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ひと続きのシュテルン=ゲルラッハの実験①

1)今からちょうど100年前の実験 量子力学で「スピン」というものの性質がよく表されている実験として、「シュテルン=ゲルラッハの実験」(Stern–Gerlach experiment:SGE)というものがある。 今からちょうど100年前の1922年、シュテルンとゲルラッハが、銀を加熱炉で蒸発、つまり気体にして、吹き出し口から出てきた銀の気体分子(というか銀原子)を、上手いこと磁場をかけたトンネルと通過させたら、銀の位置は通過後に2ヶ所に分離した、という実験である。 こ

    • ひと続きのシュテルン=ゲルラッハの実験④

      (3)数珠繋ぎのシュテルン=ゲルラッハの実験装置を通過したビームは壁にどんな模様を描くか。前回の計算により、例えば加熱炉から出たビームが装置を通過して、$${z}$$軸に対し$${+\theta}$$と$${-\theta}$$方向の上下に50%ずつ2本に分かれたとして、それぞれのビームがちょうど真直ぐ入るように少し角度を傾けた(だけで中身は同じ作りの)装置を後方に置いておくと、2段目の装置を通過したビームは、例えば$${+\theta}$$で入射したビームの大部分は$${\

      • ひと続きのシュテルン=ゲルラッハの実験③

        (2)部屋とYシャツと私ではなくて座標回転とパウリ行列とスピン シュテルン=ゲルラッハ実験では、高温の原子のビームを装置に通過させて、上下に2本のビームに分かれるところを見た。 $${N}$$個の原子が、全体として磁気モーメントの合計が$${0}$$だったときには、上に$${N/2}$$個、下に$${N/2}$$個の原子が向かった。 以下は思考実験であるが、1個の原子を同じように装置を通過させると、ある原子は上向き、ある原子は下向きと、原子1個は必ずどちらかの状態になっ

        • ひと続きのシュテルン=ゲルラッハの実験②

          前回求めた連立方程式 $$ \begin{align}i\hbar\frac{\partial \psi_+ }{\partial t }=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2 \psi_++\mu (B+bz) \psi_+-\mu bx \psi_-\tag{8a}\end{align} $$ $$ \begin{align}i\hbar\frac{\partial \psi_- }{\partial t }=-\frac{\hbar^2}{2m}\

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        ひと続きのシュテルン=ゲルラッハの実験①