イエローナイフ。オーロラ
寒い夜空。星が出ている。周りには先住民の家。人がたくさん外で空を見上げている。うっすらと見えるオーロラ。白い煙のように浮かぶ。いつか強く光ることを期待する。心が目の前に起こるかもしれないことに踊る。テレビや写真で観たカーテンのようなオーロラ。もしかしたら本当にこの目で見られるかもしれない。もらった3日間というチャンス。今日は最終日。1日、2日目は見えてうっすら。今日は観賞施設に来るまでにも、うっすらと見えていた。先住民の家からの明かりが映る。中にはストーブやパンやスープ。でも今日は外に出ていたい。風は穏やか。丘を登りもっと薄暗い場所に登る。人が集まっている。眼下に見える先住民の家の明かり。遠くにはイエローナイフの町明かり。そして空にはうっすらとオーロラ。突然と来るその時。空にぼんやりと漂っていたオーロラが龍や蛇のように姿を変える。しなやかな鞭がコマ送りされるように。カーテンが風に吹かれるように。オーロラが空を胴の長い生き物のように泳ぎまわる。周りからは思わずの歓声。劇場内が盛り上がるように沸き立つ。それは数十秒ほどだっただろうか。空中に緑色の神の使いが現れたようにオーロラは空を舞っていった。生きているような光の現象。空に描く魔法のアート。過ぎ去っていった後もしばらく空を見上げる。またうっすらと見えるオーロラの光。世界の自然に宿る生命の神秘のようなものを体全身で感じていた。
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