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色を学んだのに色を使えないにはワケがある

色の仕事をはじめて15年以上、学びだしてからは20年以上になりました。月日の経つのは早いですね。

今も、色を教えたり、色と健康を絡めてオンライン講座をしたり、建築カラーの現場に携わったり、ウェブやグラフィックのカラーデザインをしたりと、色の仕事は多岐にわたります。

さて、タイトルの「色を学んでも色を使えない問題」

これ、本当に問題だと思ってます。

アパレルショップの店員、インテリアコーディネーター、建築設計士、ウェブデザイナー・・・過去弊社にレッスンを受けに来られた方の職業の一部です。

そして色彩検定の2級や3級をお持ちの方も多数いらっしゃいました。


色彩検定やカラーコーディネーター検定、パーソナルカラー検定など、いくつか色の検定があります。

最近はたくさん増えすぎて把握できていませんが、上記に書いた3つの検定は私が受けたものです。

そこそこボリュームもあるし範囲も広く、すごく勉強した気になってましたが、振り返ってみると内容は浅く広くなんですよね。

なのに、知ったかぶりな感じで、スタートアップ当時の名刺の肩書は、”カラーアナリスト”や”カラーリスト”! 今振り返ると恥ずかしすぎて吐きそうです(笑)アナリストって調査・分析をする専門家ですからね。

私の場合、師匠がIllustratorを使いこなすデザイン業出身だったこともあり、ファッションだけにとどまらず、企業セミナーやインテリア、スクール事業と幅広くしていたことや、私が仕事を初めてすぐに異業種のクリエイターの方たちと知り合う機会があったことで、色の世界が広いことを知る(=己の立ち位置を知る)きっかけとなりました。

師匠のススメもあり、当時からIllustratorを使うトレーニングをしていたおかげで、今もグラフィックやウェブのカラーデザインの仕事が出来ているわけですが、カラーデザインで配色計画をするにあたり、Illustratorで色をつくる「混色」という作業は避けて通れないわけです。

ソフトのカラーツールで三原色のCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)とK(ブラック)を使って必要な色をつくるのです。

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例えば、ひとことで「赤」と言ってもさまざま。
図1

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並んでいると比較しやすいので色の違いがわかりやすいですが、ひとつだけ見るとおそらく誰に聞いても「赤」と答えるもの。

この混色の作業により、色を見ただけでどんな比率でCMYKが含まれているかわかるようになって、学んだ配色の理論が活きてきたわけです。

そう、色を学んでも使えない理由は「混色(分析)」が出来ないから です。

例えば、配色のルールの中に色相環上で4~7つ離れた配色の組み合わせは中差色相配色です。とあるのですが、そう書かれていてもスタートがどこの色かわからないと、4つも5つもわからないわけですよ。微妙な色を見極めないと配色は組み立てられないですよね。


先程の図1の赤なら、色みもしっかりあるのでおそらくこの辺かな?と分かっても、下記の図2ような色になると「???」となるわけです。


図2

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図1と図2の色相は同じで明度と彩度を変えただけです。


色相、明度、彩度など色の基礎は過去記事で。↓


ファッションでも南国の鳥みたいに彩度の高い派手な色だけでコーディネートするなんてありえないですし、特にインテリアカラーの世界では色みが曖昧な低彩度色をたくさん使います。それらの色を使いこなし、カラーコーディネートするには、身体が感覚的に覚えるまで混色のトレーニングが必要です。


検定を否定するつもりはもちろん無いけれど、検定に合格しただけで色の仕事をしていくのは難しいし、色彩学を学んでいなくてもパーソナルカラーのような仕事が出来てしまうのも事実。

色の世界があまりにも広すぎるので、検定のテキストがあれだけの内容にまとまってること自体キセキな感じですが、色の仕事を専門でするつもりなら、しっかり混色や配色のトレーニングをして身につけると差別化出来ると思いますよ。


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