だれかを、もっとわかるために
だれかにインタビューすることは難しい。
もとくらの現像室で、菜生さんにインタビューする機会があった。
最近の菜生さんの写真がとても好きで、どんな背景、視点で写真を撮っているのか、ずっと聞いてみたいと思っていた。
でも実際にインタビューしてみると、相手の話を引き出したり、同じ方向を向いて相手と一緒に次のステップを考えたり、ということのなんと難しいことか・・・。
質問が誘導的になってはいけないし、話の持っていき方では、相手の話したいことと自分の聞きたいことがズレていく可能性もある。さらには、共感して話を進める一方、俯瞰した視点をもってそれまでの話をまとめ、次の質問を考えたりしないといけない(これは、ほとんどできなかったけど)。
自分でやってみて、プロの人って、すごいなー!と改めて感じた。ひとの内面に、寄り添いながらだんだん深く入っていく。難しくもあり、日常では触れられない深い部分に触れられるたのしさもあり。
そして、インタビュアー的なコミュニケーションも覚えておくと、人とよりよい関わり方ができるのでは、と思った・・・ので、今後はひとと話すときには意識的に傾聴するようにしていきたいな。
今回のインタビューで考えていたことを、忘れないうちに下記にまとめておきます。
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想い入れのある写真として挙げてもらったのは、観光地の裏通り、ポートレート、建物写真の3枚。
なぜ、人目を惹くわかりやすいものではなく、裏通りのような、その土地の生活感が垣間見れる風景に目が行くのだろう。
なぜ菜生さんの目は、目立たないものをひろってくれるんだろう。
周りの人は気付いていない。見えていても、通り過ぎてしまうもの。でも、拾いあげてみるとじんわりとあったかいもの。
いつも菜生さんの写真やひととの関わり方は、相手をあたたかい気持ちにさせる何かがある。目立たなくても気付いてくれる安心感がある。その理由を、聞いてみたかった。
そして答えてもらったのは、ささやかな幸せを見つけようという心がある、ということ。
ひとが気に留めないものを見逃さないで、気付くことができる豊かさが、写真や人柄のあたたかさに表れているんだなぁとおもった。
自分らしい色ってなんだろう。たぶん、菜生さんの場合は「あたたかさ」もそのひとつなんだろうと思うのだけれど。
好きを切り取る。その中で、自分らしい視点を大事にする。残しておきたい風景を写真におさめる。誰かの日常のなかの特別、非日常に目を向ける。
ささやかな、いとしいものに目を向ける。
写真を撮るということは、ふだん自分の目がどこに向いているかを再確認する作業でもあると思う。
自分の軸がどんなものなのか?、写真を見て自分で発見することもあるし、だれかから指摘されてはじめて気がつくこともある。
「これは、あなたらしいね」と言うことができるくらい、相手のことを知って教えあえる関係性を、もっとひろげていけたらいいな。
そしてわたしも、「自分らしい」写真とはどんなものなのかを、今後もっとはっきりと形作っていきたい。
読んでいただきありがとうございます。 また来てくださるとうれしいです。