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大阪の出版社「保育社」が1962年から1999年までの37年間に909タイトルを刊行し…

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大阪の出版社「保育社」が1962年から1999年までの37年間に909タイトルを刊行した写真文庫「カラーブックス」シリーズ。貴重な読書遺産に込められた豊かな知識と深い教養、昭和の人々の姿を1タイトルづつご紹介いたしてまいります。

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最近の記事

第48巻  世界の国旗

第48巻 「世界の国旗 」 藤沢優 著 1964年刊行 戦後、国旗軽視の風潮が我が国を襲ったことを憂慮し、国際時代に向けて国旗を大切にする心を持つことを願って著者は世界の国旗を紹介します。 執筆当時(昭和39年)の日本の総人口は9,405,0万人です。やはり戦争の影響でしょうか?「白地に赤の太陽をズバリと染め出した日の丸のアイデアは、いつだれがおもいついたかは知らない。だがこれほど単純で、明快な国旗は他の国にもちょっと見られないのではあるまいか」「単純なうちにも、力強さの

    • 第47巻 ニューヨーク

      第47巻 「ニューヨーク」 佐瀬隆夫著 1964年刊行 社会学を専門とする著者が研究活動のため滞在した1958ー60年のニューヨークをユニークな視点で紹介します。 展望台の観光客。スカイツリーと同じです。著者のお気に入りの場所のようで展望台からの俯瞰の写真も掲載されております。 国連本部の見学者の多さには驚きまます 団体さんの旅行者でしょうか? ニューヨーカーがファッションをリードしパリの最新のモードもアメリカが消費地であった良い時代です。 「44丁目から50丁目

      • 第 46巻 木の花・木の実

        第 46巻 「木の花・木の実 」 岡本省吾 著 1964年刊行 だい25巻「庭木」の筆者が前著に含まれなかった野生の花木を紹介する続編です。草花とはまた違う、季節感を強く表し一際美しい花を咲かせる花木は私たちの日常で身近にありながら、注意して見ていなかったことに気づかされました。 お正月が終わりひと段落すると沈丁花が咲きます。張り詰めた冬の空気の中で甘い香気が冬と早春をつなぐ使者のようです。 鎌倉でも藤が終わるとツツジが一斉に開花し、続いてアジサイの季節になります。最近

        • 第45 巻 観葉植物

          第45 巻 「観葉植物 」 岩木道治 著 1964 年刊行 この本が刊行された時代には玄関や部屋の隅に観葉植物の鉢植えを飾るのが大ブームでした。我が家にもその頃から枯れずにある鉢植えが玄関などに飾られています。観葉植物は家の中に爽やかな緑を添えてくれます。接写すると、不気味な感じのものもありますが。。

        第48巻  世界の国旗

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        記事

          第 44巻 東京昔と今 (II)

          第 44巻「 東京昔と今 (II)」 宮尾しげを 著 1963 年刊行 変わり果てた江戸と東京の風景を浮世絵を手がかりに検証する第二弾は前作より範囲を広げて郊外へ出ます。旧東海道筋の宿場町や下町など市井の生活のある地域もまた様々に歴史を持っています。 井の頭公園の弁天池の比較。広大な池に浮かぶ小島のような池は神田川の水源地をして江戸の水甕の役割を担う重要な場所でした。 現在の新宿は「内藤新宿」と呼ばれる甲州街道の起点で宿場町としての賑わいが現在のターミナルステーション

          第 44巻 東京昔と今 (II)

          第43巻 修学院離宮

          第43巻 「 修学院離宮」 和田邦平 著 1963年刊行 17世紀中頃、江戸幕府の治世が始まり「禁中並公家諸法度」という法律のもと皇族と公家の行動と立場が大きく制限され、尊厳を傷つけられて、突如譲位した後水尾天皇が隠棲生活のために造営した修学院離宮を細部に渡り紹介します。政治の世界から距離を置き美しい物だけに囲まれた人生を夢見て、センスの限りを尽くした美の世界は、平安から中世を経て江戸期に到る日本文化の洗練の到達点を見ることができます。 寺とは違う小さな門構えが、山

          第43巻 修学院離宮

          第42巻 万葉のふるさと

          第42巻 「万葉のふるさと」 高田 昇著 1963年刊行 執筆当時兵庫県の高校教諭であった著者のライフワークとしての万葉の旅。人々の人生の哀歓を綴った万葉集は、奈良時代の風土に根ざした歌であり、風土を通してその時代の実感に触れることの意義を教えられます。 Googleマップで見て現在と比較してみると、この時代の風景はそれでもまだ今よりは、かなり奈良時代に近いのではないでしょうか。 万葉の時代にも豪族たちの政争や宗教の対立による凄惨な出来事がありました。大化の改新と言われ

          第42巻 万葉のふるさと

          第41巻 近代絵画

          第41巻「近代絵画」 富永忽一著1963年刊行 19世紀フランスを中心としたアートシーンはまさに「輝かしい絵画時代」です。153ページ中96ページを写真に費やした保育社渾身の一冊です。作品の写真は本当に美しいです。 美術史に残る名画は実際にこの本を手に取ってご覧いただきたく、敢えて本文は1ページのみの紹介といたします。

