「ま、それはうまいシチューで勘弁してやるザマス。……おっ、いい感じに炒まってきたんじゃね?」

彗花「バッチリザマス! そしたら下味の塩コショウをパラパラっと振って、軽~く混ぜたら火を消して!」

蓮 「おけまる。……あー、でも、サツマイモがなんかまだビミョーに火通ってるか通ってねーかわかんねー感じだけど」

彗花「むしろそのくらいでいいよ! おいも系は煮込むと一気に柔らかくなるからね、軽~く、表面に油が馴染んだかな? 程度にしとかないと、逆に煮崩れちゃうから」

蓮 「なるほど、そこまで計算に入ってあの順番なわけな。納得ザマス」

蓮 「……あれ、でもいーんか? ブロッコリーまだ焼いてねーじゃん」

彗花「ブロッコリーはね……一緒に炒めると、房のあの、何ていうの? ……つぶつぶしたやつ? がポロポロこぼれて、見た目が残念な感じになっちゃうの……」(※註:『野菜情報サイト 野菜ナビ』によると、あのつぶつぶは花蕾だそうです。へぇー。)

彗花「だからね、あとで別で湯がいて、お皿にシチュー盛るとき添えるんだよ」

蓮 「追加戦士ってわけザマスな、オケりょ」

彗花(そんなに気に入ったんだ、ザマス……あとツイカセンシってなんだろ。蓮ってときどき謎の言葉使うよなぁ)


4.)煮つつ肉を焼く!


彗花「そしたら、このお鍋の中にフライパンで炒めた野菜を入れてね。全部入ったら水をいれるんだけど……あれ? えーっと、ルーのパッケージの箱はー……」

蓮 「あ、もう要らないと思ってさっき捨てちまったわ。何かに使うん?」

彗花「使うルーの数によって入れる水の量が決まってるから、確認しようと思って。でも、ルーのパッケージに印字されてるから大丈夫」

蓮 「マ? なになに……【水:500ml & 牛乳:100ml】か」

彗花「そっか、ホワイトシチューだから牛乳使うよね。それじゃあ冷蔵庫から出してきて……」トポトポ

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彗花「よし、分量通りお鍋に入れたよ! 蓮、フタして火にかけてくれる?」

蓮 「へーい」

彗花「そしたら鍋が沸騰するまでの間にお肉を焼くよ! フライパンに油を引いて、皮つきのものは下に向けて鶏肉を並べるんだ」

蓮 「よっと……こんな感じか? 火加減は?」

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彗花「強火! ハンバーグと同じで短時間に焼き目を付けて、あとは蒸し焼きにするよ」

彗花「お肉は火を入れ過ぎると固くなって悲しいことになっちゃうからね……モモ肉はそこまで神経質にならなくていいけど、今日使ってるのはムネ肉だから」

蓮 「あ、それはなんか聞いたことあるわ。鶏肉はモモのほうがやわらかいんだよな。でもムネ肉使ってるのはなんか理由あんのか?」

彗花「安いから!

蓮 「アッ ハイッ」

彗花「モモ肉に比べてヤイヤイよく言われるけど、ムネ肉だってちょっと気を付ければ十分やわらかくてジューシーになるんだよ~♪ 鶏ハムとか、ピカタとかは、むしろムネ肉のほうが食べ応えあっていいんだから! 簡単だからまた作ろうねっ♪」

蓮 (なんか、また作るもんがどんどん増えてってんな……)

蓮 「おっ、そろそろ両面いい感じに焼けたんじゃね?」

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彗花「そうだね! そしたら、料理酒を回りから2周くらいサーっとかけて……」

<シュッワワワーン

蓮 「…………………………………………………………」

彗花(蓮、口を真一文字にして驚きを顔に出すまいとしている……)

彗花「……あのう、フタ……」

蓮 「ハッ お、おうよっ」

<カポッ シュ~~………………

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彗花「これで中火に落として、3分くらい経ったら火を消しちゃってね。余熱でジワジワ火が通るし、最終的には鍋で一緒に煮ちゃうから」

蓮 「りょー……おっ、隣の鍋も煮えたみたいだぜ」

彗花「わっ、ナイスタイミングだね♪ そしたらラストスパート、行ってみよー!」


5.)ルーを入れてあっためる!


