見出し画像

シナリオの書き方 ~基礎編~ Part2「ゼロの状態から書き始める方法 」

前回の続きです。前回はシナリオとは何なのか、シナリオとして最低限必要な項目について説明しました。
今回は、その必要な項目をどうやって埋めていくのか、いわゆるアイデアの出し方について書いていこうと思います。

いちばん大切なこと

シナリオ作成にいちばん大切なものは何か。
ルールの理解、原作小説をたくさん読むこと、それらは必要になってからでも十分間に合うだろう。いちばん大事なのはどうしたらプレイヤーが楽しんでくれるかを考える想像力だ。
とはいっても、楽しませるためのサービス精神のことを言っているのではない。「そのシナリオのセールスポイントは何か?」ということを明確に考えることが重要だということだ。
そして、多くのプレイヤーはホラー作品風味の強いものを求めている。ホラー作品のようなシナリオをプレイして「CoCをやりにきたのにホラーみたいじゃないか」と怒る人はいないだろう。シナリオのテイストに迷ったのであればホラー作品風味にすれば大丈夫だ。

アイデアの出し方の種類

アイデアの出し方にはいくつかの方法がある。

・まったくなにもないゼロの状態から書き始める方法。
・既にある他の作品を元にシナリオを書く方法。
・既にある作品の一部を改変してシナリオにする方法。

細かく分けるともっとあるだろうが、多くはこの3パターンだ。
今回は、まったくなにもない、ゼロの状態から書き始める方法をご紹介したいと思う。

シナリオの軸となるものを決めよう

ゼロからシナリオを考える場合、まずシナリオの軸となるものを決めたほうが良い。
例えば登場するクリーチャー、不思議な場所、奇妙な事件、魅力的なNPC達……

例えばクリーチャーであればルールブックに載っているものを参考にすると良い。彼らは小説の中でも主役級の扱いを受けている。

あるいは、こんな場所を舞台にシナリオを書いてみたい……といったところからシナリオを書いてみても良い。モジュラー・クトゥルフに記載されているシナリオは場所・建物をメインに書かれたものだ。

プレイヤーの興味を引くような事件を思いついたのならば、それをもとにシナリオを書いてみても良いだろう。例えば乗っていた船が遭難してたどり着いた先がクトゥルフが眠るルルイエだったとか、イギリスで切り裂きジャックを彷彿とさせる殺人事件が発生するとか、そういった感じのものだ。

プレイヤーが興味を持ちそうで、キーパーもロールプレイをしたいNPCが思いついたのであれば、そこからシナリオを広げるのも良い。ムー大陸が大好きな超古代文明研究家とか、忌まわしき神の血を引く空前絶後の美少女カルティストとかだ。

軸から展開していく

軸を決めたらそこから徐々にシナリオに必要な要素を考えよう。

このクリーチャーが探索者を襲う理由とは?
探索者がそこへ向かう理由は?
なぜその事件がおきたのか?
その事件に探索者が関わるきっかけとは?
探索者とNPCはどのようにして知り合うのか?

このように一つ一つ事件の要素を書いていく内に、だんだんとシナリオが出来上がってくるだろう。
以下に「悪霊の家」を例としてアイデアの出し方のお手本を示していく。

例:
軸となる要素として不死の魔術師コービットを考えた。
コービットはかつての自分の屋敷の地下で今も眠っている。
そして、住人や秘密を知った者を追い払ったり、殺したりしている。
この屋敷の権利上の持ち主が屋敷の事件について探索者に調査を依頼する。
屋敷へ向かうと探索者はコービットに襲われる。

もうこの時点でだいぶシナリオらしくなってきたと思います。
あとは探索者目線でどのような調査をするかを考え、出てくる資料を書けばほぼシナリオは完成だ。

5W1Hに気をつける

シナリオを書く上で、個人的に注意していることを紹介する。それはNPCや事件について5W1Hに気をつけるということだ。

「When:いつ」
「Where:どこで」
「Who:だれが」
「What:何を」
「Why:なぜ」
「How:どのように」

「When:いつ」は時系列のこと。事件の順番が逆転しては大変だ。これは年表やチャートを作成することで防ぐことができる。

「Where:どこで」
事件が起きた場所のことだ。これを忘れることはめったに無いと思うが、例えば探索者の目の前で起きた事件ではなく、新聞記事などから知った事件の場合、書き忘れることはあるだろう。

「Who:だれが」
例えば、事件の実行犯や被害者など、関係者について曖昧なところがないかどうかだ。その時間にその場所に居ないはずの人物が事件に関わっている場合、探索者はその人物に興味を引かれるだろう。

「What:何を」
事件の内容だ。例えば怪我をしただけなのか、殺害されたのか、何かを盗まれたのかなど。
これも忘れることは少ないと思うが「軽度の損害を与えられた」などの曖昧な書き方だと伝わらない可能性が高いので、はっきりと書いたほうが良いでしょう(わざと曖昧な書き方にして興味を引くという方法もある)。

「Why:なぜ」
これは最も忘れがちなものだ。印象的なシーンを優先して書いていくと「なぜこの事件が起きたのか」が説明されていないことがある。
また、事件だけにとどまらず、NPCの情報についても「なぜこの人はこの能力を持っているのか」を書き忘れることがあるだろう。

「How:どのように」
これも忘れがちなものだ。いわゆる「描写」にかかわる部分だ。
ただ「人が殺された」では何が起きたのかわからないと思うが「心臓に刃物を突き立てられて殺された」だと情景が浮かんでくるだろう。
他にも「その部屋の状況はどんな様子なのか」「その人の機嫌がいいのか悪いのか」など、探索を行う上で指針となる部分が「How:どのように」である。

今回はここまで。
次回は他の作品を元にしてシナリオを書く方法を紹介する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?