2023年秋にずっと見たドラマは『パリピ孔明』だけだった
秋のドラマは、なんとなく気になったものをいくつか途中から見始めたのだが(初回ってみそびれることが多い)、結局最後まで気に入って見たのは『パリピ孔明』だけだった。
『うちの弁護士は手がかる』も少しみた。見る前はムロツヨシが”手がかかる”弁護士なのかと思い、「濃くて疲れそうだなぁ」と敬遠していたところ、彼は手がかかる弁護士のお世話をするパラリーガル役とわかって、それなら面白そうだと思って見始めた。留守中に録画を忘れたのをきっかけにみるのをやめてしまったが、卒なく人をお世話する苦労人な感じはムロツヨシに似合っていてよかった。
『パリピ孔明』は、詳細はわからずに3話から見たのに何故か面白くて、そのまま見続けてきた。『三国志』に全く興味がない私でも、諸葛孔明の名前くらいは聞いたことがある。その孔明が現代の日本に転生したというだけでも濃い設定だが、他の登場人物たちも孔明に劣らず濃い感じで、その現実味の無さも面白かった。最近強烈に嫌なことが自分の身にいろいろ起こり、現実生活に対して頭と心がお疲れ気味だったので、ドラマではこのくらい現実離れした設定のものを見たかったのかもしれない。
ただ、もちろん自分の現実逃避的な気持ちばかりでなく、私がこのドラマを見て楽しかった理由が他にいくつか思い浮かんだ。
一つは音楽があったこと。英子やマリア・ディーゼルの歌声や曲もよかった。JET JACKET、AZALEA、ミア西表、KABE太人、前園ケイジなどの登場人物達の楽曲はバラエティーに富んでいて、ドラマを見ながらいろんな音楽を楽しめた。ラップなんて今まで興味もなくてちゃんと聞いたことなかったけど、面白かった。歌がうまいっていいなぁと、登場人物達の歌声に聞き惚れた。音楽、歌という魅力があったからこのドラマをずっと見たのだと思う。疲れ果てた頭と心は、自分が思っている以上に音楽を求めていたのだろうと思う。
もう一つは向井理。向井理はどう見てもかっこいい。でも、私は”かっこいい”彼のファンかと言われるとそうでもない。
前に『婚活探偵』というドラマを見て、本来ならどう見てもかっこいい向井理(実際お見合いシーンでスーツや綺麗めカジュアルに身を包んだ彼はモデルばりに格好よく、一目惚れ間違いなしレベルで素敵だった)のかっこよくないコミカルな演技に爆笑し、”本人は至って普通に振る舞っているはずが、周りから見るとな〜んか変な感じの、でも憎めない人”を演じる彼にハマってしまった。今回このドラマを見たいと思ったのも、「現代日本に転生した諸葛孔明」という奇想天外な設定の上に、サイトを見たら、ヒゲを生やし昔の中国風衣装を着た(なんか大きい帽子まで被ってるし!)向井理がいたからだった。「あ!またこんなおかしな役やるんだ!面白そう!」と、楽しみにしていた(その割には、テレビでは3話から見たけど)。
向井理の孔明役は、私の期待を裏切らなかった。優美な中国風の衣装を着こなし、あの大きな帽子も何食わぬ顔で常にかぶっていた(時々そこからゆるりと煙が出て、ヘンテコないい雰囲気を醸し出していた)。その格好で現代日本に溶け込んで(?)暮らしている。それだけで面白い。話し方も表情も身のこなしもあまりに堂々と落ち着いた感じで、「なんかこの人、変じゃない?」と思っても、そのツッコミを容易に入れられないほど隙がない感じだった。
向井理には、こんなコメディー風の登場人物に説得力を持たせ、いつの間にか”この人が本当にいてくれてもいいなぁ”と思わせる魅力があると、孔明を見ながら思った。
他に気に入っていたのは、孔明の主君・劉備役でディーン・フジオカが出ていたこと。久しぶりに彼の中国語も聞けて嬉しかった。それから、ライブハウスBBラウンジのオーナー・小林役の森山未來が、豹柄のスーツに金髪とサングラスといういでたちを我がものにしていてかっこよかったところ。あんなド派手な服装を着こなしつつどこか情に熱いところがあって三国志に詳しい、という人物を違和感なく演じる森山未來ってやはり魅力的な役者だ。
物語のラストは、私は好きだった。静かに感動して終わるのは、ちょっと寂しかったから。孔明の泣き笑いと、それを見た事情を知らない英子の「え、何?怖い、怖い、怖い・・・」というちょっと引いた反応がおかしくて、明るい気持ちで見終われたことが今の私には嬉しかった。
かっこいいのはわかってるけど、笑える役の向井理をまたみたい。
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