彗花「そしたら鍋の火を一回消して、市販のルーを中に入れるよ。あと、蒸し焼きにしてたお肉も一緒にね。鍋の下から上に大きく一回お玉でかき混ぜたら、もう一度火にかけて、中火で再沸騰するまで煮るの」

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蓮 「フタはしなくていいん?」

彗花「大丈夫、すぐグツグツするから……ほらね」

蓮 「あ、ホントだ。これ、どーすんの?」

彗花「弱火に落としたら、ときどき静かにかき混ぜて、ルーが溶けてとろみが出るまで様子を見るよ。じゃあ蓮、お玉係に任命します」

蓮 「任命されてやります。……マジめんでぃー、ガガッてやったらルーもすぐ溶けるんじゃん?」

彗花「ふーん? でしたら、お試しになってみるザマス?」

蓮 「ムッカ……やってやるザマス。おりゃっ! りゃりゃりゃっ!! ……っと、わ?!」

蓮 「ま、待て、サツマイモ! 崩れるんじゃねぇ!!! おまえはもっとお硬いヤツだったろうが!!!!

彗花「そーいうことザマス。さっき言ったでしょ、おイモは似るとすぐグズついちゃうんだよ。だからあんまり形を崩さないように、お玉をゆっくり動かして、優しく混ぜてあげるの。わかったザマス?」

蓮 「ぐぬぬぅ……わかったザマス……」グールグール

彗花「でも、だいぶいい感じにとろけてきたね。うんうん上出来♪ そしたらお玉を出して火を消して、それからフタをしてくれる?」

蓮 「おお……でもまだ、十分煮えてないんじゃねーの?」

彗花「えっへん、そこで新兵器ですよ! じゃ~ん♪」

蓮 「…………何の変哲もねーバスタオルじゃん」

彗花「と、見せかけて、侮れないんだなぁ~……こうやって二つ折りにしたのを平らなテーブルに広げてっと。蓮、この真ん中にお鍋置いてくれる?」

蓮 「おお……よっと」

彗花「そしたら、四隅をてっぺんで合わせておくと~……」

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蓮 「………………………………で?

彗花「バスタオルへの風当たりがやたら強い……! こうしておくと、余熱がじわじわ~と長い時間かけて伝わって、ゆっくりと火が通るの。こうすると食材も固くならないし、味もしみ込みやすいし、ガスもムダにしないし、一石三鳥なんだから!」

蓮 「ふーん……ホントかねぇ……」マジマジ

彗花「うっ、信じてない……! ホントなんだからねっ、後で見てなさいよッ!!」

蓮 「じゃあ、あとはテキトーなところで切り上げて終わりか?」

彗花「んーん、最後にもうひとつ待ってるよ……大事な仕上げがね……!」


6.)ブロッコリーをゆがく!


蓮 「あー、そういやブロッコリー湯がくんだっけ? 忘れてたわ」

彗花「これをなくしてシチューは完成しないからね。とりあえず片手鍋に……ざっくりお湯を沸かしてくよ」

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蓮 (てっきとーなのが家料理って言ってたけど、そもそも彗花自身がわりと細かいトコ雑なんだよな)

彗花「なぁ~にか言った、か・な?

蓮 「なっ、なぁ~んにも?!」

彗花「ま、いいや。お湯にはお塩を小さじ1くらい入れてね。こうすると、お野菜の色が鮮やかになるんだよ」

蓮 「ふーん……お、鍋がグツグツ言い始めたぜ」

彗花「そしたらまず、茎の部分から、少したってから房のほうを入れてね。理由はぁ~」

蓮 「火の通り方の問題だろ、この流れなら察しつくわ」ポイポイット

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彗花(……蓮、こういうとこで頭の良さシレっと見せつけてくるの若干イラっとするな)

蓮 「おっと、おまえが今何考えてんのかはアタシにもわかるぜ」ニヤニヤ

彗花「キィーッ! そゆとこー!!!

蓮 「言うてる場合か、ブロッコリーもあんま湯がきすぎたらアカンやつじゃねーの?」

彗花「ううっ、そうだよっ!! ふたりでシチューで食べるにはブロッコリー1株は多いからね、大半はちょっと早めにお湯から上げておくの」

彗花「水気を切って粗熱が取れたら、保存バックに入れて冷凍しておくの。そうしたらいつでもなんにでも使えてちょー便利! お弁当にそのまま入れてもいいし、レンチンしてかつお節とポン酢でも、ああっ、チーズ乗せてオーブントースターでこんがり焼くのもいいよねぇ……!」

蓮 「おーい、先に上げとく量はこんなもんでいいのか?」

彗花「ハッ! う、うん、バッチリ! 残りのシチューに入れるヤツも、もうちょっとしたら上げちゃっていいから!」

蓮 「へーへー」

彗花「さて……それじゃあわたし、行ってくるね」

蓮 「は……? いや、もうこれ終わったら夕飯って時間じゃん。どこ行くんだよ」

彗花「近所のベーカリー・ナミキ屋、まだ開いてるはず! バケット買ってくる!! ……くぅっ、今日シチュー作るって、わかってれば……!」

蓮 「え、いや、朝炊いた米の残りあるじゃん。あれでいいって……」

彗花「蓮は何もわかっていない!!!!!!!!!!

