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海広大

【さいとうこうりょう より】

 僕は、海が映る映画やアニメが好きだ。
ということに最近になって気がついた。

「ぼくの叔父さん」
「グーニーズ」
「アモーレス・ペロス」
「天国の口、終わりの楽園」
「ソナチネ」
「未来少年コナン」
「ふしぎの海のナディア」

とか。

 海が物語の舞台じゃなくても、作品の中に存在が映り込んでくるものでも構わない。それは「泳ぎに来たわけじゃなく、近くを通ったからとりあえず海岸に行ってみた」的な感覚かもしれない。「目的地が海に近いから」とか、「波の音がしたから」とか、そんな感じ。遠出の旅の電車の中から見える海はついつい「あ、うみ!みてみて海!」と同伴者に声をかけたくなる。

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サーフィンもボディボードもほとんどやったことがないし、ほかのマリンスポーツにどハマりしたこともない。でも海は好きだ。
では、何が好きなのか。
僕の中の何が海を求めているのか。
音か。
においか。
水温か。
砂のやわらかさか。
水面に跳ねる光か。
ゆったりとした波のゆらぎか。
肌を擦る海水か。
波から上がった後のからだの疲れか。
のみ込まれるようなおおらかさか。

全部だな。

なんでも呑み込んでいくようなおそろしさと、どこまでも包み込んでくれるようなおおらかさが混ざり合うダイナミズムがどうしようもなく魅力的な存在だ、海は。

こうして、景色に海が映り込むたびにいつも心が揺れるのだろう。

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