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其ノ10「鵜戸神宮と4階のフィッティングルームでの出会い」鳥居⛩めぐる


全身を映した鏡が、このままでは
わたしはダメになると教えてくれた。

10日後、宮崎市内のビルの4階にあるフィッティングルームにいた。
私の担当は江口さん(仮名)。
はじめましてだが、出会ってすぐ生まれも育ちも、大阪の人と分かった。
なぜならば、流暢な大阪弁を使ってお話をされるからだ。
重みのある大阪弁。
全身から湧き出る絶対的な安定感。
好感度は満点である。
同じ空間を共有できることに安心感を持てる。

江口さんは、昨日大阪から空路で鹿児島に到着し、今日電車で宮崎に来た。
年に数回ある宮崎出張であるとのこと。

明日は仕事はお休み。
公共交通機関を使って、鵜戸神宮にお礼参りに行くという。

リアル大阪ことばを聞く機会がないので、それに新鮮さを感じるが、江口さん自身にも興味津々。
さらに、公共交通機関を使ってのお礼参りも気になる。
地方の公共交通機関は都市圏のものとは別物だからである。

神さまの好感度も満点だったのであろう。また会いたくて、お礼参りという形でお呼びになったのだなと思った。

この時点でお互い、
『神さまのことが大好きなのです』
と言わずにしてわかる。
モチベーションは天井を突き破って空のかなただ。

はるばる遠方からのお礼参りに至る話に全集中しなくてはならない。

このままではダメになる私の未来は、この時点でどうにかなるだろうに変った。

12月鵜戸のハイビスカス🌺


去年、江口さんはご主人と鵜戸神宮を訪れた。
ご主人の勤続20年のお祝いで旅費+休暇の福利厚生を利用しての九州の旅。
このご時世、まだこのような制度が残っていることに少々驚く。
人情味あふれる大阪の街がセピア色をした異国のように感じる。

大阪から鹿児島県志布志港までフェリー「さんふらわあ」を利用して自家用車とともに九州入り。
一日目は、桜島、指宿の観光。
二日目は鹿児島市内と仙巌園観光、三日目に宮崎に入り、念願だった鵜戸神宮を訪れたという。


本殿では、ご家族についてと家内安全を祈願、勤続20年のお祝いをいただき、夫婦二人で旅行に出られたことの感謝を伝えたという。
鵜戸神宮参拝は、お二人とも初めてだったとのこと。
宮崎には年に数回仕事で来ているが、鵜戸神宮までの交通アクセスが不便なために参拝を躊躇していたという。
今回は車での旅なのでプランに入れたのだという。


あれから一年が経過。
その間に願いは見事に叶った。
その感謝を伝えるために動くときがきたという。
それは明日だ。


明日は意を決して、宮崎市内から一日に数本しか運行していないバスを利用して、鵜戸神宮に向かう。
感謝をお伝えして、一日に数本しか運行していないバスを利用して宮崎市内に戻る。
その日のうちに大阪に戻らなければならないため、所要時間を逆算する。
計画から実行に至るまでも、かなりのエネルギーが必要であることが想像できる。


後日、話を聞くことができた。

宮崎駅9時40分発のバスに乗車。11時7分に鵜戸神宮バス停留所に到着。
本殿で願望成就したことの御礼(おれい)をして、御札(おふだ)を返し、日々の生活における感謝を伝えたという。
神様にエネルギーを頂いて日常に戻る。

しかし、次の宮崎駅行きのバスは、約2時間後の13時22分発である。

宮崎駅に戻って来れたのは、14時50分過ぎ。
そこからホテルに預けてある荷物を持って、宮崎空港まで移動。
18時台の便で空路大阪伊丹空港へ向かい、帰宅の途へ。

参考資料①
参考資料②


参考までにだが、沖縄那覇空港から札幌新千歳空港までの距離は2,244km。
直行便でフライト時間は平均3時間5分とある。
宮崎中心部から鵜戸神宮までの距離は、約41km。

参拝所要時間は、神さまと江口さんだけがわかっている。


随分とむかしは、断崖絶壁に位置する鵜戸神宮に命がけで参拝する人びとがいたという。
現在は、環境整備はされているが、違う意味で命がけで参拝する場合があると知る。
消費するエネルギーは、どちらが高いかははかり知れない。

公共交通機関を使っての鵜戸神宮参拝は、時間とエネルギーと感謝の気持ちいっぱいで行いたい。

足と腰と心に体力をつけて
定期的に訪れたい💦


都会での生活に慣れた江口さんが、この計画を実行するのには、計り知れない思いがあったのだと感じる。
江口さんの口ぐせは「ありがたい」
である。

『アクセス悪くてもまた、行きたい神社です』

と連絡がきた瞬間、神さまと私は天井を突き破った空のかなたでタックを組んだ。

本殿



当たり前の日常に感謝。
当たり前にあるしあわせを感じる。
飲み水でお風呂に入り、スイッチひとつで部屋が快適になる。
有難いしあわせに満たされている日々に気がつく。
それを感じるこころが豊かな明日をつくる。
こんなことを考えさせてくれる、出会いになった。

江口さん(仮名)🌺
大阪マダムはあめちゃんを持ち歩き配るってほんとですか?って聞きたい🍬


江口さん夫婦の九州の旅(すごく内容濃くてよいプランなので参考にしてください)


