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シチリアロングトレイルを歩く #3 Magna Via Francigena(マグナ・ヴィア ・フランシジェナ)

朝起きると、雨です。
昨夜からの雨が続いていました。
天気予報を見ると、お昼前後が強く降り、風も結構出そうです。
2人で相談した結果、昨日は結構歩いたし、
このトレイルの道中、唯一の観光の街なので、今日は観光に切り替えて
午後にバスで次の目的地の街に行くことにしました。

宿の朝食セット コーヒーをいただき 他はザックの中へ
レインウェアを着込んで出発

観光と言っても、行く先はひとつ、マフィア博物館です。

入口

ここでは、マフィアがどのように形成されていったかなどの話を聞かせてくれます。

雰囲気のあるおじさん 

この建物の所有者です。
この建物、元々はマフィアのものでしたが、巡り巡って買い取ることができて、博物館として運営している様です。

館内を回りながら、この建物の歴史や当時のシチリアの暮らしなども教えてくれます。

キッチンは、アラブスタイル

葉巻、杖、ハンティング帽を貸してくれて、マフィアごっこもさせてくれます。耳元で囁けと演技指導が入り、パシャリ。

密告中。
牢屋
数々の暗殺の歴史を教えてくれました
礼拝室
めちゃくちゃ熱心に話してくれます

怖い話が盛りだくさんでしたが、シチリア島に侵略してきた者や貴族などの接収で、追い詰められた貧しい農民たちが、生きていくために組織した集団がマフィアだったようです。
これも長いシチリアの歴史の一部、色々と勉強になりました。

博物館を後にして、街のセントラルに戻り、バスを待つことにしようと思います。朝調べたところ、次の街までのバスは午後に2.3本ありそうなんですが、グーグルマップの検索にはシチリアの路線バスは出てきません。
ネット検索でバス会社のPDFの時刻表があったのでこれを信じます。
(これは仕方ないですね、車山高原行きのバスも最近ようやくグーグルマップに反映されたばかりなので。)
バス停の前にインフォメーションがあったので、そこにいた女性に念のため聞いてみると、
「英語はできないのよ。スマホ翻訳!」
私のスマホに向かって、大丈夫かと思うぐらいの、ものすごい長文を吹き込みます。
それをみると、
「12:30のバスは来るかもしれないし、来ないかもしれない。」
「ん?!」
街のインフォメーションの人でもこのレベルの情報!
でもその下には、「13:30のバスは来る。」と。
この確信はなぜか良くわかりませんが、とりあえず来るかもしれない12:30発のバスを待ってみます。

少し時間があるので、近くのカフェで軽く昼食。

このカフェのパンめちゃくちゃおいしかった。ハードパンではなく、ふわふわでもなく。
ほんのり甘味を感じる美味しいパン。中身のハムの塩味がほどよい

何気ないこういうお店に、たまに度肝を抜かれるのが楽しいですよね。

さて、12:30になり、バス停に向かうと2台バスが。
”1台目”に乗り込み行先を告げると、
「これじゃないよ」と。
やっぱり来ないのかなぁ・・・と、バスを降りました。

後ろのバスの行先が違うけど聞いてみようかと思っていると、
先ほどのバスの運転手さんから紙を手渡され、時刻が書いてありました。
「12:30 13:30」
やはりインフォメーションと同じ時間を言われました。

とりあえず、後ろのバスの運転手に聞いてみます。
「この行先は、12:30と13:30は来る。この前のバスだ(1台目)」と。
たらい回しじゃん。

数分過ぎましたが来ませんね。
よし、13:30を信じよう。

雨も上がってきたので、少し街をブラブラして時間を潰します。

陽が差してきました
空き家を利用した自販機コーナー 24時間営業はしてなかったけど海外には珍しい
おしゃれなイラストが法面に。ほかにも色々と改装中でした。

さてちょっと早めにバス停に戻ると人だかりができていました。
若者が多いです。
その中にマフィア博物館で少し一緒だった日本人の方を発見。
パレルモに戻るらしいのですが、ご自身で調べた12時台のバスは来なかったらしく(一緒だ)、次のバスを待っているようでした。
スケジュールの関係、次のバスで帰らないとまずいらしく、心配な様子。
でも多分これは来るなと思いましたよ。
だって、今日は土曜の午後、このたくさんの若者たちは都会のパレルモに遊びに行くんじゃないかなと。
そうこうしていると、パレルモ行きのバスが来ました。握手をして挨拶。
良かったですね。無事にパレルモに戻れそうです。

たくさんの地元の若者と一緒にバスの中へ。またどこかで~

そして、我々の乗る13:30のバスを待ちます。
バス停近くにいた老夫婦、この方たちも12:30の時にもいたので、同じバスを待っているようです。「バスくるのかしら…。」と奥様。
話しかけると、やはり同じ方面に行こうとしていました。
アルゼンチンの方で、2か月ほどイタリアを旅行されているとのこと。

13:30になりました。
我々の前に、バスがやってきました。
「おー、来た来た!」
そしてバスの扉が開いて、乗り込むと、12:30の時に尋ねた”2台目”のバスの運転手!
そりゃ、確信持って、「来る。」って言うよね、自分が担当だもん!

