【読書感想文】宇宙から帰ってきた日本人
そういえば、この本の感想文を書いてなかった!ここ最近読んだ本の中で一番印象に残った本!
たまたま、買いました
本屋さんでなんとなく棚を見ていて目に入った本です。たまたま手に取った本でしたが、本当に面白かった!歴代の日本人宇宙飛行士の方にインタビューをして書かれたノンフィクションドキュメンタリー的な。
宇宙に行くという経験がその人のその後の人生にもたらした影響の大きさや、宇宙で考えたことや感じたことはもとより、宇宙ステーションでの生活や、その人が考えた些細なことまで、どの人のどんな言葉も、実際に宇宙に行った人でしか言えない、そんな言葉が詰まっていました。
印象に残ったこと1 名刺サイズの紙の重さ
忘れられないのは、地球に戻ってすぐのプレスカンファレンスの時の出来事です。ケネディ(宇宙センター)である人から受け取った名刺が、ズシっとしてすごく重かった。『これってこんなに重いの』っていうくらいに。
これは、向井千秋さんの言葉です。向井さんは訓練で無重力状態をたくさん体験されて、無重力状態ではどのようなことが起こるか、というのを分かった上で宇宙に行かれたそうです。でも帰ってきて、名刺の重さに驚く。そして、床に物が落ちる様子も面白くて、2・3日わざと物を落として落ちる様子を楽しんだそうです。
これは、行った人じゃないと絶対にわからない。だって紙は重くない。紙にも重さが、重力がはたらいているということを再認識。
印象に残ったこと2 地球の匂い
湿った空気が入ってくる。すると、いろんな匂いがする。いろんな匂いがするということは、微生物がそこに含まれているということです。そのように人工では作れないものがうわっとハッチの中に入ってきたとき、私はまるで微生物に囲まれている気持ちになりました。そして、『あ、これが地球なんだ』と思った。
毛利衛さんが、地球に帰ってきたときに感じたことです。このあと、地上で待機していた宇宙飛行士からミネラルウォーターをもらってとても美味しかった、宇宙では燃料電池からでた水を飲んでいたから、とも言っています。
「あ、これが地球なんだ」って、地球以外を知らないと言えない言葉ですよね。毛利さんは宇宙での体験をもとに「ユニバソロジ」という考え方に至り、日本科学未来館の館長もされています。宇宙に行ったことにより、人生が大きく変化したといえるのではないでしょうか。
地球から出たことがない人にとって全てが新鮮
そのほかにも、なぜ宇宙飛行士を目指すことになったのか、訓練の様子、宇宙ステーションでの暮らし、打ち上げや帰還のときのようすなど、今まで知らなかったことがたくさん書かれています。多分本当はそっちの方を紹介するべきなのでしょうが、私にとっては宇宙飛行士でしか感じられないことをこの本が教えてくれたことがとても印象的でした。
また、初めて宇宙に行った秋山さんはテレビマンで、実は日本人初になる予定ではなかった、などのエピソードも書かれています。
そして、初期の宇宙飛行士たちと、最近の宇宙飛行士たちの宇宙に対する感じ方の違いなど、面白い視点のページもありました。
全体として、一人ひとりのインタビューがそのまま載っているのではなく、テーマごとに何人かの宇宙飛行士たちの言葉を織り交ぜながらまとめられています。それぞれの宇宙飛行士の人生の1ページで起きた「宇宙に行く」という経験が、自分に、周囲に何をもたらしたのか、変化したこと、しなかったことをそれぞれが語っています。
読後最初の感想は「地球から出たことない私には全てが新鮮」でした。そしてやはり、何かを成し遂げる人というのは、信念をもっている人だ、とも思いました。努力の先で手にした宇宙への切符。それを経験してなお何かを成し遂げようとする人たちの、想いが詰まった本でした。
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