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すずめの戸締り観てきたよ


11月からずっっっっと観たかったすずめの戸締り観てきた。実母に乳児をみてもらって、久しぶりにオットと映画デート時間過ごせて最&高!!!

めちゃくちゃネタバレします。勘弁してくれって人は読まないで戻ってくださいね。
これほどの作品観た後だからアウトプットしないと死んでしまうわ無理無理。




キャラクターと声の感想。

もう98%草太さん見たさで行った。黒髪長髪ブルベ泣きぼくろ長身細マッチョってお前私の性癖にささり過ぎだわ。そのビジュアルで祝詞?閉じ師とか設定盛り過ぎなのにカッコ良さに胸焼けしないのはなんでだ?役どころがヒロインめいてるからか?1回画面から出てきてみ?匂いかがせてみ?あと髪結わせて?うなじ間近でみせて?松村くんの演技が思ったより大分上手くてキャラを全く邪魔してないのが良かったよお。

すずめちゃんは思ってたより大分勇敢で身体能力体力おばけでした。やってる事とっても勇者で男前なのに、一目惚れした相手にひたすら一途に必死になる姿や、男子慣れしてない所がとっても可愛かった。椅子と一緒の旅だからすずめちゃんらしくいられたけど、リアル草太との旅だったらちょっと私直視できなかったかも。照れる場面てんこ盛りになりそうで。悲しみながらでも恋を頑張る無敵ガール大好物過ぎ。ひたすらひたむきで瑞々しい17歳感も良かった。原ちゃんの声と良くリンクしてて最高だった。

突如出てきた芹澤くんは、チャラ貧乏大学生ええカッコしいセンスおかしい奴なのに、教育学部専攻、携帯灰皿携帯、友達の為とはいえすずめを叔母と一緒に車に乗せちゃうとことか、闇深な姪叔母って知っても最後までお付き合いするとか、途中で車壊れてもドアにガムテープ貼って2人を追いかけるとか…もうホントお前の懐どないなってるんや!!って癖を改造させるインパクトあるキャラで、ハ〜…好き〜…しかもcv神木くんでしょ…ハ〜…2度美味しい…

環さんは流石の深津絵里としか言えん。作品の機微に合わせた台詞回し、等身大環さんとしてスクリーンに生かす演技がもう痺れまくった。責任感強くて、すずめを大事に大事に育んで、でも子育てって可愛い、大事、宝物、だけじゃなくて辛いことだって沢山あって、母と叔母の立場をがむしゃらに両立しながら生きてきた人生そのものの演技できるのすごない?両立した演技できるの日本で深津絵里だけなのでは?深く役と作品を理解してるなって感じた。



映像と音楽の感想。

毎度毎度のことだけど、映像と音楽が今回もめちゃくちゃマッチしてて、思う存分作品に感情を委ねることができた。情景のタイミングに合ってない部分は1ミリもなく、観ている方はとても心地よかった。違和感がなくて、かつ映像と音楽をいっぺんに楽しめるのは新海マジックだと強く思う。

マジックの正体は、作曲家、出来上がった音楽に対する愛情なんだろうな。あとストーリー、情景描写、心情描写、キャラの表情やアクション、それに寸分の狂いなく音楽を合わせて観る人に届けたいって愛情も。

「君の名は」みたいにRADゴリゴリの映画だったけど、あれはあれで高校生の瑞々しさや、20代の大人になりたての柔らかい殻っぽさがストーリーにも合ってた。RAD使いすぎやろ、どんだけ好きねんって言う意見もあったけど。

でも今回はRADゴリゴリじゃなくて、インスト多めで陣内一真も手掛けてるのがバランスがとっっっっても良かった。日本の荘厳な雰囲気と合うオーケストラと電子音楽ミックスさせてる曲がまた作品に合いまくってるんだな〜。

