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中級以上の英語の学びと英文法の重要性

中級から上級への道は険しい

ニッポンの社会人の英語学習はTOEICに偏っている

ボクは学生時代に実用英語技能検定(いわゆる英検)の準一級の二次試験(面接試験)で1点だけ合格に足りず、不合格になりました。
その後、ふてくされて英検には見向きもせず、社会人一年目に当時「流行」だったTOEICを受験し、835点をマークしました。
20年以上前の835点というスコアは、ひいき目で見ても悪くない点数でした。その頃、TOEICで900点以上が翻訳者になれるかどうかの分水嶺とされていましたので、将来的に翻訳をやってみたいと思っていた私には、もうひと踏ん張りする必要がありました。
その後、身辺でいろいろなことが起こるに任せて英語学習をサボっていましたが、およそ10年後、約3か月ほど集中的に勉強した結果、「900点の壁」と言われるバリアを超えて940点をマークできました。

しかし、どうでしょう。900点オーバーを記録しても、世の中には「ちっとも英語が話せない」「まともな英文レターが書けない」「英語ニュースは映像がないとあまり理解できない」「字幕の無い映画はムリ」といった人々が多いことに気づきました。もちろん、私自身がそうでした。あれだけの努力をしたのに、絶望の淵に立たされたような気分です。どうしてなのでしょうか。

それは、TOEIC(特にTOEIC L/R)は「訓練」さえ積めば、おのずと点数が取れるようにできているテストだからです。つまり、高得点したからといっても「本当の英語の実力が身についているわけではない」、真の英語力を反映しているものではないからなのです。

就職や転職の際に、英語力の指標とされているTOEICで高得点を取るには、スポーツのような「訓練」をしさえすればよいのです。もちろん、その「訓練」のためには一定の時間を要します。しかし、”ビジネス英語”に特化したTOEIC L/Rでは、出題される内容が極めて限定的であるため、適切な「訓練」をすることによって、英検よりもはるかに容易に高得点が取れてしまうのです。

手っ取り早く900点台を狙うには「スタディサプリ」

適切な「訓練」として手っ取り早いのが、「スタディサプリ」という学習アプリのTOEICコースです。
私の知人がこれを使って2~3か月ほどガシガシ「訓練」した結果、みごと900点オーバーを達成しました。
あまりに簡単に「900点の壁」を越えられてしまい、正直に言ってかなり悔しかったです。私は市販の問題集、特に韓国の著者による徹底的な分析のなされた問題集で(短期間とはいえ)必死に勉強した結果のスコアだったのですから。

しかし上述したように、TOEIC L/Rで900点オーバーをマークしていても、仕事で使える真の英語力は身についていないと覚悟しなければなりません。

中級から上級へ

上級レベルの英語力じゃないと「使える英語」じゃない

言わずもがな、英語の運用能力にはいわゆる4技能があります。読む、聞く、書く、話す、の4つです。
TOEIC L/Rは、その名のとおり「聞く」と「読む」の2つしか問われていません。当初、TOEICの作問者たちは、テストを通じて4技能全てを計ることが可能だと言っていました。しかし、実情は悲惨なモノです。

私は、英語力の上級者への仲間入りを果たすには、少なくとも英検1級レベルが必要だと考えます。まず、英検準一級では、出題される内容が易しすぎます。それ以上を望むなら、ということで英検1級です。
英検1級レベルになると、TOEIC L/Rの高得点者であっても、人生で一度も出会ったことのない単語がこれでもかと出てきます。また、英文法などは完璧に理解しているものとされているので、作文・会話においてもスキのない語学力が求められると言えると思います。これこそ、本当の意味での「上級レベルの英語力」(の入口)でしょう。

