ノスタルジーと冒険のはじまり
自転車に跨がればどこまでも行ける。
リュックには何だって詰め込める。
年を重ねた今でも、子供のころの郷愁に浸ることができる。
そんな大人になれてよかった。
素直にそう思えるのは、29年前に仕掛けられたある呪文が今もなお、その効果を発揮し続けているからじゃあないだろうか。
『MOTHER2』のおたんじょうび。
2023年8月27日。
子供のころから愛してやまない『MOTHER2』のおたんじょうび。
今日が日曜日だなんて素晴らしい。29周年を記念すべきこの良きに日にゆるりと祝杯を挙げ、どこかこの世界のような『MOTHER2』の世界を旅することができる。
#MOTHER2を遊ぶ日
かつては弟とゲーム機を取り合いながら(時間交代制)、少しずつ少しずつ大切に物語を読み進めた。当時は任天堂のスーパーファミコンでプレイしたけれど、今の主流はnintendo switch。一昔前ならゲームボーイアドバンスやDSか。
実家に眠っているであろうスーパーファミコンを引っ張り出したい衝動にも駆られるけれど、TVが無い!
何より今の私の愛機はコレだ。(ほぼMOTHER専用機)
MOTHER2の世界を持ち歩くことができるGAME BOY micro。何年か前に『ほぼ日手帳』で発売されたどせいさんポーチに入れてある。
早速、ニコニコしながら電源を入れた。
MOTHER2との出会い
当時は少なくとも今よりは沢山ゲームをした。限られたお小遣いで、どうやって手に入れるゲームを選んでいたのか、今となっては全くわからない。
けれど『MOTHER2』を手に取った理由は、今でも鮮明に覚えている。
中身がわからない【未知】だったから。
前作が発売された頃はまだゲームなんて知らない、物心がつくかどうかのお年頃。当然『MOTHER』の存在すら知らなかった。
だからカフェで周りの人たちがひたすら「MOTHER2〜、MOTHER2〜」と歌っている『MOTHER2』のCMが流れた時も、かの有名なキャッチコピー以外のことは何にもわからなかった。
「何だそりゃ!」
何にもわからない【未知】こそが私を突き動かした。
一体何が始まるんだという前のめりな気持ちと、どこかおどろおどろしさを感じる冒頭のサウンド。このSFっぽい画面にワクワクする気持ちも、今でも失くさずに持っている。
冒険のはじまり
折角なので、新しい冒険を始めようと思う。
まずは設定を。キャラクター名はおまかせでデフォルトにしつつ、子供のころ飼っていた犬の名前、最近ハマっている食べ物、心の必須栄養素をそれぞれに設定した。
急ぐ旅ではない。
来年のお誕生日まで、ゆるゆると楽しむくらいの心構えで進めようかな。
ここで紡がれる言葉や音楽は、どこまでも愛おしい。
もう一度じっくりと噛み締めたいと思う。
ノスタルジーの在り処
私のノスタルジアは紛れもなく『MOTHER2』にあると思う。
故郷があって、待っていてくれる人、見守ってくれる人、助けてくれる人、そして共に旅をする人がいる。前を見て世界を冒険できるのは、帰る場所が、安心できる場所がちゃんとあるからだと教えてくれた。
バックパックで旅に出るのも、自転車で走りたくなるのも、きっと『MOTHER2』をプレイした時の、噛み締めるような何かが今も心の奥深くに在るからだろう。
もっとずっと遠くへ行きたい。
ご覧下さりありがとうございます。書く力は灯火のようなもの。ライトに書ける時も、生みの苦しみを味わう時も。どこかで温かく見守ってくれる方がいるんだなあという実感は救済となります。