新海監督はさ、作ってもらった曲聴いてから曲に合わすために作品弄るとこが凄いよね。ある程度出来上がった作品を曲の為に崩すって、どれだけの人件費かかるのか見当もつかんけど、ボンボンかかってるんだろうな〜。

この新海監督の愛のおかけで極上のエンタメになってるの。ホントこの世に送り出してくれて感謝しかない。

そして相変わらず空と水の描写が好きだ。廃屋の描写も、都会の街並みも、青々しい草木が繁る匂いの届く様な風景も、あんなにも美しすぎるのにアニメのキャラとマッチしてしまってるのも痺れる。なんで現実世界のいいとこどりの風景とアニメキャラの佇まい合わせて違和感感じないのか。素敵すぎるかよ。


ストーリーの感想。

新海監督にしては随分中二要素爆盛り作品だったけど、私的に物凄く刺さる作品でした。

戸締りの祝詞とか、戸締りのアクションとか、要石とか、喋る猫とか、要石になった草太さんを刺す時の椅子が凍ってバキバキィーンってなったエフェクトとかとても良かった。かっこよい。演出と設定が偏りなく両立してて纏まってるから見やすくて、観てて気持ちよかった。心置きなく感情移入できた。欲を言えば、サダイジン要石が抜けるシーン10秒でもいいし欲しかったな。

あと、作品を楽しみながら結構な頻度で泣いてしまった。

うちには、ちびすずめちゃんと歳の近い女児がいるから、「おかあさーん!どこにいるのー!?」って叫んでるすずめちゃん、可哀想で可哀想で泣けて仕方なかったし、

100万人と愛するたった1人を天秤にかけた上で要石草太さんをぶっ刺したすずめちゃん辛すぎて泣けたし、

あんなにも死ぬのは怖くないと要所要所で言ってたのは、ガチ被災者だからだと知った時も泣けて、死ぬより草太さんを失う方が怖いと愛を叫んだ時も納得して思い出して泣けて。

サダイジンに乗っ取られた環さんが子育ての辛さ吐露した内容も共感して辛かったし、我に返って泣いている環さん、自転車に乗りながら「それだけじゃないんよ」ってすずめに伝える環さん…あああ…思い出しただけで泣けちゃう…常世から出た4歳すずめを環さんが見つけて駆け寄ったシーンも泣けちゃう…

子育て辛いのもホント、自分で産んだ子じゃないのに、思うように生きられなくて辛かったのもホント、遺族金があっても割に合わなくて辛いのもホントのホント、でも、愛する姉の愛する姪が可愛い、大事、かけがえの無い存在なのもホントのホントなんだよね。

母性を理解しないままで子供を母親の様に大切に育むって、並大抵のことじゃない。すずめと分かりあえて観ているこっちも救われてました。

あと、「好きな人のところ!」って常世に飛んで行っちゃうすずめちゃん、恋する女の子ってこんなにも瑞々しくも眩しくて綺麗で泣いちゃったし、その後ダイジンが要石になるとこも健気で泣けた。散々駄々こねたけど、ちゃんと役割を全うする着地してた。

要石の勝手な考察だけど、要石って閉じ師に連なる家系の元人間で、ダイジンは要石になった当初は子どもだったんじゃないかな。お母さんが恋しくて、要石を抜いてくれたすずめにお母さんになって欲しかったんじゃないかな。「無理だよ、草太は人間に戻せないよ」って言ったけど、そう言えばすずめに諦めてもらえるって思ってる浅はかさがとっても人間の子供らしいなって思ったんだよね。(あのシーンはこの勝手な考察でオート補正してた)

ふたつの要石でミミズ封印する前の、その地の魂の記憶たち。「いってらっしゃい」「いってきます」のシーンでボロ泣きした。普段の変わりない日常を、今日も、明日も、明後日も、送っていくつもりだった人達の当たり前が壊れる前の日常がたくさんたくさん描写されていて、辛くて辛くて泣けた。