彗花「シチューと言えばバケット……! 表面が適度にカリッと焼かれているのを、そっとシチューに浸して口に含む……それだけでおいしさが3.15倍は違うんだよ!!!!!!!!!!!!

蓮 「なんだその妙に細かい数字は……」トイイツツ、ゴクリ

彗花「そういうわけだから、ブロッコリーお湯から上げたらキッチン片づけといて! すぐ帰ってくるから!!」バタバタバタッ (註※本作品の収録は2019年春です。白米でも十分おいしいのでバケットがない場合はステイホームしましょう)

<ガチャンッ タッタッタ……

蓮 「……彗花のあの、食に対するこだわりはどこから来るんだ……」

蓮 「ま、実際うまいからいいけどよ……んじゃ、ブロッコリーもいい感じだし、片付けてから皿の準備して待っときますかね」ガサゴソ

蓮 「…………ん?」

蓮 「……………………………………


7.)できたシチューをお皿に盛れば、あの日のことを思い出す


<ガチャンッ パタパタパタッ

彗花「蓮、おまたせー! 残ってたよバケット、最後の一本!」

彗花「余ったのはフレンチトーストにして明日の朝食べようね~……って、ナニ? どしたのそんな暗い顔して? 藤間塚先生の漫画、休載にでもなったの?」

蓮 「いや、別にそりゃ待つだけだからいいんだが……」

蓮 「彗花、その、悪い」

彗花「え……やだ、なに、こわい」

蓮 「アタシが捨てたと思ってたシチューのルーのパッケージ、ゴミ箱にちゃんと入ってなかったの見つけて、裏面の作り方、見たんだけどよ……」

彗花「どれどれ……材料……すきなお肉にお野菜……水500ml……牛乳100ml…………問題なさそうだけど?」

蓮 「問題は……手順の方なんだ」

彗花「え? ……

彗花「『水で材料を煮てから』、『ルーも溶けてとろみがついた後に牛乳を入れる』……」

彗花「あ……ああああああああ~~~~~~~!!!!!!!!!

彗花「そう、そうだよ、うっかりしてた……! あーっ、もうっ、前も同じことやった!!!」

彗花「牛乳は最後に入れるんだよね……! そうしないと他の材料が溶け出して、茶色っぽくなっっちゃうから……ハッ!!!!」ガバッ バスタオル ムキッ

彗花「……そうだよね~、水と一緒に牛乳入れたから茶色っぽいよねーーーー!!!!! うわーん!!!」

蓮 「いや、悪かった……アタシが要らねーと思って、パッケージ捨てなけりゃこんな……」

彗花「ううん……ルーのパックに書かれてた分量だけ見て、早とちりしちゃったわたしのせいだよ……。いっつもそうなんだ、わたし。シチューなんて何回も作ってるのに、3回に1回はズボラしてやらかしちゃうの……」

彗花「えらそーにあれこれ言えたもんじゃないよね、ホント……」ガックリ

蓮 「い、いや、彗花……何もそこまで」

彗花「うう……蓮が初めてうちに来た日と同じように、おいしいホワイトシチュー……今度はふたりで作りたかったのにな……台無しにしちゃった……」

蓮 「……」

蓮 「……」スタスタ

彗花「……蓮? どうしたの、お玉持って……?」

蓮 「……」ヒョイ オタマデ スクッテ、

蓮 「……じゅるっ…………あ、なんだ、別にうめーじゃん」

彗花「へっ?」

蓮 「ほら、小皿に掬ったからお前も味見てみろよ」

彗花「うん…………じゅるっ。、!」

彗花「……おいしい」

蓮 「な。まー確かにホワイトシチューっつーには、ちょーっと茶色っぽいが……別にそんなんどーでもいいだろ、これで金取ろーってわけでもねぇし」

蓮 「てっきとーでいいんだろ? 家で食うメシなんてのは……イイ感じに、うまけりゃそれで」

彗花「……!」

彗花「…………もー」

彗花「……………………もーっ!!!」ペシペシペシッ

蓮 「いって?! 急に叩くなし!?」

彗花「ホント蓮ってばおいしいとこもってく……ずるいんだからっ!」

蓮 「うるっせ。ってかどーでもいいから早く食おうぜ、腹減ったわ」

蓮 「バケットで食うと、3.15倍は違うんだろ?」

彗花「……うんっ! わたし、さっと焼いちゃうから、蓮はお皿にシチューを盛って!」

彗花「あー、もう、ホント……ずるいなぁ」グスッ


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8.)まとめ


材料

シチュー 市販のルー6皿分

・サツマイモ 1本
・にんじん 2本
・タマネギ 1個
・ブロッコリー 5房前後
・鶏肉 300gくらい
・水 500ml(※)
・牛乳 100かいnml(※)
・市販のホワイトシチューのルー 1/2パック
・塩
・コショウ
・肉を蒸し焼きにする用の料理酒(なければ水でも) 大さじ1くらい

