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ペットフードブランドが実践する製品づくりの考え方をすべてお伝えします

この記事の趣旨

こんにちは、株式会社エイチームコマーステック代表の望月と申します。
昨年リリースしたペットフードのEC事業について、製品開発をどのように考えているかを記事化し公開することにしました。
本記事が、製品づくりに関心がある方、またはペットフードの品質に問題意識を持っている方のお役に立てると嬉しいです。

自己紹介

私は名古屋のIT企業、エイチームグループの子会社であるエイチームコマーステックの代表をしています。
私達は「ココロが動く買い物を」をミッションに、より良い顧客体験をどう提供するのか仲間と日々奮闘しています。
現在は、自転車通販サイト「cyma」と国産ヒューマングレードドッグフードの通販サイト「Obremo」を運営しています。

私たちのミッション

コーポレートサイトでも説明していますが、エイチームコマーステックでは、「ココロが動く買い物を」をミッションに掲げています。
ココロが動くとは、消費者が認識しイメージしている枠を超えたことで生まれる感動や喜びや驚きなど様々な感情の動きを意味し、私たちは買い物によってそんな感情が生まれるようなサービスを作り、提供し、体験していただくことが使命であると考えています。
ココロが動く買い物をどうするのか、動詞が抜けているのはそこに様々な意味を込めているからです。
私たちは商売を通して、このような買い物体験を顧客に提供することが、売り手、買い手、世の中(小売業界)をより豊かに、幸せにできると信じています。

品質が高いだけではダメ

誤解を恐れずにいうと、私たちはただ品質が高いだけのものを作りません。
ここでいうところの品質が高い製品とは以下のようなケースをイメージしています。

  • より高級な、希少性の高い材料を使用した製品

  • 最新の製造設備や新しい製法を用いた製品

  • より専門性が高く特殊な機能を備えた製品

もちろん、素材や製法にこだわることで品質の高い製品に仕上げていくことは正しいと思いますし、私たちもそうありたいと思っています。
ただ、前提として「顧客がその品質を認識する」かどうかが大切であり、それをクリアしていなければ、たとえ業界の最高水準の品質であっても私たちが作ることはありません。
これは、前述した当社のミッションにも関わる話ですが、顧客に認識されない品質は、たとえその希少性が高くとも、価値を感じていただくことはできないからです。
具体例をあげて説明します。

こちらはユニクロが2004年に発売した、アウトラストという素材を用いたフリースです。
アウトラストとは、NASAが開発した温度調節素材で、今でこそたくさんの衣料品や寝具で使用されていますが、当時はほぼ知られていない素材でした。
つまり、顧客が認識していない、かつ高品質な製品といえます。
こちらのフリースが売れたのかは公開情報がないため判断できませんが、定番化しなかったことから、期待通りには売れなかったものと推測します。

顧客が認識しやすいだけでもダメ

では、顧客が認識することを重視すればいいかというと、それも違うと考えます。
顧客が認識する製品や品質で、最もわかりやすいのは、コモディティ化し、多くの競合が扱っている製品です。
このような製品は、すでに世の中にたくさん流通し顧客に認識されているため、どんな価値があるのかもイメージしてもらいやすいといえます。
一方で、コモディティ化しているということは、変化の余地があまり残されていないとも考えられます。
こういった製品を購入した顧客が抱く感情は、イメージ通りのものが手に入ったという「満足」であり、それ以上の感動や驚きといったものではありません。
私たちの製品が顧客に生み出したいと思っている感情は、満足を超えたところにあるため、私たちが扱うべき製品は「顧客が認識している」ことと「コモディティ化していない」ことを両立させる必要があります。

解決されていない顧客の課題

顧客が認識していない製品に価値を感じることはなく、はっきりと認識している製品は競争が加熱しコモディティ化するため、ちょうどいいポイントを見つける必要があります。
では、どのようにそのちょうどいいポイントを見つけるのか?
感覚的な内容になってしまいますが、ペットフードECブランド「Obremo」の立ち上げ時に、私たちがどのように製品を作ってきたかを例にあげて説明します。
Obremoの取り扱いを始めた経緯はこちらのnoteにまとめてあります。

ドッグフードを自分たちで作って販売しようと思ったきっかけは、記事内にもあるとおり、まともな素材・製法でつくったフードが見つからないという問題に私がぶつかったことでした。
まともな素材・製法と表現しているのは、それがどういうものか当時の私には具体的な知識がなかったからです。
つまり、「毎日安心して与えられるフードがほしい」という課題がはっきりしていて、「具体的な素材や製法の要件」という解決策が定まっていないという状態だったのです。
Obremoは同様の課題を抱える飼い主にに対して、安心して与えられるフードの要件を「ヒューマングレードの素材」「合成添加物不使用」「国内の衛生的な工場での生産」として製品化に取組みました。
幸いにも私たちは素晴らしい工場様と出合うことができ、当初定めた要件以上に付加価値の高い製品を作ることができました。
その結果として、発売から1年で累計65万食を提供し、現在でもさらに勢いを増して増え続けています。
なかなか定量的に測ることはできませんが、顧客から寄せられる声には、これまでのフードで抱えていた課題が解消されたというお声を多く頂いており、私たちが狙った品質のポイントはずれていなかったのだと実感しています。

最後に

本記事では、Obremoがつくろうとしている製品の概念について書きましたが、正直なところまだまだ核心にたどり着けていません。
今後も、私たちは課題感を起点に、「認識はされているけど解決策がない」ところに製品を開発し提供していきます。
思うような結果が出ないこともたくさんあると思いますが、その都度振返り、答え合わせをしていくことで、飼い主様と長期的なお付き合いができる存在になれると信じています。
どうぞご期待ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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