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過去のトラウマが、「表現すること」で癒された瞬間-4 囚われからの解放。 私の代わりに泣いてくれた先生。

 19年前のことです。
 私は突発的な出来事によって、意識が遠のき、消えかかる経験をしました。どのくらいの時間か分からないのですが、呼吸も止まっていました。その後息を吹き返して、戻ってくることができたのですが、それがトラウマとなって、以降、心身に異常反応が起きるようになってしまったのです。

 それは恐怖と隣り合わせの毎日でした。
 「1分後、私はここに存在しているだろうか?」
 1分が異常に長く感じて、一日一日が途方もなく長かった。そんな時に出合ったのが、ダンスや絵などのアートセラピーでした。

 以下に、今までの出来事を書いています。
1回目は、アートセラピーを始めたきっかけについて書いています。
https://note.com/color_of_wind/n/n8b18dfe92d6a
2回目は、ギリシャでのワークショップについて書いています。
https://note.com/color_of_wind/n/n318fa76c30eb
3回目は、ドイツ人の哲学者&アーティストの先生との出会いについて。
https://note.com/color_of_wind/n/nc889b8d632a2

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 アートセラピーによって、トラウマに光が当たり、最後には「大きな木」という一枚の絵に集約されました。そのプロセスは私にとって命懸けの大仕事でしたが、最後に出てきた「大木」は静かで、そんな葛藤や癒しのプロセスがそこに秘められているとは想像もつかないほど、シンプルな画面でした。

 ワークショップの最後にシェアタイムがあり、参加者の前で一人ひとり、制作のプロセスについて語る時間があります。私はその日、ようやく、過去のトラウマについて、人前で口にすることができました。

 それまでは、そこに注意を向けるだけで震えがきていたのですが、すべてを「過去」にすることができたために、語ることができるようになったのです。
 私は驚くほど落ち着いて、語っている自分を感じていました。「恐怖に怯えた自分」は、過去のものとなりました。

 そして、一連のプロセスを語り終わったとき、先生が目に涙を浮かべて「今までどうやって生きてこられたのですか?」と尋ねられました。先生の頬につたう涙を見ながら、「ああ、苦しかったのだな」「よくがんばったな」と他人のように自分を見つめる自分がいました。

 私は長いこと恐怖と緊張感に支配されていて、泣くことができずにいたのです。そのことにも気づきさえしなかった。先生は私の代わりに泣いてくださったのかもしれないと、後で思いました。

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 その後も、こちらのアートセラピーや、前述のダンスのワークショップに通い、様々なテーマについて描き、踊り、自分の内面と語りあい、参加者のみなさんとの交流を通して、貴重な学びを得ることとなりました。
 それらは、大きかった「負の体験」に勝るとも劣らないインパクトと、他者への理解の機会を与えてくれるものとなりました。

 好奇心旺盛な性格のため、その後も方々で開催されているアートセラピーや様々な癒しのワークショップに参加し、学び、経験を深めてきました。10年ほど前、ユングを土台としたアートセラピストの資格を取り、今に至ります。

 今回、こうして振り返って文字にしてみると、こういうことがあったから、こういうことに出会い、、、という人生の不思議や、多くの人たちに助けられて今の自分があることに改めて気づきます。
 過去の傷を見つめることは、自分の人生を統合していくプロセスのようですね。
 

  私の長い「癒しの旅」にお付き合いくださって、ありがとうございました。

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