大暑;第36候・大雨時行(たいうときどきにふる)
アニメ『サマーウォーズ』の舞台である上田小県(うえだちいさがた)の一隅で育った。夕立は夏の風物詩。雲が湧き、風が吹き、みるみる暗くなって激しく降る雨は今思い出すとドキドキする。そのあと虹が見えることがよくあった。ぽたぽたからぽつんぽつんへと、落ちる雨垂れにも虹が宿った。緑が光った。
ひとときの休息で地元の高原に急いだ。花の好きな母と高原の花畑を見るためだ。
高原は霧に包まれていた。しとしと雨が降って時折サッと日が射した。
植物はそれによって不安げにも、晴れやかにも、耐えているようにも、笑っているようにも見える。
東京へ戻る。
部屋から見た夕立。サッと涼しくなる。そしてうつくしい。
「夕立」より「ゲリラ豪雨」と言われることが多くなった。
言葉は大切。
「風景」とは風=かぜ、景=ひざし。
彼らが織りなし、彩なすもの。
風景が誰かのための風景となるためには、気分が関わる。
彼らはいつも開かれているが、僕たちは知らずに通り過ぎる。
庭は縮地の技術で、仙人の術の一つとされてきた。
人がそれを乞う時に現れる。
ひとりひとりの中で立ち上がる胸中の山水だ。
そこには自由がある。
宮澤賢治は自らを「装景家」と呼んだ。
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