こもれび文庫
母になりたくて
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母になりたくて

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一瞬、時が止まって、あの頃に逆戻りしました。そして、涙が止まりませんでした。

あんなに手が届かない雲の上のような存在…探しても、探しても見つからなかった、自分のことを、同じ目線に立ち、受け止めてもらえる人の存在がいることで、肩をなでおろす自分がいました。

どうして、もっと早く、私に、その存在が探せなかったのでしょうか。 きっと私が守りたかったのは、自分だったのかもしれません。自分の前にあることと向き合うことが怖かったのかもしれません。

苦しくって、苦しくって…情けなくって、あんなにも、何かにすがりたくなったことはありません。


子どもの小学校入学をきっかけに、先も見えない、真っ暗で光もない、深い深い井戸の中に落ちました。あんなに、たくさんの場所に出向いて、相談して、時間を費やしたはずなのに、点と点は結びつくことはありませんでした。

子どもが学校で何かがあるたびに何度も、何度も、頭を下げ「仕方がないんだ」と自分に言い聞かせていました。毎晩、子どもの寝顔を見ながら「なぜ、あんなことになってしまったの?お願いだよ。声に出して。思い出して。母ちゃんに教えて。」と泣いていました。

子どもが説明をできないのをいいことに、学校の都合のいいように片づけているのかもしれない。自分が見ていない間に、どんな扱いをされているんだろう。でも、証拠がない。
ずっと一緒にいるわけにもいかない。学校は、私が無知だと知っていて、言いくるめられていないか?そう考え始めたら、子どもを取り巻く環境が恐怖に思えました。

ですが、そんな毎日でも、学校に行かせないという選択肢は、私にはありませんでした。

義務教育は当たり前。行かせなかったら、学力が身につかない。周りの人は、虐待してると思うかもしれない。子どもの将来がかかっているんだ。義務教育は二度と戻ってこないんだ。

どれも今考えれば、子どものことよりも、自分のことだったのだと気が付きました。 「せめて3歳までは、子どもの側にいてあげなさい。」と母に言われたものの誰一人できませんでした。 家計のこともあり、私が専業主婦になるということは、長女が生まれた時からずっとできるはずもない状況でした。

学校にいってくれないと、働けない。働かなければ、生活が成り立たない。

シーソーの真ん中に立っているような気持でした。どちらにも、傾いてはいけない。
どんな時も、そう思い続けていました。

今、考えれば天秤にかけることではなかったのかもしれません。
でも、無我夢中で「母親」になろうとしていました。どうなっていたら母親と呼べるのかも分からないまま、母親になろうとしていました。

そして、今、改めて思っています。
子どもが、私のところに生まれてきてくれたのは、偶然じゃなくて必然だったのかもしれないと。医療・教育・美容など、様々な職種経験を持ちながら、今こうして3人の母となって、自分の知らなった視点から、世の中を見ることができています。苦しい日々もありましたが、だからこその今だと思います。
                                         text/まるこ

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