と言うことで、無事にバスに乗れてコルレオーネを出発。

この後も色々体験して分かりますが、シチリア旅行は時間にゆとりを持って行きましょう。内陸部の小さな街ですが、比較的観光客が集まりやすいコルレオーネでこれです。
タイトすぎるとこの島の時間の流れに負けます。
確信しました。

バスの車窓から

バスはものすごい勢いで曲がりくねった山道を走り抜けていきます。
イタリア人は車の運転がめちゃくちゃ上手です。

相変わらず、バス酔いにやられる。

一つ前の街で、アルゼンチンからのご夫婦は降りていきました。
パラッツィオ・アドリアーノ。
そう、ここも名作映画ゆかりの町、「ニューシネマパラダイス」撮影の街です。

好きな映画なので降りてみたかったのですが、次の最後のバスが来るのか心配だったし、タクシーも捕まるかわからないので辞めました。
天気が悪くなって予定を変えて、たまたまバスで寄れただけでも良しとします。

バスの中から。この教会も映画に出てきます。

目的地、プリッツィに到着。

コルリオーネ方面をみつめる

宿には真っすぐ行かず、街の一番高いところが気になるので、1時間ほど散歩をしてから向かうことに。

雨もあがり青空 気持ちい景色ですがすごく寒い 標高約1000m

すっかり天気も回復して、素晴らしい夕日です。

街の一番高いところにあった十字架と夕日
その十字架の下にシアター
こんな景色の良いところで、なにか観れたら最高でしょうね

そうそう、シチリアの街はどこもジブリ映画に出てきそう。
ナウシカとかラピュタとか。

ここもジブリ感のある、傾斜地の街

山の傾斜に張り付くように街ができていて、教会だけがポコンと頭が出て目立ちます。
いろいろな民族がやってきて侵略しあってきた島。
攻め込まれにくく、遠くまで見渡しやすい高い場所で、寄り添って街を築いたのでしょうか。

狭い路地、素敵 えっ、この車どうやって止めた?

ちょっと時間が遅くなってしまったので、宿に電話。
「迎えに行くよ。」と言ってくれましたが、
迷ってるわけではないので大丈夫だよと答えて、歩いて向かいます。

街の中にはトレイルのサインが道に埋め込まれています

結局だいぶ暗くなってしまいましたが、無事到着。
元々、レストランとバーを営業していて、その建物の上階を数年前から宿にした様です。グーグルマップもレストランしか出てきませんので、住所を見ながら来ました。
電話で対応してくれた”ナイスガイ”がバーから出てきて、対応してくれます。(この方しか英語で対応できないようで。アプリなしでした!)
良い人感が滲み出ている。

ホテル部分には別の入口から上がります。

内装はまだピカピカ
コロナ禍以降に綺麗になったみたい 

シャワーを浴びて、明日の行動食を買いにスーパーへ行き、その後レストランを探しても良いのですが、あんな”ナイスガイ”がいるなら戻って、宿のレストランで食べようとなりました。

レストランに入ると、彼がニコニコで出てきました。(”ナイスガイ”の写真撮り忘れ)

土曜日なので、予約席もたくさん

赤ワインを注文

ハウスワインをデキャンタで。十分美味しい。
今日は歩いてないので疲れてません 
オードブルにムール貝

ちょっとピザ続きだったので、お米を。

ほうれん草のリゾット サーモン入りだよ

これがめちゃくちゃ美味い。うま味成分がたっぷり。
リゾットの出汁が何かすごいことになっているのではないかと思います。

内陸部は豚肉が美味しいと、ヴァレンティーナに聞いたので、
豚肉のグリルを。

シンプルに美味しい 豪快な感じ

ここも小さな街なので、レストランも数件なのでしょうが、
店内かなり賑わっていて、ピザのテイクアウトを買いに来る方も頻繁にやってきます。

ピザ釜、フル回転

そしてあの”ナイスガイ”は、バタつく厨房に入ってヘルプしたり、イタリア語のできない我々に目を配り、長い列に繋がっている予約のテーブル席(20人ぐらい)の相手をし、そして、ヘルメットを被って、バイクでピザの出前にも出ていった!!!
凄い!働きすぎでしょ!何役やってるんだ!
そして帰り際、「お部屋でゆっくり過ごしてね、カミーノ楽しんで!」と我々に挨拶も忘れません。

こう言う働き方を見ると、とても刺激になるというか、もっと頑張ろうと思います。まだまだやれるぞと!
旅のこう言う同業者との出会いは大切ですね。

楽しい夕食だったなぁとお部屋に戻り、ベッドに入って眠りにつきます。

翌日へ。

余談ですが、レストランにテレビがあったんですが、ふと見ると明るい安村が映っていました。もちろんウケてるから海外の番組に出てるんだろうけど、なんとなくその場で日本人であるのが恥ずかしく思えました…。この時だけ日本人であることを隠したいような・・・・。私たち以外の人はテレビすら見ていませんでしたが。
ほっ。

偶然に出会った日本人は、テレビの中でした


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