(※)水分はルーのパッケージに記載されている指定に合わせて変更する

手順

①材料できるだけ並べておきます。できるだけで……。

②野菜は軽く洗って、ニンジン・タマネギは皮をむきます。サツマイモは気になる部分だけ軽く切り取って、ニンジンとともに乱切りに。玉ねぎは縦・横に半分にしたうえでクシ切りに。ブロッコリーは、花蕾部分は小房に分けて、茎は皮をむいたあと乱切り。鶏肉は、一口サイズより気持ち大きめに切り分けて、塩コショウを振っておきます。余談ですが、筆者はニンジン・ブロッコリーの皮はこまか~~~~~~く刻んでシチューの中に入れます。なんかダシがよく出る気がするから。

③【タマネギ⇒ニンジン⇒サツマイモ】の順番に、油を熱したフライパンで炒めます。よしなに炒まったら軽く塩コショウで下味つけておきます。ブロッコリーは追加戦士なのでまだです。

④鍋に③で炒めた野菜を入れ、ルーのパッケージに従った分量でを投入して沸騰するまでフタして煮込みます。その間に、フライパンに油をひき、鶏肉を焼きます。両面に強火で焼き色を付けたら、料理酒を回しかけフタをして3分ほど中火で加熱、火を消して余熱で火を通します。あっ、今思い出したんですが、下味の段階で小麦粉(片栗粉でも可)を振りかけておくと、さほど神経質にならなくても固くならなくて済んだとかいうウルテクがあったはずです。でもめんどくさいから僕はいつもやってません。おうちに小麦粉がある読者諸氏はぜひお試しください。

⑤鍋が煮えたら一度火を止め、ルーと焼いた鶏肉を合流させます。鍋底からそっと上にお玉を持ち上げるようにしてかき混ぜ、再び火を点けます。ついでにハートにも火を点けといてください(ハートのほうは適当なところで消火してください、疲れちゃうから)。改めてグツグツと煮立ったら中火にして、そっとお玉でかき混ぜながらルーが十分溶けてとろみがつくまで火に掛けます。シチューっぽい持ったり感が出てきたら火を消して、清潔なバスタオルに来るんで、じわじわ熱を通してください。バスタオルが出払ってる場合は弱火で10分くらい煮るのでもまったく問題ございません。

⑥ようやく出番だぜ、ブロッコリー! 別の鍋に水を沸かし、塩を小さじ1ほど加え、沸騰したら茎⇒小房の順番に湯がきます。2~3分でもう結構いい感じ。お好みの固さになったらさっと湯を切ってください。

⑦あっためていたシチューを皿によそい、バエる感じにブロッコリーを盛れば、あの日の思い出蘇える……懐かしのホワイトシチューの完成!


9.)おまけ


~三日後~

蓮 「……でもいくらうまくても、いい加減シチューは飽きたんだが?」

彗花「カレーと同じ問題だよね……おいしいのは二日目までっていう……」

彗花「あ、そうだ。じゃあこれをホワイトソース代わりにして、グラタンにしっか!」

蓮 「じゅるっ!」

彗花「ペンネがあったはず……あったあった♪ チャチャっと湯がいて~お湯切って~♪ 耐熱容器にシチューとIN♪ バターも仲間にいれまして~~最後にチーズとパン粉をかぶせたら~~♪」

彗花「まぁオーブントースターでとえりあえず15分様子見よっか」

<ピッピッピ チンッ! トットット……

蓮 「やっべー……チーズとける匂いしてきた……」

彗花「乳製品を生み出してくれた人には感謝しかないねぇ……」

<ッチーンッ!

彗花「わっ、チーズイイ感じに焦げたよっ♪」

蓮 「おいっ、早く食おうぜ!」

彗花「うん! あー、お腹空いたー!」


 ――こうして、ふたりはお鍋いっぱいに作ったホワイトシチュークライシスを知恵と工夫で乗り切り、また新しい明日に向けての一歩を歩き出しました。

 しかし、次の日、スーパーで特売になっていたホワイトシチューのルーを買おうとする彗花に蓮が突っかかって、これまたふたりは大ゲンカするのですが……それはまた、別のお話。

おしまい。

次回予告
あーもーたりぃ。目玉焼きは半ナマとか、食ったばっかのシチューのルー買おうとするわ、マジ理解不能。おまけに口利かなくなるし、めんでぃー。……でも、ま、今のアタシがあるのもアイツのおかげなトコ、あるし。……久しぶりに、作るかな。次回『餃子』。正味料理じゃなくてネームしてぇ。

おうち読書のおともに、ぜひ加えてやってくださいませ!
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