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ヤンキーファンキー


「友達になってほしい。」

幼稚園くらいの歳の子か、または漫画やドラマの世界でしか流れてこないようなセリフを言われて友達になった子が1人いる。


出会いは中学1年生。

名前はみどり。

私はとりあえず、人間みな兄弟であまねく皆んなダチだと思うことがよくあるので

あぁ、うん。いいよ。同じクラスやしね。


と言ったかどうか……定かではないが
沢山いるクラスメイトの中で、なぜか私に声をかけてくれた彼女の勇気に比べると、かなり軽い返事をした気がする。



やっぱりあんなセリフを言ってくる子なのでクラスでは浮いていた。
みどりは転校生だったので、最初だけかと思っていたが中学3年生の卒業まで浮いていた。


でも彼女から貰える刺激が新鮮で、一緒にいるのは苦じゃなかった。


みどりは性格がワガママで子供っぽく、愛情に飢えてる感じがした。私の家よりも家庭環境の風通しが悪くて苦労しているようだった。
そのせいか、家以外では我を通してバランスを取ってるんだろうなとなんとなぁく幼心に理解していた。

聞いた話によると、みどりは小学生の頃から住処を転々としていた為、治安がよくないところや居心地の環境を生き抜いてきたサバイバーだったからか中学1年生にしてはかなりヤンキーでファンキー。



でも一緒にいる私は何故かヤンキーに染まれなかった。


私はなんというか、ただ思うままに自由に生きれていれば、悪いことには興味はなかった。


眠たかったら会わずに寝るし、楽しそうだったら遊ぶ。


そんな感じでみどりと関わってきたが、ヤンキーでファンキーの周りにはヤンキーでアウトローな奴たちが集まってた。



披露できる楽しいエピソードをご紹介する。


そこまで広くはないが、周りが木々に囲まれている公園があった。不良の溜まり場としてはうってつけ。
当時仲良くしてた男友達3人くらいと、その公園がナワバリだった中学校の男の子たち30人くらいが集まって、喧嘩モドキが始まった。

理由はよくある女関係のゴタゴタ。

みどりは武道に携わっていたので喧嘩の仲裁に入ってく様を、離れたところから紙パックのピーチティーを飲みながら、試合観戦のように見ていたり。

彼女の交友関係はかなり広かったので、道も覚えれない場所に住んでいた男友達の家に遊びに行ったこともある。

その友達の家は一軒家だった。階段をあがり、2階にあるリビングらしき赤い絨毯の部屋に入ると、顔も名前も知らない男の子たちがゲームをしたり、タバコをふかしながら音楽を聞いたりする謎のチルタイム空間に、みどりと居たことがある。

居心地がいいとか悪いとか、そんな次元ではなかった。


謎の空間をなんとかやり過ごしていると、仕事帰りの親御さんが私たちの靴を見て怒り狂う。
実は女子禁制のルールが設けられてたらしい。
その親御さんの怒りの圧力は家全体に浸透し、先ほどまでのチルタイム空間が、一気に修羅と化す。


急いでみどりとトイレに避難させられ、「隙を見て脱出するように!」と言われた。ただ、その家の1階が犬のトイレ状態だった。理由は知らん。ヒステリックに怒り狂った親御さんを尻目に、ワンコ様の糞を踏まずに隙を見て玄関まで脱出するのにヒヤヒヤしたり。



ふははは。


楽しいことも悲しいこともあった。

みどりと出会えてなければ、娘にも会えていない。

だけど今、みどりとは音信不通である。
この事実に寂しさは感じない。


なぜか?私もみどりも進化しているからだ。
ずっと悪ガキのままではないし、
大人になればお互い合わなくなることはある。

関わることは無くなったが、あの頃の思い出は大切に保管していてすぐに思い出してクスクス笑えるくらいには鮮明。



またどこかで関わり合えるタイミングがきたら

私たちらしく、仲良くしたいと思う。




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