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【読書感想文】宇宙から帰ってきた日本人

久々にすごく面白かった本でした。最近ビジネス書ばっかり読んでたのもあるかもしれませんが。

この本は一言でいうと

「行った人にしかわからない宇宙が詰まっている」本でした。

12人の日本人宇宙飛行士たちの体験を聞き取ってまとめたノンフィクションです。

日本人初の宇宙飛行士はTBSの秋山豊寛さんです。この人はジャーナリストなので、科学者と違う視点で宇宙を見てきた人です。例えば「宇宙酔い」など「英雄」としての宇宙飛行士があまり語らない部分をリアルタイムで発信した人。

秋山さんの宇宙飛行からはや30年。

一番印象に残ったのは初期の宇宙飛行士と今の宇宙飛行士の感じ方の違いです。

最初は宇宙に「滞在すること」で称賛された。でも今は「宇宙で何をしてきたか」が大切な時代。その違いがある。昔ほど宇宙に行くことが特別視されなくなってきた。旧時代と新時代の宇宙飛行士にも「ギャップ」がある。

次に印象に残ったのは「宇宙の闇」

宇宙ステーションでは常に地球が見えている。でも船外活動は宇宙の闇の方向を向くことができる。その闇は地球上のどんな暗闇とも違う。「何も無い空間」。船外活動をした宇宙飛行士たちはみんなこの宇宙の闇について語っていた。

最後に「重力」について。

向井千秋さんは宇宙から帰ってきて渡された「名刺」に重みを感じた、と語っていました。ものが床に落ちるのが面白くて、帰ってきてからものを落として、その落ちる様子を楽しんでいた、とも。ものすごく新鮮だった。名刺サイズの紙一枚の「重さ」。こんなものを感じる日が、私にはきっと来ない。

この本で書かれている全てが久々に心に突き刺さった。

宇宙飛行士たちが、宇宙から地球を見てきてそれぞれに感じたことがあり、帰ってきてからの人生が変わった。その変化の度合いは人それぞれ違うけれど、宇宙から地球を見てそれぞれに地球を「理解した」。

そして作者稲泉連さんがこの本を書こうとした理由が立花隆さんが書いた『宇宙からの帰還』を読んだからだ、と知り、次はこの本を読みたいと思った。


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