石井秀太郎(弦楽器製作者)

弦楽器製作者。現代のヴァイオリン製作の巨匠のひとり、ジャンパオロ・サヴィーニとの日々の…

石井秀太郎(弦楽器製作者)

弦楽器製作者。現代のヴァイオリン製作の巨匠のひとり、ジャンパオロ・サヴィーニとの日々の回顧録をどこかに残しておきたいと思い、少しづつ投稿することにしました。 石井弦楽器工房 https://ishiistrings.com/

記事一覧

巨匠と。 #01 出会い その1

僕とサヴィーニがはじめて顔を合わせたのは、実は2002年の春ではない。 そのおよそ1年前になんと日本で最初の握手を交わした瞬間があった。 その出会いを語るために、Mさ…

巨匠と。 #00 はじめに

2002年3月末。Mさんと共に古都ローマから北に延びる鉄道に20分ほど揺られて郊外の小さな駅で降りると、遠くから「シューラトー!!」と呼ぶ声。それが自分を呼ぶ声と気付く…

巨匠と。 #01 出会い その1

巨匠と。 #01 出会い その1

僕とサヴィーニがはじめて顔を合わせたのは、実は2002年の春ではない。
そのおよそ1年前になんと日本で最初の握手を交わした瞬間があった。

その出会いを語るために、Mさんのことを書かなくてはならない。
彼女はヨーロッパなどで弦楽器を買い付けてくることを生業としていた、所謂弦楽器バイヤーの草分けのひとりで、僕をサヴィーニに紹介してくれた大恩人だ。僕とは親子ほど年齢は離れているけれど、全く歳の差を感じ

もっとみる
巨匠と。 #00 はじめに

巨匠と。 #00 はじめに

2002年3月末。Mさんと共に古都ローマから北に延びる鉄道に20分ほど揺られて郊外の小さな駅で降りると、遠くから「シューラトー!!」と呼ぶ声。それが自分を呼ぶ声と気付くのに少し時間がかかった。「シュウタロウ」はイタリア人には少し覚えにくい名前ではある。
何度目かの「シューラトー!!」の後、そちらに目をやると、水色のシャツに紺のニットのベスト、グレーのスラックス姿にサングラスといういで立ちのイタリア

もっとみる