見出し画像

イタリアのChatGPT一時禁止、欧州で規制広がる予兆か(Forbes JAPAN)

イタリア当局は、米国のOpenAIが開発した対話型AI「ChatGPT」について、データ利用の透明性の欠如を理由に使用を一時禁止しました。これは欧米で初めてのChatGPTの使用禁止で、欧州では他の国や自治体もこの措置を検討しています。

ChatGPTは、昨年11月に公開され、その高い能力が評判を呼び、多くのユーザーを獲得しました。しかし、個人データ保護の問題が浮上し、中国やイラン、北朝鮮、ロシアなどで利用が禁止されています。

イタリアの個人データ保護監視機関(GPDP)は、プライバシーの懸念を理由に使用禁止を決定し、調査を進めています。ChatGPTは、「個人データに関する法律を順守しておらず、未成年のユーザーの年齢を確認する仕組みもない」と判断されました。

欧州では、イタリアの措置を検討し、ChatGPTの影響を評価している国や自治体が増えています。例えば、フランスのモンペリエ市は「害をもたらしかねない」として、市職員による使用禁止を検討しています。また、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、イタリアの措置の根拠を理解し、「EUのすべてのデータ保護当局と協力していく」意向を示しています。

欧州連合(EU)は、AI規制法の導入準備を進めており、これにより、ChatGPTのような生成AIの人種差別・女性差別的バイアスへの対策が可能になるとされています。EUのAI規制法では、加盟各国にAIの規制当局を設けることなども検討されています。

OpenAIは、イタリアでのChatGPT利用停止に応じ、AIの訓練で個人データの使用を減らすことに積極的に取り組んでいると説明しています。GPDPは、OpenAIに対し、状況を是正するための措置を20日以内に報告するよう求めており、対応が不十分な場合は最大2000万ユーロ(約29億円)の罰金や世界での年間売上高の最大4%にあたる金額を罰金として科す可能性があるとしています。

欧州刑事警察機構(ユーロポール)も、ChatGPTのようなAIチャットボットについて懸念を示しています。ユーロポールは、2023年3月27日に報告書をまとめ、ChatGPTが「フィッシング」などのサイバー犯罪、偽情報、マルウェアなどに悪用されるおそれがあると指摘しました。

イタリアの措置は、欧州各国がAIの利用に対する規制やデータ保護に関心を持つきっかけとなり、今後の動向が注目されています。各国が独自の調査を行い、AIの適切な利用方法や対策が議論されることで、AIの利用がより安全で倫理的なものになることが期待されています。

OpenAIは、今後もプライバシーや個人データ保護に関する問題に対処し、AIの透明性と利用規範を向上させるための取り組みを続けることが重要です。また、各国や自治体と協力し、国際的なAI規制の枠組みを整備することも求められるでしょう。これにより、AI技術が持つ潜在的なリスクを最小限に抑え、より広く安全に利用できるようになることが期待されます。

ここは抑えておこう!ニュースのポイント

  1. プライバシーとデータ保護の重要性:AI技術が急速に発展する中で、プライバシーとデータ保護はますます重要な問題となっています。イタリアの決定は、AI開発者や利用者に対して、個人情報を適切に扱うことの重要性を改めて認識させるかもしれません。

  2. AI規制の必要性:AIの利用が広がるにつれて、技術の悪用や倫理的な問題が増える可能性があります。各国や地域がAI規制を検討することで、技術の安全で倫理的な利用が促進されるでしょう。

  3. AI開発者の責任:AI開発者は、透明性やアカウンタビリティを確保することが求められます。これにより、AI技術の信頼性が向上し、広く受け入れられるようになるでしょう。

  4. 国際協力の重要性:AI技術の規制に関しては、国際的な協力が重要です。各国が協力して共通の基準やルールを策定することで、技術のグローバルな利用が円滑に進むでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?