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#202 言葉を使う悪魔は、誰か?

おはようございます。介護のことなどをコラムにしているフミオです。
今朝は、雪景色で、3月なんですけれど・・・。

今朝は、現在読んでいる最中の石川結貴著 「家で死ぬということ」文藝春秋刊 定価1760円から、読み途中なんですが、考えるてしまうことがありましたので、noteします。

この本を手に取ったきっかけ


 恥ずかしながら、著者の石川結貴さんについては、著作も多い方なのですが「全く存じあげておりませんでした」(ごめんなさい)。

職業柄、「看取り」。特に、看取りを自宅でできるか?については、私の現時点までの高齢者(本人)・家族の方とお話をすすめていくのはとても難しと個人的に感じています。

【私の考える難しい理由】
・高齢者(本人)の意思確認をしていく過程が家族の中にないこと
・家族の生活に、高齢者の老いと向き合う日々が少ないこと
・人が老いていく過程を知らない
・生活の中に「死」という言葉が当たり前じゃないこと
・かかりつけのお医者さんが在宅で訪問診療・往診がすくない
・介護事業者にも自宅で看取る場合のサービス提供のイメージがない
・居宅の介護支援専門員にも、看取りの経験が少ない

わたしは、「施設での看取り」から「施設から自宅で看取りたい」という家族の意向でお手伝いをしてきました。

一番、大事なことは、高齢者(本人)と家族のゆらぐ気持ちに、寄り添うことです。行きつ戻りつ、看取るその瞬間まで、一緒に付き合う覚悟と日頃からの高齢者のことばを家族につなげ、家族の疑問を解消することを繰り返す。

高齢者(本人)と家族の意向と覚悟を一緒に、イメージする作業が大事です。そんな経験を毎年経験する中で、「家で死ぬといこと」というタイトルが目に飛び込んできた・・・、そんな偶然です。

noteしたくなったくだり


 著者(娘さん)のお父さん、妻に先立たれ、娘さんの住まいから片道3時間(新幹線)のところに一人暮らし。転倒し骨折後の一人暮らしから要支援の生活をどのように支えていくか?の時期。

再び地域の共同浴場での転倒、大事に至らなかったとは言え、心配が尽きない著者とお父さんなどの思いが交錯する場面です。

【娘さんの気持ち】
フリーランスで働き、なかなかお父さんへの支援ができない気持ち、また、お父さんの生き方(生い立ちから自分のことは最後、他のために尽くし、「人の迷惑になること」への強い抵抗感への理解。

介護保険制度と、お父さんが暮らす地域の方々が思う「一人暮らし高齢者(お父さん)への距離感」を感じ葛藤する。

【お父さんの気持ち】
こどもたち(兄妹)がそれぞれに生活し、兄は難病をかかえ、著者(妹)も親から離れたところで頑張っている。私のことで迷惑をかけたくない。
介護保険制度で使える訪問介護、施設等のサービスも使いたくない。

かかりつけ医について、これまでお世話になったところが馴染んでいて、お付き合いがあって変えることなんかできない。また、自分の老いと生活環境のギャップに対応できない自分への複雑な気持ち・・・。

【地域の方の気持ち】
独り暮らしの方が、また転倒したら・・・どうしよう、何かあったら心配。一緒に住んでいないなら・・高齢者の施設とか?考えないの!

【お父さんを担当する介護支援専門員】
要支援のお父さんの一人暮らしを支えている。お父さんの気持ち、「要支援」の状態で提供できるサービス、著者(娘さん)からのリクエストに対応できること、難しいことへの説明と苦慮。

この登場する皆さんの気持ち・・・私も一緒にこの話題の方向性を見出すには?どう向き合っていくか!!

方向性は、いろいろある


 多世代で家庭や地域の中で、暮らしことから。地域を離れ遠方で暮らす親と子のみで生活する家庭の単位へ。自分のことを考えて、生活していくスタイルへ。

著者(娘さん)もお父さんの状況ですね。

一定のエリアで多世代の家庭が暮らしことから生れる集合的無意識と、一定のエリアで多世代の家庭が少数、一人で生活する暮らしから生れる集合的無意識に変容する。

※集合的無意識:個人の経験による無意識より、深く、同じ種族・民族あるいは人種などに共通して伝えられる無意識のこと。

困っているのは、誰か?
多数の困りごとVSお父さんの困りごとVS著者(娘さん)の困りごと

ノーマライゼーション、多文化共生社会、平等と公平、区別と差別、あきらめるとあきらめない、強者と弱者、生活者と生活困難者、施設と自宅・・。

どの判断軸もありだと思います。

「覚悟」をつくる「言葉を使う悪魔は、誰か?」


 私の場合は、議論を尽くすために、悪魔の代弁者になりながら皆の気持ちに寄り添い、迷いギリギリまで覚悟を創っていく「必要と思われる機会をつくり」(個人的なもの)

悪魔の代弁者は、本人より家族より、話題により「反対意見を述べる者」議論された結果がそのケース、その時の話がいつも最適解と思って言い尽くすこと。

但し、悪魔の代弁者にも、チーム員はいます。役割分担で私がすることが多いかな?((笑))

今日のnote


 本人、家族が悩むことばにできない。気持ちのそこにある言葉を紡ぎ出し、紡ぎ出すには関係する方のことばもできる覚悟(その時の)を引き出しつなげ、迷う過程が必要です。

負の気持ちは、悪い気持ちだなく不安で心配する気持ちの表れです。否定することなく、できること、もしこうなるにはどうすか?を考えていきましょう。

そのための、関係する皆さんです。


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