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『ダウントン・アビー』(イギリス)

イギリス・テレビドラマ・2010〜2015

他の方のイギリスドラマ紹介記事を読んで、大好きだったこのドラマのことを思い出した。
2014年から17年までの日本でのテレビ放送時に視聴。次のシーズンが待ち遠しくて仕方ないほどはまってしまった作品で、ファイナルのシーズン6まで全く飽きることなく見た。

1912年から物語が始まった。貴族であるグランサム伯爵一家の住むイングランド郊外の大邸宅の名前がダウントン・アビー(家に名前がある!)。グランサム伯爵一家と彼らを取り巻く人々の複雑に入り乱れる感情やもつれる人間関係の物語だった。
当時のファッションや風俗、イギリス貴族の生活の様子や価値観、彼らの使用人達の仕事ぶりや生活、階級が存在する社会での厳然たる身分格差、当時の社会問題など、よく知らなかった事が描かれていてとても興味深かった。イギリス英語がたっぷり聞けたのも楽しかった。そして、時代の流れの中で、当時のイギリス社会が直面していた様々な問題に向き合いながらどんどん変わる人々の生き方や考え方、価値観などが、多くの人物を通して巧みに描かれていて飽きる事がなかった。

またこのドラマではそれぞれの登場人物の感情も深く描かれていて、一人の人間が必ずしもいいところばかり、もしくは悪いところばかりではなかったのもとても面白かった。理屈では言い表せない悪感情を抱いて相手を冷遇していたかとおもえば、別の相手とは身分や立場の違いなど気にせずに好意的に付き合うことができる登場人物達。陰険だったり無神経だったりあるいは狡猾だった人物が、様々な経験を通して人間的に成熟し、優しくたくましくなっていくストーリーもあった。最初はいけすかない人物だなぁと思って物語をみていたのに、その人物の様々な面を見ているうちにいつの間にか見方が好意的になり、段々応援したくなったことは何度もあり、人物の描き方のうまさに驚かされた。一人の人間の内面は実に複雑で、善か悪かで二分できないものだと、ドラマを見ながら実感した。

テレビドラマは全部見たが、映画だけは見そびれてしまった。機会があれば見てみたい。

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