月ぬ美しゃ十日三日 女童美しゃ十七つ
「なんで泣いてるの?」
「みんながいじめるんだ」
河童はキジムナーのそばで話を聞いていた。
「君はいじめたことはないの?」
そう言うとキジムナーの肩の震えが止まった。
「昔ピンザを仲間はずれにしたことがある」
「なんでそんなことしたの?」
十三夜の今日は月が煌々と輝いている。
少し時間が経ちキジムナーはポツリポツリと言葉を落とし始めた。
「ピンザは悪い人たちの子供だから、仲良くしちゃダメだって言われたの」
「でも、君に悪いことをしたわけじゃないんでしょ?」
キジムナーは無言でうつむいたままだった。
「なぜ僕をいじめないの?」
「僕もいじめたことはあるよ。でも、昔ベアードにいじめられて悲しくて、それ以来いじめないようにしてるんだ」
月は今日も東から昇り大地を照らしている。
「島で見る月と同じだね」
「お月様は平等だからね」
遠くで唄う声が聞こえる。
「ホーイーチョーガー」
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