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こみゅリポ Vol.03「エスノグラファーと解き明かすゲームコミュニティ」〜スプラトゥーンコミュニティ概要〜

Tonamelのコミュニティマネジャーのさとけんと、いろいろなゲームコミュニティのイベントオーガナイザーが集まって、ゲームコミュニティの魅力や謎を、プレゼン/ディスカッションを通じて明らかにしていくイベント「こみゅリポ」

vol.03の回は「エスノグラファーと解き明かすゲームコミュニティ」というタイトルで行われ、『スプラトゥーン』シリーズにおいて累計180回もの大会を主催、運営した経験のあるOdaさんによるプレゼンが行われました。またプレゼン後には文化人類学的・社会学的に様々なフィールドを調査・研究するエスノグラファー神谷俊さんをはじめ登壇者を囲んでディスカッションが行われました。

『スプラトゥーン』は4vs4のアクションシューティングゲーム(TPS)です。ポップなグラフィックや音楽に加え、カジュアルに楽しめるナワバリバトルからランクを賭けたガチマッチまで楽しめる多様な遊び方が好評を博し、『スプラトゥーン2』は世界で1000万本以上を売り上げるほど成功しています。このような多様性により、コミュニティ内部も女性が26%、また10代未満だけで60%を占めるなど、遊んでいる人の層が広い点が特徴です。

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大会そのものもバラエティに富んでいます。オフラインよりもオンライン大会が多く、参加者が広く楽しめる総当り形式のエンジョイ系大会が中心になのです。実際にOdaさんが開催する大会も、本格的に腕前を競い合う「エリア杯」のような大会から、ペアで参加する「ベスト・イカップル杯」、海外交流を交えた「SSOpen」など幅広く手がけられました。

特に「ベスト・イカップル」は他のゲームにはなかなか見られない形式で、キャラクターを男女(ボーイ・ガール)にして装備もペアルックにするなど、男性女性問わず共に楽しめる大会を考える中で生まれたものです。賞品もボランティアで参加するイラストレーターに自分好みのイラストを描いてもらう権利など、他の大会ではまず見ない賞品。それもただ優勝するだけでなく、一勝するだけで授与するなど、「エンジョイ勢」に対する配慮も欠かしません。

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Odaさんの考える今後の課題点として、エンジョイ勢だけでなく「ガチ勢」が本気で勝負できるような、固定チームが存在し、持続的に開催される大会のような場所が必要だと考えていると話します。エンジョイ勢が楽しめる大会も、Instagramなど様々なSNSを巻き込んで、常にあたらしいファンを増やしていきたいと言います。

同じく「こみゅリポ」に参加する神谷さんからは、そもそも何故「ガチ/エンジョイ」という区分けが発生したのかという疑問があがりました。これは、最初からゲームの中で”ナワバリバトル”と”ガチマッチ”というモードを選択する機能が備わっていて、そうした体験が自分のゲームに対する姿勢を追認させている点が説明されましたが、逆にこの機能の分け方がエンジョイ勢からガチ勢への流入を妨げているかもしれない。同時に、サッカーにおいてプロ選手が学校を訪問するように、ガチ勢における憧れの対象が存在するなど、「エンジョイ」から「ガチ」への流れを作ることが大切と話します。

一方、「ガチ」が発展してプロフェッショナルの世界にまで浸透すると、ゲームの勝敗に応じて莫大な金銭や社会的評価のような功利を追求する行為になるため、本来功利を一切含まないはずの「遊び」からは逸脱してしまう。そうなると、むしろ観戦する行為の方に「遊び」を見いだせる仕組みを作る方が良いかもしれないとも提案しました。

トークの内容をより詳しく知りたい方は、こちらのリンクから当日の「こみゅリポ」のアーカイブをご覧ください!


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