23_色彩構成の授業やってます(4)〜色と言葉のリンク:京都編

画像1 前回、デザイン専門学校1年生の基礎造形科目「色彩構成」で「大阪」のイメージをテーマにした課題を紹介しました。今回は「京都」です。前回同様、トーナルカラーという学習用色紙を使って16マスの正方形で京都のイメージを色彩で表現するという課題です。この課題でのポイントは「色とイメージワードとのリンク」であり、16マスという限られた画面で「色のみでイメージを伝える」ことです。そして今回も学生の作品をほんの少しリメイクして講評しました。
画像2 1つめ。この作者のコンセプトは「落ち着いたイメージを出すために彩度は低めにした。しっとりとしたまとまりの中の華やかさを表現した」たしかに色みを抑えめにまとめ、中央の鮮やかな赤と鮮やかな青紫と白が華やかさの効果を上げている。そこでゴトンと時計回りに回転させてみた。暗い色のグループが下にくることで安定感が出ました。色の暗さは重みを感じやすいからです。安定感がある方が「落ち着き」を感じませんか?」
画像3 2つめ。「しっとり小雨が降る上品な夜のイメージ。クールさの中の小さな明るさ。微かに灯る温もり。静かに咲く紫陽花。」情景が思い浮かぶようなストーリーを感じるコンセプトです。その世界観を壊さないよう考えた結果、青紫の1コマを赤みのある紫に変更してみました。「京紫」という「鮮やかな赤みの紫」があります。「京の紫」の赤みを足すことで古都の華やかさを+しました。他は全く色を変えていません。
画像4 3つめ。作者はあまり京都とは縁がないらしく、いまいちイメージが湧かない様子でした。「京都で知っている八つ橋や金閣寺などのイメージで、華やかさとまとまりを意識して制作した。」ということでしたが、何となく京都のイメージは伝わってきました(笑)。楽しさと華やかさがある魅力的な画面なので、どこを変えようか考えた結果、白を1コマ入れました。無彩色は周りの有彩色の彩りを際立たせる効果があります。さまざまな色みを使ったカラフルな画面の中に1コマ白を入れることでアクセントができました。アクセントは画面の印象を強くします。
画像5 今回も学生の作品を一部リメイクして紹介しましたが、私は学生の作品を否定しているわけではなく、あくまでも「他の可能性」を考える機会になってくれればと思っています。次回は「神戸」のイメージです。またお付き合い下されば幸いです。

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