見出し画像

あえて「難癖を付ける人」の重要性

「組織」に関するキーコンセプト
「なぜ、この組織は変われないのか」を考えるために

16:悪魔の代弁者

悪魔の代弁者とは、多数派に対して、あえて批判や反論をする人のこと。
(もとより性格が天邪鬼で多数派の意見に反対する人ということではなく、そのような「役割」を意識的に負うという意味)

凄い名称ですね(^^;;

ジョン・スチュアート・ミルは著書「自由論」において、次のように指摘します。

ある意見が、いかなる反論によっても論破されなかったがゆえに正しいと想定される場合と、そもそも論破を許さないためにあらかじめ正しいと想定されている場合とのあいだには、きわめて大きな隔たりがある。
自分の意見に反駁・反証する自由を完全に認めてあげることこそ、自分の意見が、自分の行動の指針として正しいといえるための絶対的な条件なのである。全知全能でない人間は、これ以外のことからは、自分が正しいといえる合理的な保証を得ることが出来ない。

現在では、組織における意思決定のクオリティは侃々諤々の意見交換が行われれば行われるほど高まることが、多くの実証研究によって明らかにされていますが、ミルは150年前にそれを確信していたわけです。


多くの組織論の研究が、多様な意見による認知的な不協和がクオリティの高い意思決定に繋がる事を示しています。要するに、どんなに知的水準の高い人でも「似たような意見や指向」を持った人たちが集まると知的生産のクオリティは低下してしまうということです。

ここで求められるのが「悪魔の代弁者」です。多数派の意見がまとまりつつある時に、重箱の隅をつつくようにして難癖を付けます。この難癖によって、それまで見落とされていた視点に気付くことで、貧弱な意思決定に流れ込んでしまうことを防ぐわけです。

正直に言います。会議の終盤、これをやられると頭にきます(^^;;
僕は、会議は短い方が良いと思っているので、「長引かせるなよ~~」と心の中で叫んでしまいます。。。これがいけないのかなぁ。
でも、様々なところで会議は短く、、って言っていますよね(^^;;

筆者は、キューバ危機を例に挙げています。
詳細は省きますが、ケネディ大統領は「武力攻撃支持派」と「海上封鎖支持派」に分け、さらに「悪魔の代弁者」も投入し議論したそうです。
その結果、大統領は「海上封鎖支持派」の意見を採用しました。
この時「悪魔の代弁者」がいなかったら、今日の世界の繁栄は無かったかもしれません。

筆者はまとめます。

本来であれば頭脳優秀な人材が集まっているはずの大企業が噴飯ものの不祥事を続発させていますが、このような局面だからこそ、私たちは重大な意思決定局面における「悪魔の代弁者」の活用について、もっと積極的になるべきだと思うのです。

積極的に活用かぁ。。苦しいなぁ。。


ここまで読んで頂きありがとうございます😊