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「三菱商事、インドで日本車販売網 現地大手に3割出資」に注目!

三菱商事、インドで日本車販売網 現地大手に3割出資 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

三菱商事は今夏からインドで自動車販売店事業を始めます。インドの自動車販売店を手掛ける会社に3割出資し、ホンダなどの日本車を販売します。電気自動車(EV)も扱い、普及を後押しします。インドは新車販売で中国や米国に次ぐ世界3位ですが、日本勢はスズキ以外は手薄でした。日本車の販売網を構築し、巨大市場を開拓します。

インドで自動車販売などを手掛ける大手のTVSモビリティが自動車販売店事業を分社化し、新会社に三菱商事が3割強出資します。三菱商事の出資額は50億〜100億円程度になる見通しで、社員も派遣します。今夏にも規制当局から認可を得て出資します。

新会社はブランドごとに専売店を展開します。現在の店舗数は約150店舗で、インドの独立系自動車販売店では最大規模となります。

三菱商事は新会社をインド車に加えて、日本車の販売拠点にもする考えです。まずTVSで既に扱っているホンダの販売を拡大します。日本の自動車メーカーとの交渉を担い、日本車のブランドや車種を増やします。スマートフォンアプリで整備の予約や保険の購入をできるようにし、きめ細かいサービスで販売拡大につなげます。

インドでは基本は自動車メーカーごとに設けられた専売店での販売が主流です。マルチ・スズキを子会社に持つスズキは複数の販売会社を通じて強固な専売店のネットワークを築き、2023年の乗用車販売台数でシェア4割を持つ最大手です。

一方、専売店の販売網が弱いトヨタ自動車(同5%)やホンダ(同2%)はシェアが低いです。メーカー主導で専売店を拡大するには投資負担が重いほか、出店拡大にも時間がかかります。三菱商事は新会社で複数の日本車ブランドの専売店を増やし、シェア拡大を支援します。

インドは人口増加などを背景に自動車市場の成長が続き、2022年に国内販売台数で初めて日本を上回り世界3位となりました。インド自動車工業会(SIAM)によると、2023年の新車販売台数(出荷ベース、乗用車と商用車の合計)は2022年比7%増の約508万台に上り、2年連続で日本を超えました。所得水準の向上で、今後も6〜7%の高成長が見込めます。

インドはEV市場としても有望です。インド自動車販売店協会連合(FADA)によると、乗用車のEVの販売台数は2023年に8万2105台と、2022年に比べて2.1倍の水準となりました。2022年のEV販売比率は1%程度ですが、インド政府は2030年に30%に引き上げる目標を掲げています。

三菱商事は1950年代からタイとインドネシアで自動車販売事業を始めるなど、日本車の東南アジア展開を支援してきました。しかし、中国最大手の比亜迪(BYD)など中国勢の攻勢で日本車のシェアが低下しており、巨大市場のインドで巻き返しを狙います。

スズキはインドが国民車構想を立ち上げ、パートナーとなる海外の自動車メーカーを探していたことから、1982年にインドへ進出を決めました。その際、インドのニーズに合わせて軽自動車よりも大きな800CCエンジンや鉄製バンパーを採用する等を行い、現地専用車にしています。また、インドでは日本よりも3倍程度多い販売店を持っているのもシェアが高い理由の一つです。

今回、三菱商事を通じでホンダ等の日本車メーカーの販売店を広げて顧客との接点を拡大させます。マーケットが拡大しているインド市場でのシェア拡大に期待しています。