4歳のすずめと17歳のすずめが会うシーンでは、ここで、お母さん登場……とはならなかった。17歳のすずめでも、出来ることならお母さんに会いたかったのだろうけど、死んだ人にはもう会えないのがこの世の理だというのをすずめが本当に理解したシーンでもあるのかなあ。

そこは新海監督、すずめ可愛さにブレないでくれて良かった。悲しいけどあれで良かった。

4歳すずめが17歳すずめに、どんなお母さんか一生懸命説明して探してるシーンあたりで化粧もマスクも涙と鼻水でずくずくになった。

すずめと草太さんが別れる駅のシーンでは、抱き合うふたりがとても美しかった。
こんなシーン現実に見たらへぇへぇ、周りが見えなくて大層なこって、と確実に思うとこだけど、何百回も繰り返された誰もが一度は目にするベッタベタなシーンでもあるんだけど、草太さんのイケメンさとすずめちゃんの可愛さがマッチし過ぎて逆に新鮮で……お互いの愛しさが溢れたアクションが……抱擁が……ううっ……
ここに推し達の教会を建てよう……ううっ……

最後に再会できたシーン見られて良かったよね。
モヤモヤが無く、綺麗な着地でいい爽快感だった。この後が見たいねん!って願望がちゃんと昇華されてた。


一点、一点だけ!
不満だったのが、絵日記のとこ。
絵日記は常世に行ったことの証明が描かれてあって、すずめが思い出して確認するキッカケにもなったシーンだけど、


・3.11直後に4歳が絵日記書く余裕あるか?と思ったけど、例えば避難場所が保育園とかだったら…まあ…繋がらなくもらない。家に日記とクレヨンがあったのなら、4歳児には探せないと思うし。

・環さんがすずめを探して見つけた時には椅子を持ってたから、震災後に常世に行って帰ってきたあとのはず。きっと震災のニュース見て宮崎から血相変えて飛んできたわけだし。

・その後常世に行った思い出を書く時間があったとしても、「すずめのだいじ」箱を自宅の土地に埋めに行くときはさすがに環さん同伴なはず。責任感強い環さんが、余震のリスク抜きですずめを1人にはしないと思うし、目を離さないと思うんだよね。

・にも関わらず、自宅に箱埋めてたこと環さんは知らないっぽかったんだな(これはもう一回観て確認したいとこ)

思い出すツールとして絵日記は良かったんだけど、環さんが埋めたの知らなかったとしたら随分強引な流れになっちゃうよな。

そこだけ!その一点がモヤモヤするとこでした。



3.11の描写。

一緒に見に行ったオットは、震災の題材ぶっこむのはまだ早かったんじゃないかなぁってのが1番の感想。うん、私もそれは思った。

緊急速報のスマホのブザー音だったり、津波で建物に乗り上げられた船、火の海、震災後の廃屋風景、っていうPTSD要素が沢山あったし。3.11の描写が直接的だったから、震災にあった人たちのフラッシュバックが心配になった。

これをアニメ作品として纏めて、世に送り出すの、監督もスタッフも相当な葛藤があっただろうなって思った。


東日本大震災からもうすぐ12年になるけど、震災後のドキュメンタリー放送されてたらなんとなくチャンネル変えちゃうんだよね。ドキュメンタリーって、そのままの映像、ワンカットでさえ物凄い「強さ」があるじゃん。どれだけ悲惨なことがあったのか、その時の被災者の感情でさえダイレクトに受け取ってしまう感じ。

でも震災のコンテンツってドキュメンタリーがほとんどだよね。見ないと、人って記憶から薄れていっちゃうんよ。PTSDになるぐらいの記憶なら、生きていけないなら、風化するぐらいがいいんだとは思うんだけど、一方で逆のことも思う。

震災からもうすぐ12年、小学生で大きな地震を体験したことがない子達が、聞いたことがない、見たことがない、では危険なことのように思う。私たちは地震大国で生活を営んでいるから。

