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3Dプリンターで作る顕微鏡

3Dプリンターで作ると書きましたが、3Dプリンターだけで作れるわけではありません。でも3Dプリンターならではの構造になっているので、表題としては間違っていないかと思います。

この顕微鏡のことはWEBニュースで見たのが最初でした。外観の面白さ、オープンな開発姿勢などに惹かれ作ってみようと思った次第です。

Fabcross
英バース大、3Dプリントして自作できる研究室グレードの顕微鏡デザインを公開——最安製造コストは2000円以下

https://fabcross.jp/news/2020/20200527_openflexure-microscope.html

OpenFlexure Microscope
https://openflexure.org/projects/microscope/

ニュースのタイトルには2000円以下でと書いてありますが、それはさすがに無理ですね。開発やハード的な設計やデザインをしている人は身近にあるものを使いまわせますが、そのような環境にない場合にそろえていると金額も時間も労力も結構かかります。

弊社では3Dプリンターやネジ類、電子工作に使うLEDや抵抗は持っていましたが、肝心のラズパイを持っていませんでした。ArduinoとMicrobitはいくつか転がっているのですが、ラズパイは余っていなかったのです。なので今回は奮発して最新のものを買ってみました(電源がUSB-Cになったのは良いけれど、モニターの接続がmicroHDMIになったので、ケーブルも買うことに)。またラズパイのカメラも買いました。

3Dプリンターのフィラメントも新調してみました。今回の組み立ては私堀田の趣味的要素が強いので、会社のフィラメントではなく自分で買いますので、普段仕事では使わないようなド派手なものにしたいと思い、色が徐々に変わっていくフィラメントにしてみました。思っていたよりグラデーションが緩やかで、それぞれのパーツではあまり変わっていないようにみえますが、全体で組み立ててみると良い色の変化になりました(失敗した出力も複数あり、そのために色が大きく変わってるとも言えます)(電子部品関係も私物です)。

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おもしろそうだと思っただけで始めましたが、出力して組み立ててみると、良く設計できていることに感心します。特に3Dプリンターならではの自由な形状で、必要な個所に必要なだけ造形物があります。私の通常のデザインや設計では、3Dプリンターで作ると分かっているのに、インジェクションで抜ける抜けないを気にしていたり、肉厚を均一にしようとしたり、無意識のうちに行っていて、製造に応じたデザインになっていないと感じることが良くあります。OpenFlexure Microscopeでは、インジェクションで作ることは全く考えずに設計されていることが良く分かります。

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3Dプリンターでサポートをつけずに出力するように指定されていますが、普通に考えるとうまくいかないであろう空中に梁を渡すような形状が多くあります。しかし、いざ出力してみると何とかうまく出力できる寸法になっていて、何度も試行錯誤してこの形状になっていることが分かります。

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実際に顕微鏡として使うことを考えると、画質や使いやすさの面からは、安い完成品を買った方が良いかもしれません。良くできていると感じたのはXYステージの動きです。梯子形状の足のあるステージを、梯子の根本を名行為移動させることで梯子をひし形に変形させて微妙な動きができるようにしています。XYのダイヤルを回しても動いていることはほとんど分からないのですが、顕微鏡を見ている倍率では対象物を適度に動かせます。私は簡易的な手動式として組み立てましたが、ステッピングモーターをつけて、電動とすることもできます。このあたりの設計の柔軟性も面白いと思いました。


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上の画像はナイロンを見たところ

この顕微鏡は名古屋市工業研究所の「なごや むずぶ Tech Lab」と日本インダストリアルデザイナー協会中部ブロックのイベントでも、2020年の私個人のグッドデザインとして紹介しました。

名古屋市工業研究所 なごや むずぶ Tech Lab
https://www.nmiri.city.nagoya.jp/musubu_lab/

「なごや むずぶ Tech Lab」と日本インダストリアルデザイナー協会中部ブロックのイベント情報
http://www.chubu.jida.or.jp/nmtl.html

JIDA中部ブロック勉強会「2020年の私的グッドデザイン賞」イベントの様子
https://www.designschoolguide.jp/2021/01/04/beyond_2020dec/


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