          第41巻 近代絵画

          第40巻  菊

          第40巻 「菊」 北村四郎著 1963年刊行 バラにも牡丹にもない凛とした清浄で高貴な姿と香りの花、菊の世界を菊の種類や古来からの日本人の菊との関わりを通して紹介します。 日本の気候が菊の生育に適していて、古くから菊をことのほか愛する日本人によって、菊の栽培は世界一と言われております。 秋になると菊花展や菊まつりなど各地の公園や城址、庭園などで専門家の人々の自慢の作品が展示されます。中学生の頃秋の連休にお友達とどこかへ出かけることになり、私は「菊花展を見に行きたい」と言

          第39巻  スポーツ切手

          第39巻 「スポーツ切手」 木村康一 木村孟淳著 1963年刊行 東京オリンピックの前年に書かれたこのタイトルは、陸上競技のしかも切手だけに特化した奇書とも言える一冊です。 著者は「スポーツ切手研究会理事」の肩書きを持ち、中学時代から陸上競技と切手収集に打ち込み、人生を捧げています。地味な内容ですが著者の人生の集大成です。 全ページひたすら陸上競技の切手だけが延々と続きます。 極めて狭い範囲の関心を深く追い続ける人が著作を出版できるという保育社ならではの本に対する姿勢

          第39巻  スポーツ切手

          第38巻 東京昔と今 Ⅰ

          第38巻  「東京昔と今 Ⅰ」 宮尾しげを著 1963年刊行 東京オリンピックによる開発で古き良き東京、江戸の面影を残す貴重な街並みや建物の破壊を嘆く著者が広重の「江戸百景」に描かれた江戸の現在(1963年当時)と比較して時代を検証します。 「今」として登場する東京の風景が、奇しくも二度目のオリンピックの破壊に晒されている2020年の現在からみれば充分に古き良き東京なのです。 安藤広重は江戸時代の浮世絵師の中でもとりわけ風景画で人気を博し、江戸百景と言ってもその実、

          第38巻 東京昔と今 Ⅰ

          第37巻 世界の人形

          第37巻 「世界の人形」 世界友の会著 1963年刊行 世界友の会 は、1948年に2人の篤志家によって設立され「国連ユニセフに日本人形を親善使節として贈って以来、国連加盟の各国と植物の種子、人形、写真、衣装、民芸品、児童画等を交換。親善と友好、文化交流をはかる」団体です。 「どうしてここに集められたか」という言葉で始まる後文では、平和のための使いとして、海を渡りはるばる旅してきた人形たちの生い立ちや、それぞれの国の人形について、人形の構造や衣装の詳細を細かく説明しています

          第37巻 世界の人形

          第36巻 スイスの山

          第36巻 「スイスの山」 山田圭一著 1963年刊行 表紙のご婦人はノースリーブのワンピースにお帽子というエレガントさ。 しかし内容はアルピニスト向けのガイドブックです。ヨーロッパの登山のスタイル、装備や行程について、そして後半の山行記は、当時夢であったアルプスの山旅の様子を知る貴重な記録です。 「近代アルピニズムの発祥地であるヨーロッパのアルプスには、山の好きなだれもが大きな憧れを持っているしかしマッターホルンの初登頂にまつわる悲劇やアイガーの北壁をめぐってのエピソード

          第36巻 スイスの山

          第35巻 信州の高原

          第35巻「信州の高原」 安斎秀夫著 1963年刊行 信州地方は、明治以降の欧米人による避暑地としての文化が入る以前は、古代からの歴史と自然の中で伝統的な生活を営んでいた地域です。現在でも軽井沢、清里やアイスクリーム、高原野菜などのモダンなイメージと、善光寺、温泉 おやき などの素朴なイメー、ジが共生していますが、そのような、文化、風土の両面を取り上げながら旅をする楽しい旅行記です。 軽井沢を代表し、、皆が憧れる「三笠ハウス」もこの写真の当時はまだホテルとして現役の時代で

          第35巻 信州の高原

          第34巻 金魚

          第34巻 「金魚」 松井佳一著 年1963刊行 金魚の図鑑というだけでなく、江戸時代からの好事家による金魚文化、歴史、養殖の様子など、金魚の全てがここに集約され 一服のお茶、一輪の話も風流な趣味に高めてしまう日本人の美意識は、金魚という小さな魚の飼育もまた、高尚な趣味の世界として楽しむようになりました。 江戸時代には金魚の品評会が行われ、番付も作られていたようです。鈴木春信は美人だけでなく金魚も多数描いていたそうです。 金魚の模様を描いた着物を着た美人の絵は写真の

          第34巻 金魚

          第33巻 高野山

          第33巻 「高野山」 佐和骭、 田村髀ニ著 1963年刊行 高野山が弘法大師空海の開いた、真言密教の道場であることは、誰もが知るとこですが、写真で見る山内の様子や、門前町、修行者の姿はそのまま日本人の精神生活の歴史を辿る旅であると感じました。 仏道の世界への入り口となる総門。ではありますが、北にケーブルカーの駅、南に竜神温泉への道、西は自動車道路からの道、と団体さんがバスを連ねて参詣に来る高度成長期の大寺院の例にもれず、やはり俗化は方便というところです。 山の根

          第33巻 高野山