しかしだよ、私も子供が出来た今、ドキュメンタリーのあの衝撃的な映像をわざわざ見せるのも躊躇しちゃうんだな。感受性高い子だったら尚更。

地震だけでなく、
災害ってどういうことなのか、
災害が起きた時何が必要なのか、
どんな不都合があるのか、
どんな物品を備えていなければいけないのか、
どんな物を持ってどこに一目散に避難しなければいけないのか、
家が無くなるってどういうことなのか、
親しい人がいなくなるってどういうことなのか、
頼れるひとがいない現実ってどういうものか、
家族のいのちが突然奪われるってどういうことなのか、

そんな中でどう行動することが最適解に近くなるのか、

私たち大人が深く考えなければいけないなあ、そして、子供達も心の準備をする必要はあるんだよなあ。

突然の災害でのパニックが小さくなればなるほど、どれだけ生存率が上がるか。
災害は準備していようがいるまいが、決してこちらを待ってはくれないのに、それを子供に理解させるのって非常に難しいことだと思う。
「防災」をどう理解させれば子供の心に備わってくれるのだろう。


うまく纏まらないけど、そういう点ではすずめの戸締りは私的にはよい注意喚起になるのかなって思ったんだよね。ドキュメンタリーの「強さ」をできるだけマイルドに、でも怖さが「弱く」なっては危機意識への働きかけも薄くなってしまう、いいバランスだったなって。エンタメってこういうことも出来ちゃうから凄いよね。新海監督はギリギリのラインまで頑張ってくれたのだと思う。

(話ちょっと逸れるけど)仕事してて思うことなんだけど、私ら専門職が認知症のリスクや生活をただ説明するより、ちびまる子ちゃんと友蔵がその情景を伝える方が、悲しいかなよっぽど万人に届くのと一緒でさ、好きな作り手さんが作る好きな作品、共感しやすいコンテンツって、人が言うよりよっぽど伝える力があるよね……最強ォ……

神経質になった大人が鬼の形相で子供に話して伝えるより、この作品見せた方が10代の子達には伝わりやすいかもしれないなあと個人的に思ったりしました。

ただ、すずめが早生まれか遅生まれか分からないけど、4歳→17歳で、震災から12〜13年経ってるお話で、私たち現実世界でももうすぐ12年でしょ。きっと合わせたんだろうけど、すずめと同い年くらいの被災者の子が見るのは酷だと思うので、そこは大人の配慮が必要かな。



おわりに。

いやー。いい作品でいい娯楽だった。
久々にこのチケット代安すぎでは?って思った。
もう一回ちゃんと映画館で観たいな。

「君の名は」観た当時は最高過ぎて(三葉のラストの走るシーン以外は)、これから先これ以上のもの作れるの?え?新海監督やり過ぎじゃない?逆に今後作品作る時、相当しんどならんか?
とか思ったりしたけど、杞憂でした。私の中でだけどちゃんと超えてきました。

要所要所にジブリオマージュ感じるとこも良かった。アニメの登場人物の日常生活の中でもジブリが息づいてるのがみて取れて、新海監督の宮崎監督へのリスペクトを感じました。

そうそう。ジブリって私たち老若男女の血肉になってるのよ。

廃屋を見ると神を連想して恐ろしくもなるし、祟り神めいたものを見ると災厄を連想してしまう。猫が電車に乗ってると物語が始まってしまうし、動く城みたいな扉の向こうの異空間にワクワクして怖くなったり、運転中に猫がいるからルージュの伝言をかけたくなる。すずめの戸締りの登場人物たちもきっとみんなジブリを通ったんだろな。

あと、ジブリ大好きだけど、敢えてメインキャストに声優を起用せずに作品づくりするの、新海作品の方が観てて違和感ないのなんでだろうと今回思ったんだけど、なんでだ?うーん。
素人くささがないよね。



あー、なんか戸締りの鍵欲しいなあ。
そして娘が大きくなってこの作品見て好きになったとき、お母さん鍵持ってるねんって自慢したいなあ(大人にあるまじき行為)

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