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折り紙と食器洗いはちょっとした救世主という話

今年のGW開けから6月の末頃まで、わりと重めの五月病になっていた。
趣味への興味が失われ、外が怖くてほとんどの授業に出られず、おまけに強迫観念じみた希死念慮と自殺願望に取り憑かれるという、なかなかにボロボロの状態だった。


そんな時、私はいつもGoogle検索に弱音を吐くことにしている。
つらい気持ちを吐き出したくても、人と対話する元気がないため、せいぜいこれが限界なのだ。
そうして出てきたサイトを眺めて、自分の気を逸らしている。


その五月病期間中も同じことをしていたら、あるnote記事が目に留まった。

元気がない、引きこもりがちな大学生に向けて|秋山直太|note(ノート)https://note.mu/etohatake/n/n4aebd410b87a

確か「このままでは引きこもりになりそうで怖い」という旨の不安を、検索ウィンドウにぶちまけた時だったと思う。
ふんふんなるほどと読み進める中で、私が特に救われた一節がこれだ。

さあSNSから離れて、「折り紙 カエル」とか調べて作ってみてください!笑

普段の私なら「この年で折り紙て、面白いこと言う人やなぁ」と笑って済ませていただろうが、この時はもう藁にもすがる思いだった。
とにかく、この「死にたさ」から離れたかった。うんざりしていた。
私はさっそくベッドから這い出して、レポート用紙を正方形に切って用意した。

初めは言われた通りカエルを折るつもりだったが、自分がおそろしく不器用な人間であるのを思い出し、別のものを折ることにした。
加えて、作るのに挫折して落ち込んでは元も子もないため、絶対に達成できそうな難易度に決めた。
よって、作り方を調べる際に使った検索ワードは以下のようになる。
折り紙 3歳」。

そうして初めに折ったのはこれだ。

《折り紙》コップの折り方・作り方|超簡単にできる紙コップ | 折り紙JAPAN
https://origamijapan.net/jp/cup/

とても簡単な部類なのだろうが、個人的には十分やりがいがあった。
トップ画像の左下が、実際の完成作品である。
パッと見が完全に封筒入りの手紙だったため、なんとかコップらしくならないかと足掻いた結果があの二本のラインだ。

狙い通り、達成感で少し気が楽になったため、私はもう一つもう一つと作品を量産していった。
以下に、その時作ったものの折り方のリンクを貼っておく。

ピアノ(画像右上)
ウサギ(画像右中央)
とんがり帽子(画像中央下)
クジラ(画像左下)
飛行機①(画像左上)
飛行機②(画像中央上)

折っているうち、私は「手を動かせば死にたさから逃れられる」という快感にやみつきになっていた。
折り紙には飽きてしまったので、他に何かないかと部屋をうろついた結果、シンクの中の使用済み食器が目に入った。
案の定、すべての食器が片付いた空っぽのシンクを見ると、少し心がすっきりした。

今まで、「鬱々とした気分の時には身体を動かせ」という言葉を見聞きするたび「うるせぇよこちとらトイレに立つのすらギリギリまで先延ばしにするぐらいキツいのにそんな運動するようなパワーどこから出せってんだ!」と内心毒づいていたのだが、この体験で「なにもラジオ体操のように身体全体を動かさずとも、手先を少し動かすだけでちょっと楽になる」と、自分の思い込みを修正することができた。
死にたさを乗りこなすためのスキルが、また一つ増えたのだ。
そういう意味で、この記事を書いてくださった秋山直太氏には、精一杯感謝したい。

最後に、ここまで読んでくださったあなたにも感謝を。
あなたが折り紙を折らなくとも、有害な死にたさから距離を置けますように。

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