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読書ノート 「フェミニストってわけじゃないけど、どこか感じる違和感について~言葉にならないモヤモヤを1つ1つ『全部』整理してみた」パク・ウンジ著 吉原育子訳

 


 一貫したフェミニズム。
 年齢や容姿からかわれたり、夫の体格の変化の責任を義理の両親からやんわり問われたり、女性ならできて当たり前な役割を意味するような言葉に、そういう小さな1つ1つに違和感を持つ。
 職場の男性たちとの会話、夫との会話、その家族との会話を通して感じる違和感を、なぜそう感じるのかを内省し続ける。
 夫や義理の両親に言いにくいこともちゃんと意見を言って対話していてすごい。
 韓国も、儒教が根強い社会だし、兵役制があるから、年功序列や性差別はなかなかきつそう。

 印象に残ったトピックいくつか。

〇「人種差別は終わった」と白人が言っても説得力がない
〇差別が終わったといえるのは「差別されている側」。
 私も、男性が「今はもう男女平等でしょう?」と言っているのを聞いてモヤモヤしたことは何度もある。「女性専用車両」や「レディースデイ」「レディースセット」「女性は会費が安い」とかそういうのを見て言ってるんだろう。女性専用車両でも作らないと毎日のように痴漢が起きる事自体がおかしいんだし、レディースデイの類は社会的な優位性では全くない。
 性差別が昔よりはだいぶよくなったとはいえ、もう十分というわけではない。差別されていなかった側が線引きできるものではない。

〇その伝統と慣習が誰の犠牲の上につくられた、それらしく見える城なのか、そのてっぺんから見下ろしてみたことはあるのか
 新年の家族の行事に行かなかったときに義父から「伝統・道徳・慣習がこの世の中ではとても重要だと思う。」という手紙が来たことに対して著者が思った言葉。そ・の・と・お・り!
 そういう挨拶や対応を夫でなく嫁がするべきという慣習もややこしい。
 歴史的な功績や名を残した偉人たちの日々の生活のサポートはだれがしていたのか?それなしにはなしえなかったことも多くあったんじゃないかな。

〇ペンス・ルール
 metoo後以降、当時アメリカ副大統領だったペンスが「妻以外の女性とは二人きりにならない」という発言にちなんだ言葉だそう。じぶんはそんなつもりはなくてもセクハラになってしまうのが困るから、最初からそう言う状況にしないという理屈。意図せずにセクハラをしてしまう可能性があるから、ということが女性差別に対して意識が低いってことのあらわれ。
 女性を排除しても社会活動ができるんだから言えることだよなあ。

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