上級英語のためにはカンペキな文法理解が必須

エラそうに書いていますが、かくいう私も英検1級チャレンジャーです。まだ受験すらしたことがありません。私は英語学習から離れてしまっていたため、準一級をほぼ完璧に仕上げてから1級に挑戦するつもりです。遠回りをしているように見えるかもしれませんが、これには理由があります。私は語彙力には自信があるのですが、実は英文法については、あまり盤石な知識があるとは言えないと考えているからです。文法を確実にモノにしておかないと、いつまでたっても苦手な文法事項が残ってしまい、英語学習の足かせになると思うのです。逆に、英文法をガッチリ固めておけば、「読む」は当然として、「書く」「話す」についても確実なレベルアップを図ることが出来ます。逆もしかりです。文法知識がおろそかなままでは、英検1級の試験でボロが出てしまいます。1級はさすがに難関ですので、ムダな失点は避けたいですし、そもそも英文法をマスターせずに1級に受かってしまうのは、その後の英語学習において不幸でしかありません。

ということで、わたしは初心に返って英文法をカタめる決意をしました。

英文法をカタめるオススメ3冊

この『キク英文法』は、文法事項を一定程度、網羅的に学べる良書だと思います。上級者を目指すために、一字一句、隅から隅まで読んで、理解して、繰り返したい一冊です。スモールステップで学習できるように作られており、大学受験生に好評なのもうなづけます。

この『鬼100則』は、英語を英語で捉える、いわば「英語脳」を涵養するのに役立つ、まれに見る良書です。無味乾燥な、文法事項を羅列するような本ではないので、読み物としてスラスラ読むことが出来ます。この本も、何度か繰り返し読んで、「英語脳」を手に入れたいところです。

推測ですが、日本人のTOEIC L/Rの高得点者であっても、英語を英語のまま理解して反応(書く、話す)できる人はほとんどいないと思っています。どうしても英語→日本語→英語、日本語→英語などと「母語である日本語を介在させるクセ」が残っていませんか。私自身も、どうしても発話の際に日本語を介してから話す、つまり日本語で考えるクセがついてしまっています。このクセがあると、どうしても英語上達の「カベ」に阻まれてしまいます。ネイティブのスピードについていけないのに「上級者」とは言えませんね。

TOEIC L/Rの問題程度であれば、多少、英文法が怪しくても文脈から文意を推察することが可能でしょう。しかし、「どんな分野の書物でも読める英文法」を身につけなければ、いつまでたっても原書を原書のまま読むこともできませんし、英字新聞も知っている単語を拾い読みするだけの浅い読み方になってしまうと思います。

この『リーディング教本』は、文法事項をかなり細かく説明しています。そのため、読み通すのも苦労することでしょう。しかも、一読しただけでは身にならないと思います。しかし、一文の解説はていねいで、故・伊藤和夫先生(駿台の英語科)を思い出します。
450ページもある書物ですが、Lessonは21に分割されていますので、Lessonごとにみっちり読み込み、繰り返すようにしたい一冊です。


上記の3冊を仕上げれば、語学の専門家を目指すのでないかぎり、十分だと考えます。

おわりに

文法なんてブロークンでいい、通じることがすべてだ、という言説が最近は流行っているようです。
しかし、我が国において弁護士などの専門家として活躍している人が、英語のコミュニケーションで中学生レベルの文法も怪しいようだと、外国のプロフェッショナルからは資質を疑われてしまいます。「帰国子女は使えない」という現場の声も、おおよそ当たっていると感じます。なぜなら、帰国子女は「子どもの英語」は話せても(書けても)、「オトナの英語」は話せない(書けない)からです。
海外の弁護士などのプロフェッショナルは、母語が英語でない国であっても、英語のレターも実に格式の高い語調で書いてきます。さすがは〇〇国の弁護士だ、と感服するばかりです。彼らと対等に渡り合っていくには、私たちも、自らの専門知識に見合ったレベルの語学力(英語力)が求められるでしょう。そのためには、単にレベルの高い語彙を知っているだけでなく、そういった高度な語彙を運用するにふさわしい文法知識が不可欠だと私は考えます。皆さんはどう思われますか?          おわり。