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「デンマークのものを日本に持ってきても上手くいかないよ」を解体する

民主主義への体感値の違い

「日本でフォルケホイスコーレを作るのは難しいよ」

福祉国家ではないから、教育制度が違うから、文化が違うから。
わたしは「民主主義の体感値の違い」がとても大きいと思っている。

デンマークでは、子供たちは幼少期の教育から「民主主義的なふるまい・かかわり方」を実践しながら育ち、それっていいよねという前提のもと社会が動いている。

森のようちえんでは、子供たちが広い原っぱで僕たちは今日一日何をして過ごすのかを対話するところから始まる。先生たちが活動を決めることはない。
幼稚園から大学院まで、先生たち(ペタゴー と呼ばれる)は、生徒が日々何を感じているのか、本当に心の底からしたいことをゆっくりと引き出し、お互いの自由をどう尊重し合うかかかわり方の伴走者になる。
小学校入学前の0年生、中学校に上がる前の10年生、18歳以上のフォルケホイスコーレ、どれも自分で選択できる立ち止まる時間で、今わたしはマイペースで生きているのか?という問いが立つ。

一方で日本でわたしが受けてきた教育は、わたしの心を優先するよりも前に、受験・就活などの圧倒的な社会のものさしがあり、
感性を育むよりも溜まって社会というレールの攻略方法を身に付けることに時間をかけ、互いの自由を尊重しあうよりも我慢が美徳。

そうやって育まれるのは、学習性無力感と分断だ。

「デンマークと日本は文化が違う」の正体を探る

最近「経営戦略としての異文化適応力〜ホフステードの6次元モデル実践的活用法」の著者の宮森さんとお話する機会があって、それぞれの国を6つの指標でプロットする、そして日本の位置関係を客観的に知る機会が面白かった。

2項目、特に日本とデンマークの距離感が離れている指標があった。
ひとつは「女性性 vs 男性性:競争原理の中で弱者への思いやりや生活の質を重視するか、業績、成功や地位を重視するか

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(参照:「ホフステード・インサイツ・ジャパン」よりhttps://hofstede.jp/6dimentionsmodell_mas/)

ふたつめは「不確実性の回避:ある文化の成員が不確実な、未知の状況に対して不安を感じ、それを避けるために信仰や制度を形成している程度

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(参照:「ホフステード・インサイツ・ジャパン」よりhttps://hofstede.jp/6dimentionsmodel_uai/

3年前にデンマークに行って、憧れの念を抱いた理由がわかった。
こんなに距離が離れているデンマークへの、ないものねだりかもしれない。

そんなこんなで、私たちは日本にフォルケを作ろうとしている。
でも、不確実性の回避がべらぼうに高い日本で、多様で未完成のスライムのような学校に人は魅力を感じるのだろうか。
強い者秀でた者が支持され、欠点の修正を求められ、働くために生きる日本社会で、フォルケホイスコーレはただの幻想・一時期のユートピアにならないだろうか。

一方で面白い話も聞いた。
「日本は集団主義だと思う?個人主義だと思う?」

宮森さん曰く、
日本人は「わたしは個人主義だけど、自分以外の社会は集団主義」と答えるらしい。

ここに日本人らしさが詰まっている気がした。そして、一種の可能性も感じた。

もういちど。日本人は民主主義を体感していないのか?

「フォルケホイスコーレを作るうえで、日本の土壌や日本人の性質を考慮しなければならない」

9月にショートコースを開校する私たちの関心ゴトはもっぱらこれで、「わたしとあなたそれぞれの感性を信じる」状態になれるまでに日本人にとって必要なプロセスとは?「わたしの小さな問いで社会が変わる」と実感値を持つってどうやって?などを喧々諤々と議論している。

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でも、本当に?

本当に、日本って民主主義の土壌がないのか?民主主義を体感する経験が少ないのか?

ということで、今月のcompathビジョンダイアログのテーマは、

「民主主義を体感するって一体なに?どうやるの?」
です。

今月のcompathビジョンダイアログは21日(金)20時15分、こちらから登録お願いします。

(compathの事業説明は聞いたことがないけどダイアログに参加したい方は、私たちの背景も知っていただきたいので、19時からのビジョンシェアリングからの参加をお願いします)


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