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覚えられるものと覚えられないものの話 その1

どちらかというと記憶力はいい方だと思うのだけれど、地図や空間に関しては驚くほど記憶できない。さすかに毎日通う職場や、週に何度か利用するスーパーは大丈夫だが、3ヶ月に1回くらいしか行かない美容室に行くときはいまだに気を張っているし、「遊びに行くから大阪案内して!」と言われたときなんかは、ハードルが一気にズドーン!!と上がる。

この前、関東で働いていたときの同僚と梅田で食事をすることになったときは、待ち合わせ場所の御堂筋線改札からホワイティうめだにあるお店までの300mくらいの道のりを3往復くらいして、スムーズに案内できるように練習した。

個室居酒屋でお手洗いから戻るときに、開ける部屋を間違えた、くらいは失敗談として聞いたことがあるが(もちろん私もしたことがあるしされたこともある)、私の場合は手を洗って化粧を直して、お手洗いから出たときに、さーて私はどっちから来たんだっけな、と横断歩道を渡るときのように左右を確認することも珍しくない。

特に、百貨店やショッピングモールなんかは記憶がリセットされやすい。行きは昼間で帰りは日没、みたいなシーンも記憶を惑わせてくる。

行ったことのある場所でさえ覚えられないのだから、行ったことのない場所など、もっと覚えられない。仕事柄、電車で取引先に行くことが多いのだが、最初は初めて行くところは念入りに駅からの行き方を調べていた。しかし、下調べしたところで、実際に駅の出口を出てその場に立つと、予習したことがスポーンと抜け落ちて、踏み出す先が右なのか左なのかがわからず立ち尽くしてしまう。

結局目に映る建物や景色と、地図上の情報を照らし合わせないとならないので、最近は時間をかけて細かい行き方を事前に調べるのはやめた。(もちろん電車の乗り換えや駅の出口の番号くらいは調べる)覚えられないから調べないのか、調べないから覚えられないのか。

答えはまだはっきりとわからないが、確実に言えるのは、覚えなくても困らないことについては覚える気がさらさらないということだ。今日も私はGoogle マップを広げたり縮めたり回したりしながら、駅の出口の片隅で道のりを調べている。

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