MAとキャンペーンマネジメント:データドリブンマーケティングの基礎と注意点
本記事では、マーケティングオートメーション(MA)とキャンペーンマネジメントシステムの基本的な違いや特徴、そしてデータドリブンマーケティングを実践する上での重要なポイントを解説します。DX時代に適したマーケティング戦略を立てる際の注意点を、HEARTCOUNTのオフィシャルパートナーであるCOKOOZ合同会社の東(あずま)がご説明します。
DX時代のデータドリブンマーケティングの中心
マーケティングオートメーションとキャンペーンマネジメント
今回は「キャンペーンマネジメント」「マーケティングオートメーション」という2種類のシステムについて簡単に紹介したいと思います。「そんなの当たり前」という部分もありますが、お客様側も、ベンダー側もよく理解せずに提案している場合があるので、注意が必要となります。
今はこの2つのシステムをまとめて「マーケティングオートメーション」と名乗ってしまっていることが多いため、非常に状況がややこしくなってしまいました。これは「まぁ、昔はキャンペーンマネジメントと言ってたけど、最近はマーケティングオートメーションって言うよね」ぐらいの、流行りの言葉の移り変わりぐらいに思っていると、大きな間違いを招くため、注意が必要となります。
キャンペーンマネジメントの特徴と役割
キャンペーンマネジメントは、20年以上前から存在する既存顧客向けのマーケティングシステムです。主にクレジットカードや通販業界で活用され、効果的なターゲティングと顧客セグメンテーションを目的としています。かつては、企業は顧客にカタログやDMを大量に送付していたものの、それを最適化するためにデータマイニング技術を活用し、顧客のセグメンテーションを行っていました。
キャンペーンマネジメントの特徴:
既存顧客の再購入促進が主目的
大量の購買履歴データを分析
DWHやCDPからのデータ抽出
バッチ処理によるメール配信
多様なシナリオ(顧客ベース、イベントベース、季節ベースなど)
キャンペーンマネジメントは、データドリブンなアプローチで顧客のLTV(生涯価値)向上を目指す重要な手法です。要するに、キャンペーンマネジメントは既存顧客の育成やLTVの向上を目指す手法として、デジタル時代のマーケティングにおいて重要な役割を担っています。これを支えるテクノロジーとして「DWH」「機械学習」「データ抽出」「購買履歴データの大規模分析」などが挙げられます。
マーケティングオートメーション(MA)の役割と特徴
MAは、デジタル時代の最前線で活躍するマーケティングツールです。SaaSビジネスやサブスクリプションモデルの普及に伴い、新規顧客獲得とコンバージョン最適化に焦点を当てています。最近ではコンテンツマーケティングなどで少ない労力で、大量の消費者にリーチすることを目的しています。
MAの背後には、例えばフリーミアム(広告モデル)のようなサービス提供モデルがあり、ユーザーとの長期的なエンゲージメントを保ちつつ、最終的に有料サービスへのアップグレードを促進する戦略が採用されています。
物販やECサイトでも、アプリやSNS、LINEなどのデジタルツールを駆使して、新規顧客の獲得や再購入を促進する戦略が盛んに取り入れられています。
MAの特徴は以下のようなポイントがあるでしょう:
(比較的)新規顧客獲得にフォーカス
複数のデジタルメディアを活用した認知拡大
フリーミアムやリターゲティングの活用
DMPを使用した匿名顧客のセグメンテーション
カスタマージャーニーやオンボーディングメールによるエンゲージメント強化
MAは、「DMP」「Cookie」「SEO」「リタゲ」「カスタマージャーニー」「コンバージョン」などのキーワードと密接に関連しています。データの取り扱いには、アクセスログや、MAツールのデータ、さらにはECのデータなどが中心となり、特に大量のアクセスログを扱う際には、BigQueryやRedShiftのようなクラウドDWHの活用が考えられます。
MAとキャンペーンマネジメントの違いを理解する
「マーケティングオートメーション」という言葉には、新規顧客獲得(MA)と既存顧客育成(キャンペーンマネジメント)という2つの異なる概念が含まれています。これらは使用するシステム、ツール、戦略、必要なスキルが大きく異なるため、1つのツールや1つのチームで全てを実現しようとすると問題が生じる可能性があります。
これらのシステムを取り入れたり提案する際には、どちらの要素が自分たちのビジネスにとって重要なのかを明確に理解することが不可欠です。経験から言って、「一つのツールで全部を完璧に実現する」のは困難だと感じています。なぜなら、その基盤となる思考方法、データの種類、そして必要とされる人材が異なるからです。
データドリブンマーケティング導入時の注意点
ポイントとしては以下のように目的の設定、手段の決定、データの確認、人材確保という4つが重要になります。特に目的によって全て決まりますので、そこは言語化・明文化できないと曖昧なまま突き進んでしまいます。
明確な目的設定:新規顧客獲得か、既存顧客LTV向上か、両方か
利用可能なデータ確認:顧客データの整理状況、追跡可能性
目的と手段の整合性:本当にMAやキャンペーンマネジメントが必要か?
適切な人材の確保:必要なスキルや経験を持つ人材の有無
人材のミスマッチがもたらすリスク
「マーケティングオートメーション」と「キャンペーンマネジメント」の違いを把握していく上で、最も重要なリスクとして突きつけられるのは、クライアントとベンダーのスキルや知識のギャップです。
キャンペーンマネジメントは、主にITやエンジニアリングのスキルを持つ人材が中心であり、一方でマーケティングオートメーションは、デジタルマーケティングや広告代理店の専門家が主流です。とはいえ、デジタル技術の進化により、これら二つの領域の境界は徐々に曖昧になってきました。その結果、多くのキーワードや概念が共通化される中で、用語の意味や使い方に大きな違いが生じている場面も少なくありません。
例えば、データハンドリングのスキルを持たない広告関連の専門家が、大規模なデータ処理を必要とするプロジェクトを引き受け、誤った配信を行うリスクが考えられます。逆に、デジタルマーケティングの知識を持たない技術者が、マーケティングの戦略やクリエイティブの側面を担当すると、その取り組みが効果を上げられないことがあります。
CDPの導入においても、そのデータの主体が「DMP」や「Marketing Cloud」であるのか、「DWH」であるのかによって、その後の利用方法や戦略が大きく変わる可能性があるのです。 現状として、システムやデータは統合の方向に進んでいますが、多くの人材は特定の領域にのみ専念しており、全体像の理解が不足している場面が見受けられます。特に、それぞれの領域の専門家が互いの存在や専門知識を知らないことが問題となり、プロジェクトが進行しづらい、あるいは途中で大きな変更を余儀なくされるリスクが増大しています。
まとめ
DX時代のデータドリブンマーケティングでは、システムの導入だけでなく、目的の明確化、目標設定、小規模施策の実施と蓄積、そして適切なスキルを持つ人材の育成が重要です。MAやキャンペーンマネジメントシステムを効果的に活用し、データドリブンなアプローチでビジネスの成長を加速させましょう。
データ活用でお困りの方、ツール導入やデータ活用で相談してみたいという方は、以下のサイトをご参考にしてください。
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