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投手学基礎「投手力を学ぼう」

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体格差が大きく出やすい小学生〜高校生に、投手を諦めることなく楽しく続けてほしいという願いを込めて書いています。投手としての技術や考え方を書いていますので、野球好きの方々の一助にな…
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記事一覧

即効性を求めると「壊れる・・・」

「球速アップの落とし穴:          急がば回れ、体と技術を守るためのアプローチ」 SNSで溢れる「球速アップ」トレーニング 最近のトレンド:球速を上げるための短期的なトレーニング その魅力と危険性について 高校生・大学生の体へのリスク 成長期の体が抱えるリスク 肩や肘への過剰な負担のメカニズム 技術が壊れる可能性 急いで得た技術が定着しない理由 長期的な視点での技術習得の重要性 バランスの取れたアプローチの重要性 球速だけでなく、体全体のコンディ

投手の基本技術

ピッチングフォーム ピッチングフォームの具体的な投げ方については、文字での伝達が難しく、読み手の解釈によって正確に伝わらないことが多いため、ここでは具体的な方法には触れません。技術の継承でもっとも優れたシステムは教習所だと考えています。教官が横に座り、車の状態(音や速度など)を一緒に感じることで、今の状態が良いのか悪いのかを共に感じながら指導することが重要です。 これは投球指導においても同様であり、ブルペンで同乗している状態で指導することが望ましいです。ある球団のスカウトが

学習目標と期待される成果

学習目標 本書を通じて、読者には以下の技術や知識を習得してもらいたいと考えています。 練習に臨む姿勢 受け身ではなく主体的に練習に取り組む姿勢を養う。 参画のハシゴ(Ladder of Participation)を通じて、自分の現在のフェーズを認識し、自己成長のプロセスを理解する。 最上段の「子供が大人を巻き込む」フェーズに到達することを目指す。 技術力の向上 正しいピッチングフォームの習得。 戦術的な投球方法の理解と実践。 ストライクゾーンの理解と制御

イントロダクション

投手学とは 野球は日本において昔から親しまれてきたスポーツであり、書店に行けば野球に関連する雑誌や書籍を多く目にします。著者も子供の頃からそれらに触れ、先人たちの知識や経験を得てきました。 また、様々な指導者の考え方に触れる機会がありました。プロの世界で選手・コーチとして活躍された方、大学野球の名将や投手育成で有名な方の指導法や哲学に触れる機会もありました。 著者が大学・社会人野球でプレーしている時にも後に新人王を取る選手や沢村賞を受賞する選手も近くで見てきました。その様

投手学基礎「はじめに」

背景と目的 私たちは野球において“投手を専門”として長年プレーしてきました。高校野球までは打席にも立つので”打者として練習”ももちろん行いますが練習時間の多くは”投手として練習”に費やしてきました。 私たちは野球選手としては決して体格や身体能力に恵まれているわけでもなく、特別足が速いわけでも、肩が強いわけでもありません。今まで出会ってきた投手の中には、身長が高く、軽く投げても140km/hを超える才能に溢れる選手も多くいました。彼らの中には、小学校や中学で世代を代表するよう