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小説の中の色#3 コーヒー牛乳色とミルクティー色/「ふがいない僕は空を見た」「羊と鋼の森」
橋を渡り始めると、とたんに雨と風が強くなり、橋の下を見ると、コーヒー牛乳みたいな色の水がごうごうと怖いような音を立てて勢いよく流れて行った。(窪 美澄「ふがいない僕は空を見た」より)
小鍋で煮出した紅茶にミルクを足すと、大雨の後の濁った川みたいな色になる。鍋のそこに魚を隠していそうな、あたたかいミルク紅茶。(宮下奈都「羊と鋼の森」より)
濁った川の水を見て、コーヒー牛乳を連想する。
ミルクティーを見て、濁った川を連想する。
コーヒー牛乳の色とミルクティーの色は、ベージュ系の暖かみのある優しい色で、牛乳を含んだ濃密な質感も濁った川の水とよく似ています。この二色を比較するならば、物にもよりますが、コーヒー牛乳色の方がわずかに黄み寄りで、ミルクティー色は赤み寄りでしょう。
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最初の引用の「ふがいない僕は空を見た」では、大雨により水かさと速度を増した川の流れに、コーヒー牛乳という日常的かつ平凡な物を思い浮かべる点に、主人公のどこか冷めた感覚が感じられます。同様の飲み物でもカフェオレやカフェラテではなく、濁った川ならやはりコーヒー牛乳でしょう。
「羊と鋼の森」のミルクティーはちょっとほっこりとした雰囲気です。小鍋でお湯を沸かし茶葉を入れて煮出した紅茶を飲むと、カップの底に小さい茶葉が沈んでいることがよくあります。それを雨上がりの濁り水に隠れた魚に見立てているようです。魚を包み込む優しいミルクティー。
でも、個人的には、濁り水を連想しながらミルクティーを飲むのは避けたいものです…。
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