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『恋の始まり 夢の終わり』 台湾ドラマ

台湾/2016/テレビドラマ

もしあの時、もう一つの選択肢を選んでいたら、私の人生は今どうなっていたんだろう。
誰でも一度はそんなふうに考えたことがあるのではないだろうか。
自分の人生でも様々な選択をしてきて、今がある。
いや選択してきただけでなく、選びたい方を取れなくて、仕方なく流れに身を任せてきたことも少なくない。そうするとまたその流れの先に選択肢が待っていて、いずれかを選んだり選びとりそびれたり。
あの時違う選択をしていたら、あの時違う方向にことが流れていったら、私は今どうなっていたんだろう。
このドラマを見ていると、そんな気持ちを思い出す。
一人の女性が、二つの人生を歩く。Life plan A とB。
どちらの人生も、わかるなぁと思うような部分がちょこちょこあって、見ているとちょっと辛くなってくるところも多かったけど、面白くてやめらなかった。

主演のレイニー・ヤンが、とてもよかった。かなり以前に『笑うハナに恋きたる』で初めて彼女を見たときは、明るくて元気でちょっと変わった女の子役の演技が子供っぽすぎてそれほどよいとも思えず、何故彼女が人気女優なのかわからなかったのだけれど、このドラマで久しぶりに見たレイニーは大人の女性でとても素敵だった。演技力もしっかりしていて、仕事に邁進する女性、家庭に入る女性どちらの役もとても現実感が出ていた。”ハナ”の印象がすっかり飛んでいってしまった。オープニング曲もエンディング曲も彼女の歌でとてもいい。

人は人生の岐路でいろんな選択をしたりさせられたりしながら進んでいくのだけれど、同じ人物が同じタイミングでいくつかの選択肢を試してみて、最後によかった方を選ぶということはできない。やはりあちらの選択肢の方が良かったと後から思っても、もうそのときには自分の条件も状態も、自分を囲む情勢も変わっていたりして、あの時にはよかったと思ったもう一つの選択肢を後から選び直してみても、期待したような結果につながらないこともある。
選択肢がいくつあっても、その時の自分は結局一つしか選択できない。そして、できるだけ幸せになれるように、選択を積み重ねていくしかない。選択を誤ったかも、と思ったら、また次の選択で軌道修正を試みる。ときには自分の力ではどうにもできない大きな流れに巻き込まれて全てが無駄になることもある。どうにもならないこともある。それでも選択していく。
どんな選択肢を選んでも、その人生なりの苦悩や喜びがあるはず。苦労の多い人生はあるだろうが、喜びしかない人生はないだろう。人生の選択肢のなかで一番いい選択という正解は、実はないのかもしれない。
知らず知らず、自分の人生も振り返りながら、そんなことを思いつつみていた。

おすすめできる大好きな作品の一つ。
(2018年視聴)


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