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ほぼ漫画業界コラム99【漫画家のAI活用の是非】

世界各地でクリエイターのAI活用について議論されています。まず、著作権の問題については、それは法律を作る人たちやそれに対応するAIサービス提供者たちが従うか従わないかの問題だと思うので、それに対しては僕は触れません。その国の法律に従いましょう。もしくはサービス提供者の方針に従いましょう。

僕個人はAIはどんどん使っていきたいと思います。僕はChat GPTぐらいしか使っていませんがとても刺激になりました。今年は僕自身もフル活用したし、周りにも使ってもらいました。で、それでわかった結論。
できるやつはAI使うともっとできるようになるし、できないやつはAI使おうが変わらない。
残酷な事実です。例えば生成プロンプトにしたって、プロンプトを書くのにセンスがいるし、生成されたテキストなり画像の是非を判断するのにもセンスがいる。少なくともChat GPTに関してはこんな結論でした。今のところ道具です。道具ってのは人間の能力に乗算的に作用するので、100の人間に10をかけると1000ですが、50の人間に10をかけても500になります。元々個人間の能力差は50だったのに、その差は500になって元の10倍差がついてしまいました。この場合のセンスってのは論理的な指示と、審美眼です。特に審美眼ってところが厄介なんです。AIが生成したものの良し悪しが分からないー例えばテキストなんかでもAI生成したものの良さが分からないと、変な直しを入れてしまう。編集で言えば既にその辺の編集者よりAIの方が優れた文章を書いているのに、それが理解できない編集者は「AIって使えないなぁ」とか言います。その人が使えてないだけなんですよ。

少なくともプロンプトを書かなきゃならない時点で、人間側の能力が低いとどんな有用な生成AIも大したことはできないんですよ。ひどい言い方かも知れませんが猿にスマホを与えても、何もできないのと同じです。これ恐ろしいです。若い人は良いのですが、僕ら40代なんか、まだまだ現役が長いのに、AIに対応できないと猿どころか金魚レベルの存在になるんじゃないですかね。AIにどう指示するのか、AIをどう使うのか。これからはそれが問われる。でも、これって人間が人間を使うのと似ているんですよね。良い会社も社長が無能なら業績が落ちるし、編集長が呆けてると媒体が死ぬのと同じですね。

で、今回のAI革命でもっとも恩恵を受けるのは漫画家だと思うんですよ。漫画家っていうかディレクターですね。WEBTOONなんかを語るときにプロデューサーばかり最近はフューチャーされますが、プロデューサーは基本営業職なので、そこまでAI革命の恩恵は受けないって思っています。逆にAIがやれないのは営業。人対人はまだまだ需要があります。今後、プロデューサーとして重要なのはコミュニケーション能力、それは外見とか声とかキャラとか趣味とか教養とか育ちとか、ありとあらゆるものを含めたつまり人間力が重要になるってことですね。

それに対してディレクターは良いものを作るのが仕事。良いものを作るには自分のクリエイティブ能力に加え、これまでは人を使う力、これからはAIを使う力が試されるのではないでしょうか。そんな漫画家(ディレクター)とプロデューサーがいればもしかして2人で大企業に勝つことも可能な時代になっていくのかも知れません。

個人もしくは同人サークルのような小さな団体が作った作品がジャンプ漫画よりバカスカ売れるようになるとめっちゃ面白いですけど、今の漫画バブルは崩壊しますよね。昨日のコラムの補足内容でした。合わせてお読みいただけると。本日のコラムでした。


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