慣れる

高校生の頃、交通安全教育の一環で事故などの映写会があった。この時の教頭先生の話が印象に残ったのを覚えている。映写の内容は、事故画面などが主で、目を背けたくなるような場面も多かった。
事故の恐怖を見せる事で交通安全への意識を高めたかったのだろうと思う。
映写が終わった後の教頭先生の言葉を今も記憶している。「このような映像を観て、交通安全の大切さを知る事は大事ですが、人は慣れてしまうものです。目を覆うような事故画面にも慣れてしまう。私はこの事は怖い事だと思う。」という様な内容だったと記憶している。
確かに人は同じ事を繰り返していると慣れてくる。これは必要な事だ。しかし、慣れてはいけないこともある。
今回の新型コロナ対策で緊急事態宣言が出された。初めは全国に緊張感が走った。しかし、2回目になると、少し慣れてしまった感がある。そして3回目。
緊急の文字が緩慢に見えるのは私だけだろうか。
以前、プロ野球の阪急黄金時代の監督だった、上田監督の講演を聞いたことがある。上田監督は選手時代はいい成績ではなかった、だからこそ選手たちの中に入り対話を重ねた。そして話をする場合「同じ内容でも言葉を変えることで効果を発揮する」と語っていた。
これは、相手に分かってもらおうとする知恵だと思う。真剣に理解してもらおうと考えると、伝え方にも工夫する。形式的な伝言になると同じ言葉を繰り返す。しかし、聞いてる側はその言葉に慣れてしまって効果が薄くなる。
仕事や普段の生活でも、伝える言葉一つに知恵と想像力を働かせてひと工夫する事で、大きな変化が見られるかも知れない。


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