見出し画像

この夏、帰省前にできたこと

何年か前までの私の働き方は、連休を取りづらかった(ブラックとかではなく、あくまで自身の働き方。土曜日が仕事だったりする)こともあって、旅に出ることに非常に飢えていた。
金銭的な制約もあったが、移動にかかる時間はどうしようもなくて、休日に行ける場所、できることには限りがあった。

だからかしらん、今でさえ、架空の旅計画を夢想することは日常茶飯事だ。

・どの時期に、どのくらいの日程を確保できたら、何処へ行くか
・その土地にはどんな見どころがあって、何が美味しいのか
・徒歩で回れるような街の規模なのか、交通の便は良さそうか
加えて、フライトや宿について調査してみたり、その土地の気候に応じた旅装を考えてみたり、パッキングリストを作ってみたり。

まあ、それはそれで幸せな時間ではある。

この夏の計画

この夏も、何をしよう、何処へ行こうとあれこれと考えていたのだけれど、みるみるうちに時期が迫ってきて、結局は何も予定を入れないことにした。

一応言い訳しておくと、そろそろ海外へも出やすくなってきたぞ(円安を除いて)、おや? 台風もやってきたぞ……という状況でもあるわけだから、ここは大人しく何処へも行かずに力(主に資金)を温存しつつ、近い将来を見据えて現実的な、海外への旅計画でも練ろうかと思い至ったのだ。

今振り返ってみると「何にもない長めの休暇」という選択肢が、自分の中に自然と生まれたことに驚いた。休暇とあらば、何かせねば、何処かへ行かねば、とそれが使命であるかのように考えるのが、これまでの私だったと言ってもいい。

ちなみに昨年の山の日周辺は、山小屋泊をしながら富山の立山三山を巡り歩いた。それはそれは有意義な日々だったことは言うまでもないだろう。

帰省する、その前に

そういうわけで、今夏の休暇は帰省してのんびりすることにした。
旅の計画以外に、キャンプ道具の整備・整頓をするのも良いなあなどと、これはこれで夢が膨らんでいくものである。

とはいえ、帰省する前にやっておきたいことがあった。

それは日常を支えてくれる【我が拠点】の整備である。

日常を過ごす場所

私は方々へ出かけるのも好きだが、自分のテリトリーに引きこもって過ごすのも大好きである。

だから今の【我が拠点】も、仕事場へ行くための中継地点ではなく、自分が寛げる場所、快適に過ごせる場所であってほしい。

そのためには帰省先から戻ってきた時に、片付いた綺麗な状態であって欲しいと考えた。

休暇とあらば旅へ、の時代

かつては時間を相手に壮絶な戦いを繰り広げていたこともあって、自分の拠点は寝に帰る場所で、掃除や片付けは最低限しか手が回らず、正直おざなりにすることが多かった。

なけなしの連休を家の用事で終わらせるなんて、この世の終わりだと思いつつ、ポツリぽつりと巡って来る休日は買い出しに出たり、ぼーっとしたりしているうちに日が暮れる。それは実に不幸なことだと思っていた。

あの頃は冒険心という欲求を満たすべく、無我夢中で旅立つことで有意義な時間の使い方をしているつもりだった。けれど、別の視点では自分自身をおざなりに扱っていたように思う。

これは働き方を変え、可能性の分岐を広げることができた『今』だからこそわかることだ。

働き方を変えたことで、変わったこと

ダブルワークをやめたり、休日を取りやすい仕事に変えたりしたことで、家で過ごす時間も必然的に増えた。そうすると、自然と休日に予定を入れずに家でのんびりする余裕が生まれた。
「休日を消費する」という感覚そのものがなくなったのだ。

窓を開けて掃除して、お腹が空いたら食事を用意して。真昼間に風呂に入ったり、日がな一日読書や創作にいそしんだり。昼寝だって大好きである。
それはもう、安息日と呼ぶに相応しい。

何でもない日を大切にする。
その感性こそが働き方を変えたことで得たことである。

夏休みの日記を書くためのネタづくりに、あちこちへ出掛けて特別なことをする必要なんてないのだ。

自分の拠点を整備する

さて、ここに来てようやく本題である。
帰省前にやったことは至って普通。一言で言えば、『部屋の掃除』である。
ただ、日常的には届かない、もう一歩踏み込んだところに手を出す、というものである。

部屋掃除・洗濯

これは至って普通ながら、いつもより丁寧にやるのがポイント。

主に床掃除だけれど、物を移動したり、仕切り戸のサッシの溝部分のホコリを取り除いてみたり、といつもより時間をかける。

「時短」という言葉があるけれど、「時間をかけてやってもいい」という心の余裕は、ある意味ですごく大事だと感じている。急げば急ぐほど、いつの間にか命を削っているかもしれないのだ。

