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関係人口創出はコミュニティ視点が必須。コミュニティマネージャーがローカルで活きる道
こんにちは。コト暮らしの長田です。
今年に入ってから、ありがたいことに地域関係人口創出の案件にいくつか関わらせていただいております。
ひとつは、愛媛県大洲市の関係人口プロジェクト。観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」に採択された一般社団法人キタ・マネジメントのプロジェクトに、コミュニティアドバイザーという形で関わらせてもらっております。
もうひとつは、福島県双葉町の関係人口プロジェクト。こちらはNPO法人グリーンズチームの一員としてジョインしており、全体のプロジェクトマネージャーをやっています。現地ツアー、スクール、取材記事の発信などを通じて、中長期的な関わりを持ってもらうというものです。
そんな状況もあり、改めて関係人口について調べています。調べているなかで、今感じていること・考えていることを本noteにまとめておこうと思います。
ローカルコミュニティや関係人口に関心がある方は、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
関係人口とはなにか?
そもそも関係人口とは何なのか?から整理していこうと思います。
関係人口については、ローカルジャーナリスト田中輝美さんが探究してくださっており、「関係人口をつくる-定住でも交流でもないローカルイノベーション-」「関係人口の社会学-人口減少時代の地域再生-」を出版。こちらも一通り拝読しました。
また、総務省が運営している「関係人口ポータルサイト」も拝見し、関係人口の定義が下記のように記されています。
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、変化を生み出す人材が地域に入り始めている例も多くあり、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されています。
図としても提示されており、こちらを見るとさらに理解が深まります。
![](https://assets.st-note.com/img/1720659695677-BasAbmoiY0.png?width=1200)
その土地に住民票を移し、根を下ろし暮らしている「定住人口」でもなく、観光など短期的で消費的な関わりである「交流人口」でもない、関係人口の要素を私なりに整理したところ、下記の部分がポイントだと思います。
★関係人口のポイント
・期間:継続的(単発、短期では終わらない)
・関わり方:消費的〜生産的まで幅広い
・立ち位置:あくまでよそ者(住民票は地域の外)
このような関わり合いを増やしていくことが、関係人口創出の取り組みだと言えそうです。
関係人口は関係性の編集
田中輝美さんは、本の中で下記のように書いています。
関係人口は、量ではなく、関係性の質にアプローチすること
これはとても大切な視点だと思っています。とにかく数を追い求めるのではなく、ローカルと人の関係性に着目することが大切だということは、関係人口を考えるうえで、忘れてはいけない前提です。
と同時に思ったのは、この考え方はとてもコミュニティ的だということ。コミュニティも、数で語るのではなく、そこにある関係性に着目することが大切だからです。(コミュニティの成果を数で語る人もいますが、それに関してはかなり懐疑的です)
私はコミュニティを考える際、このような同心円状の図を頭にイメージしています。コミュニティにはひとりひとりに合った関わり方がグラデーション的に存在しており、それを表現した図です。
![](https://assets.st-note.com/img/1720681281739-llRDSpw1IK.jpg?width=1200)
これはローカルにおいても同じように表現することができるはずで、関係人口とは「この層をひとつ以上増やしませんか?」という提案だと思うのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1720681608333-4UV19pzpWJ.jpg?width=1200)
関わり方のグラデーションを増やすということは、新しい関係性を生み出すということ。つまり、「関係性を編集する」ということになります。
それは、どのような体験をしてもらうか?を単発で考えるということではなく、基本的に中長期的な視点に立ちながら、関係性を育むための環境・コミュニケーションを設計していくということです。
先日、コミュニティマネージャーの定義を「関係性の編集者」と捉え直したところなので、まさに関係人口はコミュニティマネージャーの本領発揮どころだと言えそうです。
これまでコミュニティマネージャーの定義を「コミュニティの環境を整える存在」としてきたけど、これからは「関係性の編集者」としていきたい。それが本質だと感じる今日この頃。
— 長田 涼|コト暮らし (@SsfRn) July 1, 2024
関係人口が生まれるステップ(仮)
では、どのようにして、関係人口は生まれていくのでしょうか?
