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「日立、家庭用エアコン『白くまくん』生産売却 ボッシュに」に注目!

日立製作所、「白くまくん」空調合弁の持ち分売却1250億円 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日立製作所は23日、米ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)との空調合弁会社の4割の持ち分を独ボッシュに売却すると発表しました。6割を保有するJCIもボッシュに全株を売却します。日本国内の業務用空調事業は日立の家電子会社に移管します。日立は事業再編で2026年3月期に1250億円の売却益を計上します。

ボッシュが100%株式を取得する合弁会社、ジョンソンコントロールズ日立空調は日本で「白くまくん」のブランドで家庭用エアコンを展開しています。ボッシュ側は各国の競争法当局の審査を経て2025年4〜6月期をメドに買収手続きの完了を目指します。

空調設備は新興国で需要が拡大しているほか、建設ラッシュが続くデータセンターなど業務用途も増えています。業務用空調はエレベーター事業を手掛ける日立ビルシステムなどとの相乗効果が見込めるとして継続保有を決めました。

合弁会社は日本国内に栃木県栃木市と静岡市に生産拠点を持ちます。家庭用エアコンを手掛ける栃木市の工場はボッシュ傘下に移り、業務用エアコンの静岡市の工場は日立の家電子会社、日立グローバルライフソリューションズ(GLS)傘下となります。家庭用エアコンの日本国内の販売事業も日立GLSが引き継ぎます。

日立とJCIは双方の空調設備事業を切り出す形で2015年に合弁会社を立ち上げました。合弁会社の売上高は約30億ユーロ(約5100億円)で、従業員数は1万1000人規模といいます。

日立は2009年3月期に巨額赤字を計上したのを契機にIT(情報技術)を中心とした事業入れ替えを進め、ITとエネルギー、インフラを中心とした事業構造となりました。

その一方で、資本効率を高めるために非中核事業の資産売却は続ける方針を示しています。既に連結対象から外れたJCIとの空調合弁の持ち分を売却することで、人工知能(AI)など成長領域に経営資源を振り向けます。自社株買いなど株主還元の拡充も検討します。

また、独ボッシュは23日、米ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)と日立製作所の家庭用空調合弁会社を約80億ドル(約1兆2500億円)で買収すると発表しています。同社のハルトゥング取締役会会長は日本経済新聞のインタビューに応じ、「アジアなど空調市場の成長機会は巨大だ」と強調しました。

また、「ボッシュは家庭向けや小規模商業施設向けにターゲットを絞っている。大規模な商業施設向けには注力していない。今回の買収はこの2つのターゲットに向けて事業を強化するためのものだ」とコメントし、欧州の家庭用エアコン市場については「欧州市場は規制次第ではどちらに転ぶか分からない。ただ一般的に市場を戦略的に見た場合、高い成長率で推移するだろう。伝統的な暖房機器からエアコン技術へと移行が進んでいることや、夏の気温が高くなっていることも追い風だ。欧州では2030年までに30%の市場成長を見込んでいる。(買収は)長期的にはいい決断だ」とコメントしています。

また、アジア市場については「中国には多くの中産階級がいて、東南アジア諸国連合(ASEAN)にはまだ多くの発展途上国がある。アジア市場の成長機会は長期的に巨大だ」とコメントし、「家庭用空調事業はリスク分散させるための戦略的な柱として育てたい。全ての事業部門を強固にすることで、他の事業部門にもメリットがもたらされるだろう」と認識しています。

日立は今回の株式譲渡で得られる資金を成長投資や株主還元の原資として活用するとしています。また、ボッシュおよび新会社を通じて、競争力の高い日立ブランドの空調機器のグローバル展開を強化するとしています。

今後の日立の成長に期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。