ディズニー旅行記×2~その②~
↓前回
まあ吐きに吐いて結局シーの救護室に行くことを決意した。友達に心配をかけさせたくなかったからできるだけ使いたくなかったが、もう無理であった。
とりあえず、救護室に向かうと私の前に人が1人並んでいた。
看護師キャストさんがオタオタしながら1人ずつご案内しますので…と説明している。
1人しか居ねぇよその人はよ案内せぇよ
と余裕がなく吐きそうで一刻も早く救護室に入りたかった私はイラついてしまったが、なんとか表に出さずに耐え抜いた。
待っている間に吐き気が増していく。
本当に辛くて辛くて泣きそうだった刹那、
後ろで結婚式が始まった。
もう一度言う。
後ろで結婚式が始まった。
華やかな衣装に身を包まれた新郎新婦が私が行きたくて行きたくてたまらないトイレの方向から入場してくる。
音楽隊が生でバイオリンやトランペットを吹いて賑やかしていた。
案外生でバイオリンを聞くのはめちゃくちゃ久しぶりであり、弓ってこんなに早く動かすんだ…と意識を朦朧とさせながら思っていたのを覚えている。
救護室は順番待ち。
後ろは結婚式。
救護室の中にはトイレがあるのに入れて貰えない私はせめて結婚式に泥を塗らないように青白い顔で吐くのを我慢しながら見つめるのが精一杯であった。
死にそうになりながら2人が歩いていくのを見送ったあと、ばらまかれた羽を拾う人を尻目に一目散にトイレに駆け込んだ。
よかった。
私たちの結婚式、突然女の子が通り道にゲロ吐いてきて大変だったよねなどという薄汚れた思い出を抱かせずにすんだのだ。
一通り吐いたあと、もう一度救護室に戻ると私の前にまた1人並んでいた。
またその接客がなっがいなっがい
後ろにずっと吐きそうでトイレに実際に吐きに行った死にそうな顔の女の子が見えていないのか、もう1人来て私を対応するとかでもなく、私の番になった時にもう1人が来た。
今は2人も要らんわ看護師飽和しとるわ
などと心の中で毒を吐く。
ここからがすごい。
心して聞いて欲しい。
ディズニーシーの救護室にはベッドがない。
あるのは病院の待合室などにあるかったい長椅子だけである。
そのギリギリ身体が収まるような寝返りもうてないせっまいかったい長椅子で身体を休めなければならない。
例え腹痛で身動きがとれなくても、熱がないのに身体がだるくて動けない時もだ。(熱があると直ちに追い出されてしまうため)
しかも居られるのは1時間だけだと来たもんだ。
は?死ぬが?
冬だったからいいが夏はどうなるんだ?
熱中症とかなった人に
「1人ずつご案内しますので〜」
と炎天下の中でめちゃくちゃ待たせた挙句1時間だけ休ませてほっぽり出すのか?
そんなことしてたらシーにリアル墓地エリアが誕生してしまう。
大阪のユニバ様はベッドいっぱいあるらしいぞ?本当にどうなってるんだ?全然夢の国じゃないじゃないか。
結局患者の入れ替わりが激しかった上に私の体調が一向に良くならなかったので2、3時間ほど居させてもらえた。
そこは感謝である。
だが私を担当した看護師キャストさんの愛想が全然よくなかった。他のシフトの人はよかったのかもしれないが、とりあえず私の担当の人はおおよそ病人に対するものだとは思えない冷たさであった。
私の体調的な余裕が無かったせいか苛着いたように見えたからだろうか。
いや実際イラついてはいたが外にはそこまで出していなかったはずである。
私実際にあなたの前でも吐いたよな?それを見てさえも尚はよまだかまだかとまぁ規定でそうなってるのかもしらんが目の前で吐いてる辛そうな病人にそれを言うかね?
もう人のことが嫌いになりそうだった。
ずっと元彼のこととかも色々と考えて辛いまんまだった。※前回、前々回参照
友達はちょくちょく来てくれてホテルの部屋を分けることを提案してくれた。
地元に帰る元気もなかった私は結局元々のホテルの別の部屋を新たにとり、先にシーを出てホテルで休むことにした。
それが決まってやっとこさ救護室をよたよたと出て、なんかタクシー呼んどきますねとか言ってた癖に結局呼んでくんないしズタボロで友達について来てもらってシーを出た。
とりあえずお水とポカリを買ってタクシー乗り場に行く。
何台かタクシーが止まっていて
空車のやつを友達と少し探した。
あった。
だが運転手さんがサングラスをかけたドウェイン・ジョンソンであった。
友達は
「空車…空車…あっ!あっtあーー(笑)」
となっていたが私は見た目がいかつい人ほど案外気さくでいい人が多いことを知っている。
すいません…と声をかけると
はいよっ!と気前よく返事をして荷物をトランクに詰めてくれた。
あれ?お友達はいいの?と不思議そうに見つめる運転手さんに大丈夫ですと申し訳なさそうに微笑み返す。
もう、本当に申し訳なかった。
友達の時間をたくさんとってしまった。
友達はいいよいいよ。あなたは悪くないからまたリベンジしようと言ってくれた。
それを聞いて少し泣きそうになったいる私に運転手さんがじゃあ行くよ!と声をかける。
ごめんね。本当にごめんね。と言いながら私のタクシーは出発した。友達は心配そうに見送ってくれた。本当私のせいで時間を取られた分まで楽しんで欲しい。切なる願いだった。
運転手さんにホテルの名前を伝え、一応吐く袋はあるが(救護室でたくさんいただいた)途中で吐くかもしれない、申し訳ないという旨を伝えた。すると、いいよ。大丈夫。大変だったね。裏道から行くからいつでも止まってあげるからねと優しく言ってくれた。
心と身体が弱っている時に不意打ちで優しさに触れると人は泣いてしまうというのは本当だったらしい。
自分の申し訳なさと精神の弱さの不甲斐なさと優しさの温かさが入り交じってホテルまで涙が止まらなかった。
冷たい人や嫌な人も世間にはいるけど、
私は本当に、周りの優しい人達に生かしてもらっていると思う。
↓次
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?