ブレイクダンサーから見たオリジナリティの身につけ方
怪我で引退する20代後半までブレイクダンスをずっとやっていた。
一瞬で魅せることができる踊りだけど、一つの技を身につけるのに1年かかったりすることもあり、忍耐力が必要で、肉体的にも過酷な踊り。
僕が現役で踊っていた頃は、
特にパクリにめちゃくちゃ厳しかった時期で、
オリジナルの技やムーブ(一連のネタ、コンボ的な感じ)を作るのに多くの時間を費やした。
いろんなダンサーの動画を見て研究し、オリジナルのフリーズ(決めポーズで止まる動き)や、オリジナルの流れを考え、実際にイメージ通りできるかを試す。
イメージ通りいかないこともままあるので、できるまでひたすら繰り返し練習する。
しばらく練習してもできなくて、物理的、身体的に実現不可能な技だと結論付けることもあるし、できても思ったより良くないなってなって不採用にする事もある。
そうして、何年もオリジナリティの事を考えてやってると、だんだんと自分の中で線引きができてくる。
これはみんなやっているからやってもOKな技だな、とか。
これはあのダンサーが(有名無名問わず)やってて、あいつのオリジナルだからパクリNGだな、とか。
フリーズの形としてはカブても、そこまでもっていく過程を変えればパクリじゃないな、とか。
大まかにはそんな感じで線を引いて技を作っていた。
ある時感じたのが、ダンスに限らず、何かを何年も10年も突き詰めて得た考え方やロジックは、どの分野でも似てくるってこと。
最近読んだ「MOON -昴 ソリチュード スタンディング-/曽田正人」のあとがきで、バレエファンでもなく知識もない作者が描いた漫画だと知り、びっくりしたのと同時に、
きっと漫画家として漫画表現を追求していく過程で獲得した考え方やロジックがあるからこそ、経験がほとんどない分野を題材にしてもリアルに描けるのだと思った。
(もちろん綿密な取材や、作者自身、作品制作にあたりバレエに取り組んだり、しっかりとした積み重ねがある)
昔、友達と話してて「自分の子供がダンスやりたい、音楽やりたいって言ってきたらどうする?」って話になった時に、
「頑張っても結果はでないかもしれないし、それで食べてはいけないかもしれないけど、真剣にやって身につけた考え方や経験は、何やるにしても上の方では繋がっているから、どうせやるなら一生懸命やりな」と言うって答えた。
話を戻すと、
オリジナリティってどうやって身につけたらいいのかという事を、僕という元ブレイクダンサー視点から一つ示したいわけなのだけれど、
小さなオリジナルやこだわりを積み重ねていった結果としてオリジナルなスタイルは出来上がる。
当たり前だけど、近道はないし、とにかく追求し続けるしかない。
センスや才能はもちろんあるけど、価値観や目指しているものが本物でなければ、リアルなダンサーには近づけない。
オリジナリティの大切さや重要性を説明してわかってもらうのはとても難しいし、そのことについてはまた別の機会で文章にしたい。
僕が幸運だったことは、パクリは絶対認めてもらえない世界で長く切磋琢磨できた事だし、身近にリアルな感覚を持った先輩や先駆者がいたこと。
ダンスを通して得た経験や感覚は貴重な財産だと思う。
そのうちオリジナリティを追求する事のデメリットや、バトル精神論的な事も文章にしていきたいと思います。
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