1日目 大阪港発(さんふらわあ)      ⇒鹿児島志布志港着【指宿泊】     

2日目 鹿児島市内と仙巌園観光                【鹿児島市内泊】

3日目 鹿児島⇒宮崎  
   鵜戸神宮参拝 【宮崎市泊】

4日目 宮崎市内⇒高千穂町 
   高千穂峡 高千穂神社参拝
   夜神楽見学 【高千穂泊】

5日目 高千穂町⇒熊本県                   【黒川温泉泊】

6日目 熊本県⇒大分県 
   宇佐神宮参拝後へ別府市
     別府港発(さんふらわあ)                        ⇒神戸港着


旅費はおとな2人で20万1千円也
福利厚生補助20万
手出し1千円也🎊
さすがです


タイトル「癒やしのとき」
特別出演 江口さん夫




鵜戸神宮は、宮崎県日南市の日南海岸国定公園のほぼ中央に位置しており、日向灘(ひゅうがなだ)に面した大洞窟のなかに鎮座している。

鵜戸神宮を含めた鵜戸崎は、国指定の天然記念物である「鵜戸ヘゴ自生北限地帯」をはじめ、県指定の天然記念物「鵜戸千畳敷奇岩」や市指定の「鵜戸山別当墓地」「鵜戸神宮本殿」などの指定文化財が集中している。

創建は第十代崇神(すじん)天皇の御代と伝えられている。

古くから、安産・育児・漁業・航海の守護神として崇められている。 





主祭神は鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)である。
父神は、火遠理命(ひおりのみこと)別名山幸彦、母神は豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)である。

豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)を出産する際に、本来のワニの姿を見られたことから、海に帰ってしまう。
かわりに妹の玉依毘売命(たまよりひめのみこと)が養母となった。
鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)玉依毘売命(たまよりひめのみこと)はのちに夫婦となり、五瀬命(いつせのみこと)稲氷命(いなひのみこと)御毛沼命(みけぬのみこと)神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)の四柱の神を誕生させた。

神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)
はのちに初代天皇の神武天皇となる。

よくみるとみな個性的🐵

邇邇芸命(ににぎのみこと)は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)に命れじられて高天原から高千穂へ天下り、木花佐久夜姫(このはなさくやひめ)と結婚して火照命(ほでりのみこと)別名海幸彦火須勢理命(ほすせりのみこと)火遠理命(ほおりのみこと)別名山幸彦の三神をもうける。

木花佐久夜姫(このはなさくやひめ)の父神は、山の神の大山津見神(おおやまつみのかみ)である。

運玉
男性は左手、女性は右手で願いを込めながら運玉を投げ、亀石の桝形に入れば願いが叶うという


火遠理命(ほおりのみこと)(山幸彦)は、海の神である綿津見大神(わたつみのおおかみ)の娘、豊玉毘売命(とよたまひめのみこと)と結婚して鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)をもうける。


お乳岩
豊玉姫が御子を残し海神宮へ帰る前に両乳房を岩にくっつけて行かれた
たえまなく岩清水が滴るという



邇邇芸命(ににぎのみこと)が天下り、鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)に至るまで(邇邇芸命→火遠理命→鵜葦草葦不合命)「日向三代」と伝承されている。

日向三代の最後を締めくくる、鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)は海と山を結集した霊力を持ち、海山の恵みをもたらす偉大な力を持った神である。


わが子である、神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと)、
のちの神武天皇が、天皇家の初代であるならば、高天原から天下って来られた天津神の子孫の中では、鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)は「神代最後の神」であり、「最初の人間の父」になる。

海と山の霊力を持ち、地上世界の統治者としての立場と「最後の天津神」として、そして「最初の人間の父」としてお役目を全うした。

鵜戸神宮は、そのほかのご祭神として、天照大御神(あまてらすおおみかみ)天忍穂耳尊(あまのおしほみみのみこと)邇邇芸命(ににぎのみこと)彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと)を祀っている。

日向三代に至る系図をみて思うことがある。
ある神は醜いという理由で妻の姉神を親元に返し、またある神は身ごもった妻に本当に自分の子かと言ったり、みないでくれといったのに出産のときを覗いた神の神話の世界の話がある。
鵜葦草葦不合命(うがやふきあえずのみこと)は、養母であり、叔母でもある玉依毘売命(たまよりひめ)に求婚したとき、立場や年齢差があることを理由に断わる玉依毘売命(たまよりひめ)を何度も説得し、そののちに夫婦になったとある。
その根底には、玉依毘売命(たまよりひめ)に対する長年の感謝の思いが深くあったと思われる。
子どもはお乳だけでは育たない。古事記や日本書紀にはないが、スキンシップとアイコンタクトがお乳と同じくらい必要である。

神代最後の神であり、最初の人間の父となる神は、生まれた時から玉依毘売命から愛情をもらい、先人たちの過去の失敗や過ちから学びを得て成長し、国を治め活躍したのであろう。

鵜戸神宮
宮崎県日南市大字宮浦3232番地 TEL 0987-29-1001

交通アクセス
宮崎中心部より 41km
宮崎交通日南海岸鵜戸神宮下車 バス80分 タクシー50分

宮崎空港より 35km バス60分 タクシー40分

日南中心部より 12km バス20分 タクシー15分

参考文献
日南市史
鵜戸神宮本殿調査報告書
鵜戸山 本部雅裕 鉱脈社
みやざき神社めぐり 鉱脈社
神々の系図 川口謙二 東京美術
神社 三橋健 日東書院


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