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テレビを見ない人

 小説がまったく進まない。いつもいつも書き出しが書けないでいる。毎度毎度、書き出しで苦労しているのはなんとかならないのか。書き出しさえ、書き出しさえ書ければ…、というのはいつものことだ。
 そんな中、サッカーのアジアカップをテレビで観た。サッカーのニュースはいつも一応チェックしているので日本代表の主要選手くらいはわかるのだが、ライブ中継を観るのはかなり久しぶりだったと思う。独り暮らしになってテレビを点けたのは、去年のWBC以来だ。僕は基本的にテレビを見ない。最近はニュースに関してもXのトレンドワード頼りになっている。会社員時代は新聞を読んでいたけれど、最近は新聞も読んでいない。

 ここで話は20年前になる。僕は10代半ばくらいから家族との折り合いが悪くなってリビングでテレビを見なくなったのだが、学校にも行ってなかったので話題に乗り遅れるとかそういうことがなく、自室でラジオを聴いているだけで満足だった。テレビを観るのは、もっぱらスポーツ中継と決まっていたのだ。これは今も昔も変わらない。

 10代後半で独り暮らしを始めた際も、テレビはなかった。それでまったく困らなかった。当時は職場の歓談室に新聞があったので、それでメジャーリーグに行ったイチローの活躍やなんかを確認していた。
 そして19歳で恋人と同棲すると決まったとき、恋人はテレビを買おうよと提案した。僕はうるさいしテレビ見る習慣ないからいいよと言ったのを覚えている。しかしそのとき、恋人は「世間との繋がりを断つような若者は好きじゃない。流行をバカにしちゃダメだと思う」とキッパリ言った。僕はそのことに妙に納得してテレビを購入した。実際にテレビを観ると案外面白かったのも印象的だ。
 世の中との繋がりを持つために、これから少しはテレビを見ようかなと思っている。とりあえずTverには入った。 

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