きっとこれは十人十色の道筋がありそうだなと思いつつ、仮説ベースで実体験を踏まえて考えてみようと思います。
先に出しておくと
【関係人口のステップ】
1. 短期的に地域と接点。そこで継続的に訪れたくなる要素が発生
2. 2回目以降足を運び、まちで消費活動を行なう
3. そこに能動的アクションが加わってくる。より深度のある体験を得ていく
4. 体験が消費から生産へ幅が広がっていく
5. まちの課題へアプローチするようになる
まず、最初に地域との接点があります。普通に観光しようとか、友達に会いに行くついでに地域に触れるなど、人様々な接点があると思います。ただ、この時に「もう一度来たい」と思える体験があるかないかが大きな分かれ道。(ステップ1)
例えば私の場合、多くの知り合いが複数できたことで、もう一度足を運びたくなります。愛媛県大洲市、島根県大田市、鳥取県大山町などはまさにそういう理由で、何度も通っています。
そうなると複数回足を運ぶようになり、定期的にそこで消費活動を行なっていきますよね。関係人口の定義上、消費活動の範囲に収まっているうちは、まだ交流人口の枠組みの中になりそうです。(ステップ2)
そこから半歩出ていくためにも、能動的アクションが必要になる。受動的なスタンスから脱し、自ら働きかけることによって、他にはない少し深度のある体験を得られる機会を得られるようになります。(ステップ3)
すると、少しずつ消費体験から生産体験へと体験の幅が広がっていき、関係性に変化が訪れます。ここでようやく関係人口の入り口に立っていく。(ステップ4)
田中輝美さんは本の中で、地域課題へのアプローチにつながっていくことの重要性を説いていますが、そこまでいってようやくしっかりとした関係性が育まれた関係人口になると言えるのだと思います。そんな地域課題に触れ、自分ができることを考え、実践することができれば、立派な関係人口と言えそうです(ステップ5)
関係人口を生み出すために必要な要素
ステップとして整理してみましたが、綺麗にステップを登っていくことは簡単ではありません。必要な要素は山ほどありそうです。
ここも仮説ベースではありますが、関係人口を生み出すために必要な要素を考えてみたいと思います。
地域コミュニティ(他者)との接続
まず、地域コミュニティと接続されることは大前提必要と言えそうです。継続的に関わりを持つためにもすでにあるコミュニティとつながっておけると、あらゆる点へと発展していく期待が持てるからです。なにより、先ほど記載した同心円状の中心には、地域コミュニティがあると考えています。そこと関わり続けたいと思えるかどうか?を考えることは大切だと思いますし、もしポジティブな印象を受け取ってもらえた場合は、自発的に関わりをつくっていく可能性を感じられます。
主体性を引き出す余白
これはコミュニティ的視点での話になりますが、コミュニティとは有機的なものであり、互いに関わり合って働きかけ合って育まれていきます。だからこそ、ひとりひとりが主体性持つことが大切です。そんな主体性を引き出すためには、余白が必須となる。このまちでは、自分の想いや考えていることを投影できる余白があるのか?受け取ってもらえるのか?は、関わろうとしているひとにとっては大切なポイントだと思いますし、それは余白の存在を確認しているということでもあります。
継続的に関わりたくなるきっかけ
さきほどのステップで言うと、1の部分の分岐点の話です。今後も継続的に足を運びたいと思うのか?そう思えるきっかけがあるのか?は問い続けたい部分です。これは仮説ですが、そのきっかけとなりえる体験や機会をデザインする際に、バリエーションの幅があることは大切になりそうです。その幅の分だけ関係人口の幅にもつながっていきますし、次のステップにつながる確度が増す可能性が高まります
訪れやすいハード面や制度の整備
外から関わろうとすると、どうしてもお金もエネルギーも時間もかかってしまいますよね。そんな時に、その負担が軽減される制度や宿泊施設などがあると、当事者からしたらかなりありがたいもの。その整備が引かれたローカルには、人の流れが生まれやすいので、可能な限り対応していきたいポイントです。
合う人が訪れやすくなる仕組みや流れ
関係人口では、量より質を見るという話をしましたが、そのためにもコミュニティ的な「合う合わない」の概念を持つことは大切だと思います。このまちに合う人は誰なのか?どうすれば、その人たちが訪れてくれるのか?は考え抜かないといけないなと。こういうローカルの話になると万人を受け入れようとしがちですが、それを手放すところから始められるといいかもしれません。
最後に
関係人口、ローカルをコミュニティとして捉えることができるのは、コミュニティマネージャーとしての経験があるからこそだと思います。
僕自身、オンラインコミュニティのマネジメント経験を、どのようにローカルで活かせばいいのか?がわかるようでわからない状況が、移住してからずっと続いていました。
その足掻きのなかで見えたのが、今回書かせてもらったようなコミュニティ・関係性を捉える力です。まだまだ仮説だらけなところはありますが、ひとつずつ実証実験を繰り返し、新しいローカルコミュニティ論を築いていこうと思います。
最後に、関係人口創出にあたり、おすすめのサービスを置いて終わりにします。参考までに!それでは!
▼遊ぶ広報
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【合同会社コト暮らしの紹介】
— 長田 涼|コト暮らし (@SsfRn) June 4, 2024
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