そう思うと共に、ミヒャエル・エンデの『モモ』を思い出す。道路掃除屋のベッポじいさんが脇目も振らずサッサかと道路を掃いて回るようになってしまった時、すごく悲しかったのを覚えている。

そう。大事なことは、すでに書かれているものだ。

それから晴れている間に布団を干してふっくらさせ、洗濯物もしっかり乾かして、畳んで収納するところまで完了する。

そういえば「お日様の香り」って、日本人特有の表現だって、いつか何処かで読んだ。
何とも言えない心地よさを言い表す日本人の感性は、実に素晴らしい。

唯一心残りは、洗濯機そのものの洗浄までは手が届かなかったこと。
これは休暇中に洗剤を調達して、拠点に戻ったら一番にやろうと思う。

水回りの掃除

キッチンのシンクを洗って磨き、排水溝内のぬめりを落とした上で、水溜りとプラスチックパーツをクエン酸漬けにした。
洗面所のシンクやトイレ周りも拭き上げたり、物を除けてホコリを取り除いたり。鏡も綺麗になって、気分がずっと良くなった。

消臭剤としてトイレに置いている「ドリップ後のコーヒーがら」を交換するのを忘れていたので、これも拠点に戻り次第やろうリストに追加する。

風呂場も一掃した。
バスタブや洗い場はもちろん、水垢が目立つ金属部を磨いたり、排水溝の中はやっぱりクエン酸漬けにして、さっぱりさせた。
ピカピカになったであろうバスタブに湯を溜めて、ゆっくり浸かると気分が良かった。最近、背中の肩甲骨周りがガチガチになって辛いこともあったので、なおさらリフレッシュできた。

最後にもう一度軽く風呂場を洗って、あとは帰省中しっかり乾かしておく。
ついでに夜間の湯沸かし設定(オール電化)を、帰省の日数分だけ停止しておいた。

冷蔵庫掃除

ラクに冷蔵庫を掃除するには、中身を空っぽにするのが一番!

とはいえ、たとえ計画的に食材の購入・消費コントロールをしたとしても、冷蔵庫を完全に空にするのは中々難しい。

本当ならば掃除したあと、電源プラグを抜いた状態で帰省したかったけれど、いくらか中身が残ってしまった。

  • 米・玄米:合わせて1kgくらい

  • レモン:1個

  • ブラックオリーブ

  • マロン・コンフィチュール

  • 味噌

  • バター

  • マヨネーズ

  • おろししょうが

  • 豆板醤

  • ドレッシング

  • 醤油

  • カレー粉

あ……書き出すと結構ある。
仕方がないので、保冷剤と共に小さなクーラーボックスに入れ、電源プラグを抜いた。

棚や引き出しを取り出して洗って乾かしておく。その間に壁面の霜氷が軽く溶けて外れていたので、掴んで流しに捨てる。直零式なので、霜取りが必要なのだ。

あとは水分を拭き取って乾かし、電源プラグをコンセントに差し込んだ。内部に冷気が宿ったら、クーラーボックスから中身を戻す。

これにて一件落着。
この冷蔵庫の掃除は何だかんだで達成感があって好きだ。
幸い小さな冷蔵庫だから容易いけれど、食材の消費計画からここに至るまでの一つのプロジェクトを成し遂げたような良い気分になる。
巡り巡って、食材をむやみに買い込まない心がけにも繋がっている。

葉もの野菜も入っていないことだし、庫内の中身も僅かなので、冷えやすい奥の壁面に寄せて物を置き、冷蔵庫の冷却設定を少し弱めておいた。
せめてものエネルギー節約だ。

嵐の前に

さて、こうして帰省先で綴る中、台風7号が接近しつつある気配がひしひしと伝わってくる。数年前に関西を直撃した台風のように、日本のど真ん中(賛否あり?)を堂々たる風格でお通りになろうとしているのだ。

実は部屋の中の整備に注力していて、、陽に当てるためにベランダに出していた鉢植えを仕舞い忘れた。

暫しのオサラバ、達者でな!
と勇んで我が拠点を後にしたのだけど、不意によぎった悪い想像(ベランダに散乱する土、ゴロゴロと転がる鉢植え、ゲンナリしてカーテンを閉ざす私)を啓示と心得て、慌てて拠点へ舞い戻ったりしたのは、また別のお話である。

ここから先は

0字
おおむね無料公開。気まぐれにヴェールを。頑張って書いてるなあと思ったら、購入いただけると嬉しいです。

石を積む

300円

ほぼ日記。「『書く』ってこんなのでいいと思う」を表現するためのマガジンです。 ほぼ日手帳ユーザーだけど、持ち歩きに悩むこともある。そんな時…

ご覧下さりありがとうございます。書く力は灯火のようなもの。ライトに書ける時も、生みの苦しみを味わう時も。どこかで温かく見守ってくれる方がいるんだなあという実感は救済となります。