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能と日本の伝統色

先日、
「伝統色と柄のメッセージ」
という講座を受けてきました。

この講座、
大阪にある能から学ぶ伝統色の講座だったのですが、面白かった。


能ってどんなもの?

能は600年を越える歴史の中で
独自の様式を磨き上げてきた
日本の代表的な古典芸能。
能の特徴は
面と美しい装束を用い、
専用の能舞台で上演される歌舞劇。

とっても面白かったのが、
能は主役の方がお着物(能装束)の色のコーディネートを決めるそうです。
能は現代語ではない上に
あえて少ない動きや音で感情を表現するようになっているようで
この情報が少ない中で
装束によって、情報を読み取る
それが能衣装の役割でもあるそうです。

真っ赤な能装束で酒に浮かれながらまう猩猩

面白い世界ですね。
私はこの話に日本人らしさを感じました。

自分の気持ちや感情を抑え、
お着物の色で
「私の気持ちを察して」
と伝える。

面白い世界。

そして、同じ演目でも主役の方が変われば
お着物の色のコーディネートが変わるので
また違う楽しみ方ができる。

たくさんの物語を作らなくても
見ている人に物語をたくす。

面白いな。


さぁ、伝統色探しのワーク

能装束の柄を実際に見せていただいて
柄の意味を教えてもらって、
ワークは配色カード199aから色を拾い上げるワーク。

これね、とっても楽しいんです。
普段からよく色分析(見ているものに何色があるかを観察して見つける)を
子供達としているのですが、
何度やってもやっぱりテンションが上がる。

そして、こどものようにニッコニコの笑顔になって
「アッター」と(心の中で)叫ぶ。
さすがにみんなの前で叫ぶのは恥ずかしかったので
私も、表情で表現(笑)。

久しぶりに配色カードを触ったこともあるけど
やっぱり色がたくさんあるって楽しい。

能装束の生地をみんなで色分析したんですが、
これもまた光の見え具合で色が変わって見えて
楽しい。

やっぱり織物の色と印刷の色では同じ色がないのだけれど
角度を変えたら光の加減で違って見える。

元々私が分析する方は可愛らしい色合いが多かったですが
私というフィルターを通して
さらに可愛い色、見つけ出しました。

色の面白さはこういうところだと思います。
同じか同じじゃないかは
誰にも分からないこと。

光の加減も目の色も見る側の気持ちも
何もかもが違うのだから
自分のみたい色で見たらそれが正解。

そういうところ、色って大好き。


実際の能装束を見て

ワークの後は飾られている能装束を実際に見せてもらいました。
何百年も前の能装束は今も皆さんが大切に着ているそうです。

美しく刺繍された糸は
わぁ、繊細なグラデーションと思ったら
光の角度で色が変わって見えているだけで
よく見ると単色で。

この光沢のある刺繍糸が色に陰影をつけて
これもまた見る人によっての
色の意味を持たせるんだろうなと思ったり

アパレル勤務の職業病。
刺繍糸の繊細な光沢感に

昔の衣装だからこの時代は
ポリエステルなんて化学繊維ないよな。
(この織物ができた時はあったのかな?)
でもコットンではここまで光沢出ないよね。
この刺繍糸シルクかしら(実際は何を使っているかは分かりません)
と一人様々な角度から覗き見て考えていたのです。

こうやって
色ひとつで想像の世界が広がっていくのはやっぱり楽しい。


日本人が好きな色

他の国と違って、日本人が好きな色。
何色だと思いますか?

実は、白なんです。
国によっては白は色ではないと言われてしまうほど関心を持たれない色なんですが、日本人は白に特別な思いを持っている。

それは、能の世界も。

例えば、能の白足袋。
クリスチャンディオールが日本で能を見たときに
この白足袋に感動したそうです。

そして、能の舞台の周りには
白い石が敷き詰められていて、
これは太陽光が入った時に舞台を明るくさせるレフ板がわりだったそう。

日本人にとって、白は
太陽の光そのもので
そこに色々な意味を含めている。
だから、白が好きなんだなぁと改めて感じました。


日本の伝統色

日本の伝統色は美しい。
でも、その美しさは日本で見るから。

その土地の草花で染められ、
その土地の気候に合う色が作られた色は
やっぱりその土地に馴染むから
自分自身も美しく見せてくれる。

日本の伝統色がいいのではなくて
その土地土地に生まれ育った伝統色は
やはり、その土地の人々を美しくしてくれる。
そして
美しい気持ちにさせてくれる特権の色。

やっぱりいいな、伝統色。
伝統文化からそんなことを改めて思った講座でした。

いつか能を見に行こう。

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