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顧客理解を深めるカスタマージャーニーマップの作成とは

近年、MAや機械学習といった先進的テクノロジーがビジネス界を席巻しています。しかし、企業が真に顧客の心をつかむためには、顧客の期待やニーズを深く理解し、それに応える体験を提供することが不可欠です。本記事では、その鍵となる「カスタマージャーニーマップ」の作成方法と成功のポイントについてHEARTCOUNT AnalyticsのオフィシャルパートナーであるCOKOOZ合同会社の東(あずま)がご説明します。


カスタマージャーニーマップの重要性

新技術と顧客体験のギャップ

マーケティングオートメーションや機械学習の導入で、企業は効率的に大量のメッセージを顧客に送信できるようになりました。しかし、内部作業の効率化やコスト削減は達成されているものの、顧客満足度の最適化は別の次元の課題となっています。

調査によれば、「顧客の80%は、製品やサービスそのものだけでなく、企業が提供する全体的な体験を重視している」とされています。この事実は、顧客との全ての接点において価値ある体験を提供する必要性を示しています。

「売る側」と「売られる側」で真逆のマインド

さて、読者の皆様も一人の消費者だと思います。そしてメルマガやオファーを見て「そんなの買うわけないじゃん」「こちらの好みをわかってない」「押し売りがすごいな」と思うことも多いでしょう。
ただし、会社で施策を打つ側になると、顧客の状況考えず、貪欲になってしまっているのではないでしょうか。

結局は「長期間かけてお客様をファンに育てる」ということと、「今すぐ欲しい人を発掘して、すぐ買っってもらう」ということがゴチャゴチャになってしまい、消費者の経験価値などは早い段階で度外視となります。

カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを知り、購入し、利用し、さらにはリピートしロイヤルカスタマーへのプロセスを視覚的に表現したツールです。これにより、顧客がどのような思考や感情を持ち、どのチャネルを経由して企業と関わるのかを明確に把握できます。

カスタマージャーニーマップの作成ポイント

  1. 自分を顧客として想定する
    顧客の立場で、何を求め、何を重視するのかを深く考察します。Webのユーザビリティや行動パターンを分析し、顧客視点の理解を深化させます。

  2. ターゲット顧客を深く理解する
    顧客データを分析し、顧客セグメントの行動や嗜好を把握します。セグメントに最適化されたマーケティング戦略を策定・実施します。

  3. 顧客のジャーニーの過程を探る
    どのチャネルが効果的かを特定するため各媒体の成果を分析します。SNSのエンゲージメントやメールマーケティングの成果を深掘りします。

  4. 理想的な顧客像の確立
    最も価値のある顧客像を明確にし、顧客がどのようなジャーニーを辿るべきかを定義します。これに基づき施策やアプローチを設計します。明確な目標設定がなければ、効果的な戦略の実行は難しくなります。

筆者としては最も重要なのは「4.理想的な顧客像の確立」です。自社の顧客はこうあって欲しいという考えがないと、施策は単なる短期プロモーションの連続となり、方向性も見失います。この場合、「売上年100万円以上」といったものが理想的な顧客として挙げられる場合があります。ただ、これは単なる結果であり「100万円あればなんでもいい」わけではありません。

マーケター、営業担当、CMOなどに「どういうお客様が自社にとって相応しい、理想的な消費者像ですか?」と聞いたら、多くの答えがあるはずです。    
  「より頻繁に買ってくれる」
  「ブランドのXXXを買ってくれる」
  「アプリをこれぐらい見に来てくれる」
  「アンケート調査でコメントをくれる」
  「幅広い商品を買ってくれる」
  「いつもイベントに参加してくれる」
などの条件が思いつくはずです。そしてそれらはデータで定量化できるものが多いと思います。
これらが明確に定義されていない限り、大量の施策を打っても、それは「カスタマージャーニー」ではなく、全国的に紙チラシを配って「売上のために引っ掛けている」のと変わりません。

理想の顧客像の定義サンプル

以下は提案活動などで理想の顧客をイメージするために作った、サンプルのイメージです。この条件を満たすように、デジタルを活用した行動変容のアプローチを企画します。
筆者はKGIに「収益」は設定せず、このKGIのもう一段階上の”アウトカム”として「収益」があると考えています。
以下のようなKGI・KSFを達成しないで獲得した収益は、従業員と顧客の満足のいく内容でしょうか?

理想の顧客像サンプル。これらのKPIを兼ね備えた顧客が優良である確率は高い。
このKPIは顧客毎までブレイクダウンできるのがポイント。だからこそCDPの価値が生きる。

カスタマージャーニーマップの成功と失敗の理由

カスタマージャーニーマップが失敗する3つの理由

  1. 不十分な顧客理解
    顧客のニーズや期待を十分に把握せずにマップを作成すると、実際の顧客行動とかけ離れたものとなり、効果を発揮しません。

  2. 一貫性の欠如
    マップが顧客の全体的な経験を網羅していない、チャネル間で一貫性がないと、顧客は混乱し、企業への信頼感を失う可能性があります。

  3. 変化への対応不足
    市場動向や顧客行動は常に変化します。これらの変化に対応せず、マップを更新しないと、時代遅れの戦略となり、効果を失います。

カスタマージャーニーマップ成功の3つのポイント

  1.  顧客中心のアプローチ
    顧客の視点に立ち、彼らの要望や期待に真摯に応える姿勢が求められます。無差別に送信されるメッセージは、価値が低く、無視され、「配信停止」を導きます。顧客ニーズを最優先に考えることが成功への鍵です。

  2. データドリブン型の意思決定
    客観的なデータと分析に基づいてマップを作成し、常に最新の情報を取り入れて更新することが重要です。データ分析に基づく意思決定は、役職・立場に関係なく納得感と理解を持ってファクトとして受け入れられます。

  3. 柔軟性と適応性
    VUCAの時代であり市場や顧客は常に変動します。変化に迅速に対応し、マップや戦略をデータドリブンで適宜調整する柔軟性が求められます。そのためのアジャイル的な探索的なデータ分析も求められます。

まとめ

先進的なテクノロジーの導入だけでは、真の顧客満足度の向上や効果的な顧客獲得は達成されません。カスタマージャーニーマップを活用し、顧客の視点に立った戦略を策定・実行することで、企業は顧客の信頼と満足を獲得することができます。

カスタマージャーニーや顧客の戦略的マップは、AIや機械学習にデータを入れても出てきません。ここはどうしても企業の方針に基づいた意思決定や計画が必要です。そしてその戦略・計画を競合他社より効率的・効果的に実施するためにビッグデータ・AI・機械学習・MA・デジタルマーケを、お客様のために活用するべきでしょう。

この場合、コンサルタントが何十人も入るような巨大なプロジェクトでなくても、多くの答えは業務担当者や現在のマーケーターが持っているはずです。まずはそれを整理・可視化するだけでも、MAや機械学習のシナリオとしては十分なことも多いと考えています。

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