初音ミクって何者?

※「初音ミクやボカロってよく聞くけど結局何なんだろう?」という方へ向けた文章です。噛み砕いて説明するためいくらか不正確な部分があるかもしれませんがご了承くださいませ。

ボーカロイド(ボカロ)ってそもそも何?

身も蓋もない言い方をすると、ボカロとは『パソコンのソフト』です。

具体的には『人の歌声をパソコン上で作るためのソフト』です。

最近の音楽というのは、まあ生演奏も廃れてはいませんが、パソコン上で楽器の音をカタカタと打ち込んで合成するという「デジタルな」やり方がメジャーになりつつあります。手元に楽器がなくとも、ドラム、キーボード、ギター、その他多種多様な楽器の音をパソコン一つで作れてしまう時代。当然『人間の歌声』も作れるわけですね。

実は歌声を作るソフトも色々あるのですが、その中でも特段有名なのが『VOCALOID』です。

で、初音ミクって何者?

VOCALOIDは人間の声をぶち込むことで完成し、一つの製品となって販売されています。誰の声を採用するかで全然違う製品になるのです。

そう、個性豊かなVOCALOID製品の中の一つが『初音ミク』。ちなみに『初音ミク』には藤田咲さんという声優さんの声が入っています。

また『初音ミク』とは、製品としての名前であると同時に、パッケージに描かれたキャラクターの名前でもあります。皆様ご存知、あの緑髪でながーいツインテールの少女ですね。

アニメやゲームのキャラクターと決定的に違うのは「人格がない」という部分。

彼女には年齢や性別といったいくらかの『設定』のみが存在し、公式で彼女が喋ったり何らかのストーリーを演じたりということは基本的にありません。裏を返せば、彼女の人格をどう解釈するかはファンの一人一人に委ねられているのです。

「あれ、でも初音ミクが出てくるゲームや漫画もあるじゃん?」って思った方もいらっしゃるでしょう。

しかしそれは『公式の作品』であったとしても『公式の初音ミク』ではありません。

彼女がここまで有名になったことには「自由な二次創作がある程度許容されている」という背景があります。今でこそ二次創作文化は当たり前のように存在しますが、当初これは画期的なことでした。あくまで『公式の初音ミク』は単なる音声合成ソフトであり、前述した『設定』が全て。ミクさんに関わる全ての作品は無数にある解釈のうちの一つでしかないのです。そう、たとえそれが公式の作品であっても。

ゲームに出てくるミクさん、漫画に出てくるミクさん、ライブするミクさん、VTuberになったミクさん、一般男性と結婚したミクさんetc...みーんな別々。色んなミクさんがいる。色んなミクさんがいて良いのです。

ボカロPって何?

VOCALOIDを使って音楽を作る作曲家さんを、ファン達は親しみを込め『ボカロP』と呼びます。

PはプロデューサーのP。

アイドルプロデューサーかよ(笑)って思いましたよね。そうです。ボカロPは『ボーカロイド』のプロデューサーなんです。

もちろんそんな職業はありませんが。

上で述べたとおり、ミクさんの人格をどう解釈するかはファン一人一人に委ねられています。言い方を変えれば「ファンの数だけ別の初音ミクが存在する」ということ。

最近はあまり聞きませんが、当初は「○○さんのところのミクさん」なんて言い方をしていました。いやぁ、思い出深い。

……ともかく、つまりボカロPとは『自分だけのアイドル初音ミクをプロデュースする人』。

自分だけのアイドルに、曲を提供して、歌わせて、共に成長していく……そんな無数のストーリーがそこにはあるのです。

初音ミクはボカロじゃない!?

『VOCALOID』と『初音ミク』は、例えるならば『エンジン』と『車体』の関係。初音ミクという車体(クリプトン社製)を動かす心臓部に、今まではVOCALOIDというエンジン(ヤマハ製)が使われてきました。

……が、今は違うのです。

パソコンソフトであるからには当然、技術の進歩についていかねばなりません。音声合成ソフト『初音ミク』も『初音ミク アペンド』『初音ミクV3』など、何度か新バージョンが発売されてきました。

そうして2020年に発売された『初音ミクNT』には、今までのVOCALOIDエンジンではなくクリプトン社自身が開発した独自のエンジンが搭載されております。

そう、ミクさんはもうボカロじゃないのです。

え、じゃあ何と呼べば良いんだろう……。

今でもまだボカロ呼びがポピュラーですが、どうやら『バーチャルシンガー』という呼称が公式には奨励されている(?)模様です。

ニワカ? 大丈夫。怖くないよー。

ボカロ改めバーチャルシンガーの曲は、動画投稿サイトにも数え切れないほど存在します。投稿者は作曲初心者からプロまで様々。ジャンルも多種多様。好きなタイプの曲が必ずどこかに転がっています。

コメント欄なんかで「え~! この曲も知らないの!?」とか古参マウント取ってくる人もいますが無視しておk。誰でも最初はニワカ。何言われても気にすることはありません。ぶっちゃけ初期ファンとか皆ミクさんのこと『はつおんみく』とか呼んでたので(特に初期ファンは皆通った道)。

プロセカやろうぜ!!

最後に私のお気に入りのゲームを布教させてほしい。バーチャルシンガーが出てくるやつ。

『プロジェクトセカイ』っていうゲームなのですが、バーチャルシンガーへの愛と理解がとっても深いゲームなのです。もちろんミクさんも登場します。

バーチャルシンガーだけでなく、オリジナルキャラクターの少年少女も出てくるのですが、彼らの『共存』の具合が素晴らしい。オリキャラを存分に活躍させつつあくまで『バーチャルシンガーのコンテンツ』であることを忘れさせない奇跡的なバランス。これにはバチャシン古参ファンもニッコリ!

何よりストーリーが良い。

オリキャラの少年少女達それぞれに深いバックボーンがあり、願い、悩み、苦しみ、ヒリつく心を抱えて手を取り合う。そんなストーリー。そこにバーチャルシンガー達が寄り添うわけです。私もとあるキャラに深く感情移入してぼろ泣きしてしまいました……。

またミクさん一人とっても、個性豊かな『色んなミクさん』が登場してそれぞれオリキャラ達に寄り添うのですが、これはまさにバーチャルシンガーの在り方そのもの。賛否両論ありましたが深い理解があるからこその表現。感服しました。

もちろん曲も良い。リズムゲームですからたくさんの曲が楽しめますし、このゲームのために書き下ろされたバチャシンの曲もあります。どれも名曲揃い。CDも出てます。

バチャシン古参のファンにも、新参者にも、なんならバチャシンをよく知らない人にもオススメできるゲームです。

皆やろうぜ!

おしまい


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